43.修行?(3)
3日目の朝になった。
「今日も同じ事をしろ」
スタンリー爺さんが言う。
俺たちは顔を見合わせる。
「これは今日の昼までじゃ」
お?
「昼が終わったら、それぞれに聞きたいことがある」
俺たちはそれぞれ同じことをこなし、昼を迎えた。
昨日の残り物のシチューを、チーズを乗せてパングラタンにしたものを食べ終えると
「さて、お前たち。
やってみて、それぞれ気付いたことを言ってみろ」
「そうですね・・・・・ありきたりですが・・・・・
太い丸太を割るときは、歯が入った後に、少し斧に力を籠めないと底まで割れません。
斧の重さを使って、振り上げる勢いだけで割れる時とそうでない時がありました。
細いものは逆にあまり力がいらず、テンポ良くやった方が楽でした」
「あとは、木の種類か節の向きなのか・・・・
割れやすい方向と、割れにくい方向があるように思いました」
ロランが言った。
スタンリー爺さんは黙ってきいている。
「私は・・・・・えっと・・・・
全部の音って言われて聞いていたら、昨日初めて水の音が聞こえてきて・・・・
どこかに川がありますか?」
え、まったく気づかなかった。
「風や木々の音にも、その日その日で違いがあるように思いました。
あと・・・・・空の音?っていうのかな、今日はこれから雨が降るかもって思ったんですけど・・・・・
雷の音が聞こえた気がして」
へー、すごいや。
気象予報士みたいだな。
「リュカ、お前は?」
爺さんに聞かれて昨日から気付いたことを話す。
「・・・・・・。
ふん、合格だな」
「ご、合格?ですか?」
ロランが聞く。
「ああ。
これで何も感じ取れていなければ、見込みがないと思ってたからな」
見込みねぇ・・・・。
ポツポツと雨音がする。
「すごいな、アリスの言う通りになった」
ロランが感心したように言った。
「なぁ爺さん、雨だから、午後の修行は休みでいいだろ?」
「スタンリーさんと呼ばんかっ!
まぁ、いいじゃろ。
その変わりお前が食事を作るんじゃぞ」
「おー、いいぜー」
「ねぇ、今日は3人でやろうよ!
きっと楽しいよ!」
「そうだな、いつもリュカに任せっぱなしだしな」
「おっしゃ、んじゃ何にするか考えよーぜ」
思いがけない休みに、俺たちは少しだけ浮かれていた。




