34.アスタノースを目指して
翌日早朝に、俺たちはヒルデガルドの街を出た。
夢のような王城での一夜も過ぎ、また気持ちも新たに冒険者として3人で旅をする。
「アリス、イリーナ王女様とはどんな話をしたんだ?」
ロランがたずねる。
「えっ・・・・!?
そ、それはその・・・・・
あの、あれよ!
何で私達が3人で旅をしてるのか?って聞かれたわ」
「へぇ~、そうか、俺たちのことを聞いて下さったのか」
満足そうにうなずく。
なんつー反応なんだよ。
「そういやイリーナ王女は、なんであんな森の中にいたんだろうな?
何か聞いてないのか?」
色々あって聞きそびれたけど、不思議だったんだよな。
あんな危険な場所に、行きずりの男たちとなぜ一緒にいたんだろう・・・・。
「そういえば・・・・
その話は聞かなかったなぁ。
イリーナったら、私達の話ばかり聞きたがって」
「そうか、そうか」
ロランはまた満足そうだ。
「ん?アリス、王女様を呼び捨てにしてるのか?
一晩でそんなに仲良くなったのか?」
「うん、だって、そう呼んでほしいって言われたんだもん。
私がね、遠慮してたら悲しいっておっしゃって」
「へぇ、変わった王女様だな」
「いやぁ、本当に素晴らしい方だな。
アリスとこんなに親しくして下さるなんて」
こいつはまた・・・・
アリスがジーッとロランを見ている。
おいおい、気付かれちまうぞ・・・・・
本人に全く自覚がないのが問題だ。
2日野営をして、3日目には1つ目の街についた。
道が良かったのか、モンスターにも出会わず、平和な道中だった。
レベル上げが出来ないから、ちょっと不安だな。
「なぁ、ちょっとダンジョンに寄り道していかないか?
レベルの上がらないまま旅を続けるのは不安だし」
俺は提案する。
「そうだなぁ。仮にも俺たち冒険者だしな」
「さんせーい!
私もっと魔法を磨きたいって思ってたの!
行きましょ!」
珍しくアリスも乗り気だ。
「おっしゃ、んじゃここのギルドで情報もらって行くかぁ」