表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノエル・ファンタジー  作者: 霜惣吹翠
【第二章】救う意味
59/130

56.そういえば異世界だった

いつもより空が青く綺麗に見えるのは、この真っ白な雪のせいだろう。

砂のようにサラサラ、だけど手に握れば溶けて消えていく。

雪原だから凍え死ぬほど寒いかと予想していたが、全然暑いな。

「あの商人につかまされたか」

「脱がない方がいいよ?」

「さっむ!?」

防寒着の性能が良すぎたせいだったのか。

命を懸けた甲斐があった。

「あの、あれなんですか?」

「なんだよ? あれは太陽だろ」

「おかしいわね」

「そうだね、シユウこっちみてみ」

ロイバが指さすところにあったのは太陽。

さっきミアの示したところにあったのも太陽。

異世界だから太陽も二つあるわけだろ、何がおかしい。

「え?……熱っ!」

火傷しそうなほどのすさまじい熱気が強風とともに吹いてきた。

北にある太陽のほうからだ。

「敵かもしれないわ、気をつけなさい」

「探知は?」

「範囲外です、でも私たちのまわりには人はいません」

「あれ?」

無くなった。

北にあった太陽が見当たらない。

「いったい何だったんだ……って寒っ!」

また風が吹いたと思ったら、今度は震えるほど冷たい。

異常現象ってやつか。

たまったもんじゃないな。

「いくわよ」

「……っておい、今のを放っておいていいのか?」

「時間の無駄よ。」

明らかに敵、シュロムが起こしてそうな現象なのに、ソフィは構わず歩いていく。

ソフィのことだから襲われても平気だということだろう。

この前散々だったってのに。

「ミアちゃん、さっきのなんだったんだろうね? 見に行く?」

「行きません。あと、近いです」

満点の空の下。

この後は特に何もなく、まっさらな粉雪の上を歩いて行った。

だんだん冷えてきたな。


かなり冷えてきた。

歩けば歩くほど、歩きにくくなってる。

北のほうに行っているから寒いのもそうだけど、雪で足がもつれる。

「ああ、ああ!」

「そうです、うるさいです」

「うん、シユウやかましいよ?」

後ろを振り返ると、ミアもロイバも呆れ顔。

なんでそんなに平気なんだよ。

イライラしているのに体は冷えたままなのが、不自然でさらにイラつく。

「まだつかないのかよ」

「もう少しってところだよ」

「ほら、頑張ってください」

ソフィとロイバが余裕なのはわかるが、なんでミアもそんなに。

いや、待てよ。なんかそっち足跡少ないな。

「もしかしてお前ら……」

「どうしたんですか、早く歩いてください」

「ん、なんで止まってるんだい?」

そうかそうか。

こいつら、俺の足跡の上を歩いていたのか。

だから足がもたれない。

「ほらほら早く歩きなよ、シユウ~」

「そうですよ、動かないと凍えますよ、シユウ~」

俺が動かすべきなのは足ではなく手だったみたいだ。

だからこんなに寒いのかもしれないな。

「なにやってるの、置いてくわよ!」

「……」

「ほら、シユウ進んでください」

卑怯な。

もうミアが攫われても助けてやんないぞ。

「早くしなさい!」

ああ、冷えるせいで声が透き通ってる。

ソフィの怒鳴り声が針のように刺さってくるぞ。

「シユウ、そんなに辛いなら僕たちと同じように真似したらいいと思うよ?」

「そうですよ、ソフィの足跡をなぞればいいじゃないですか」

確かにそうだ。

俺もソフィの足跡を……いや、なんか嫌だ。

そうすることで何かを失う気がする。

「……はぁ」

溜息をつき、俺は雪原を進んでいく。

周りには何もなく、最初は感動した景色もとっくに飽きている。

変化するのは次々とできるソフィの割と大きい足跡だけ。


欠伸をすれば口が乾き、涙も固まっていく。

どうやら俺は雪原に嫌われているらしい。

「温かいところにいきたい……」

「僕が温めてあげようか?」

「大丈夫だ、今ので温まってきた。この拳が―っていきなり止まるなよ」

「前を見なさい」

あれ、広がる雪景色がなんか赤い。

ここは魔境かと思ってよく見てみたら、煉瓦の壁だった。

ってことはようやっとこの地獄から解放されるってことだよな。

「これが有名なストラーダ長壁ですよ」

「長壁?」

「おお、あっちまで続いているっぽいね。この壁」

「これができたのは1309年で、このときにストラーダはムールハットを……」

そういえば、ミアは観光好きだった。

これは話が長くなりそうだ。

よし、置いて行こう。

「……ってことがあってこの壁は赤くなったのですよ―って、ちょっと待ってくださいよ!」

「なるほどなるほど、そんな背景があってこの壁はできあがったんですか。ところでなんでこんなに長いんですかミア先生―ってミアちゃん置いて行かないでよ~!」

やっと、この忌々しい雪ともおさらばだ。

ソフィがゆっくり占めた壁についているドアを一気に開ける。

「……遠くね?」

目を細めてようやっと見える港町らしき壁からはみ出している屋根。

長いのはこの壁だけじゃなかった。

「町までの距離を誤魔化すために長壁はつくられたという説もありますよ」

「はは……」

俺は剣を取り出した。

二回振っても全然進めなかったからやめました。

なんだよこの魔剣、全然使えねえな。

運動を逸らす能力ではなく、運動させる能力だろ。


ソフィの足が止まる前に、後ろのミアがさらに息を荒げて気づいた。

もうついたのか。

思いのほか、ミアの歴史の話は面白かった。

「なんか嫌な壁だな」

「そ、そうですか?」

目潰してくる赤い煉瓦。

見上げてわかる、なかなか高さ。

ミアの話ではストラーダ港は昔あったストラーダという国の本拠地、敵国を動揺させるために真っ赤になっていて……うんうん。

「姉貴、ここのハチミツうまいんだってさ!」

「旅行に来たわけじゃないわよ」

「シユウ、置いてきますよ?」

ミアが笑っている理由が何となくわかって、俺はそっぽを向いた。

天狗なのはそっちだろ。

「……」

衛兵に睨まれながら、重い扉を開いて町に入っていく。

まるで犯罪者のような目つきだったぞ。

「シユウ、す、すごいですよ! 見てください!」

「ん?……おお!」

外国みたいだ。

今までいろいろなところに行ったけど、この煉瓦の道と家が連なっている感じ、尖った屋根。

これぞファンタジーと言わんばかりの街並みだ。

「まずどこ行きますか、博物館ですか? 灯台ですか?? 古城ですか!?」

「いやまずはハチミツだよ、ハチミツと酒だよ!」

「そうだ、まずは酒だ」

「いえ、それは夜のほうがいいですよ。夜景がきれいなお店が!」

「……。」

目を輝かせている俺たちとは対極に、顔をしかめているソフィ。

こんなに綺麗な街なのになんでそんな。

「……。」

ああ、そうか。

そういえばそうだった。

「俺たち金ないんだったな……酒は無理か」

「え、お金ならあるよ?」

「なんだその袋!?」

「財宝売ってきたぜ」

「よし、酒場いくぞ!」

「……。」

まだ不機嫌だなソフィ。

ミアまでなんか睨んでくるし。

ああ、夜景がどうたらっていってたか。

やれやれ、ずっと飲んでれば変わらないというのに。

「……どこの酒場いいんだろ?」

「たしかに。」

衛兵に聞くか。

いや、なんか怖いし。

「……はぁ、ミア宿屋行くわよ」

「え、あ、はい」

呆れてソフィとミアはあっちに行った。

「宿屋……!?」

「どうした、ロイバ?」

「宿屋の人なら酒場知ってるよ!」

「そうだった!」

俺とロイバは雪の都会を走っていく。

ソフィとミアも追い越して一直線に宿屋へ。

だがその地面が冷たいと気づいたのは、転んだ後だった。

「馬鹿ね」

「え、大丈夫ですか?」

「それは煽りか?」


そろそろ時間を固定したいと思いつつ、書き終えてすぐに出してしまう。

今回はあんまり進んでないし、内容もない。

次回からちゃんと書きます。

いや、今回もちゃんと書いてるよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ