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早朝。
「ん……」
前日に早く眠ったおかげで、陽が昇るか昇らないか、という時間帯にわたしは目を覚ます。昨日はゆっくり寝れたのでベットから降りて着替える。
着替えると部屋を出た。
「フッ――」
前日に案内されていた、個人練習用のグランドで、剣を振るう。この大会では、魔術やスキル 剣を使うので一応確認として剣を降っていた
朝早くに来ることが出来たおかげで、私以外には誰もいないはずだ。
「……何がいる・・・・?」
二人組の男……。
「……狙いは、私かな?」
訓練を続けていると僅かな魔力の揺らぎを感じる。普通感じることがないほどの揺らぎだがエリスは、違う。諜報部として活動していたのでこのくらいの揺らぎでも察知できた。
ということで隠れてコソコソしてる奴を早速追い出そう。
「ッ――!?」
「チッ――!!」
男達から感じられる、動揺の気配。
刹那、私は剣を持ちながら駆け、男達の前に飛び出すと、勢いのまま一刀を降り抜く。
ただ、殺しはしないよう、峰打ちだ。
首の良いところに入り、まず一人が地面に崩れ落ちる。
もう1人を倒そうと剣を振るうが短剣で剣を捉えられた。
……まだ目は機能していないはずだが、音か気配かで感じ取られたか。
「ねぇ何者?」
「…」
無視されることは想定内なので追撃を仕掛ける。
エリスは、敵を殺さないようにだいぶ手加減をしながら相手と戦う。
「フっ!」
剣を相手に投げ敵の行動を誘う。動いたところをエリスが思いっきり殴る。敵はガードをしたようだが両腕の骨がボキッといい吹き飛ばされた。
男達の体を一応調べる。こういう怪しい奴らは、だいたい何か刻まれているのだ。左腕の、手首の辺り。
ぶわりとそこに、入れ墨・・・のようなものが浮かび上がる。
アルファベットの『Ⅴ』のような字の中に、『〇』の記号が入っており、その周りに文字なのか記号なのか判別が付かないような、短い文章らしきものが彫られている。
「……なるほどねー。これは、めんどくさいのが出てきたね」
これは、ベルドルークの暗部の証である。以前、総帥から話を聞かされていたエリスは、一瞬で答えを見つけた。
「はぁまさか魔導大会で何か企んでるの?」
訓練所で1人エリスは、呟いた。
それからこいつらは、警備員に捉えてもらいエリス、訓練をもう何時間かやって他の生徒の応援に行った。
2日目。
ボックス・ガーデンの予選が近づいてきた。
一試合に参加する人数は、三十人。
本戦に行くには、この中で上位五名に入る必要があり、そのためには一試合で多くのポイントを獲得しなければならない。
ポイントの獲得方法は大きく分けて二種類存在し、他の選手を戦闘不能にさせるか、もしくはマップに隠されたアイテムを発見するかのどちらか。
あとは、試合終了まで生き残ることで、生存ポイントを得ることも可能だ。これが結構大きいので、どの戦略を取るにしても、時間いっぱい生き残るというのは前提に組み込まれている。
ただ、アイテム発見に関しては、試合終了まで保持し続けている必要があり、途中で戦闘になって負けた場合にはポイントにならず、勝った方はそのアイテムをゲットすることが出来る。
逆に戦闘で他選手を倒し、その後別の機会に倒されたとしても、戦闘勝利ポイントはそのまま。
つまり、結局は戦いが強い奴か、相当探索能力と隠密能力に優れた奴でないと、勝ち残れないということだ。しかも、試合後半で人数が少なくなってくると、試合がだれるのを防ぐため、空中に投影されたマップに一定間隔で各々の位置が表示されてしまう。
「さて、この学園の評価上げるためにも私も決勝にいせてもらおうかな」
アランは、当然のように予選を勝ち抜いており、エリスも自由にやっていいと上から指示を貰っているのでとりあえず決勝まで行くことにした。いい経験になるだろうから。
試合のコングがなる。
しばらくは何もなかった。
少ししたぐらいで魔力感知が引っ掛かった。地面を伝わる魔力。恐らく地魔術。発動地点はエリスの足元。三秒後。
タイミングを見計らって、跳ぶ。
刹那遅れ、先程までいた場所に岩の剣山が生えるが、その時には俺は、魔法の繋がる先――術者の元へと斬り込んでいた。
「何ッ!?」
こうも早く反撃を受けることを想定していなかったのか、緊張して反応が遅れてしまったのか、ソイツはまともに胴に一刀を食らい、吹き飛ぶ。
どうやら、うちの学園の生徒のようだが、エリスは、どうでもいいかのように目を離した。
その一撃で許容ダメージ量を超えた、名前も知らない彼はすぐに転送が始まり、この場から消えて行った。
と、その戦闘終わりのタイミングを見計らって、こっちに向かって放たれる火炎放射。
近くにまだ隠れている奴がいたようで、だが先程索敵した際に、そっちの存在も感じ取っていた。正直いってエリスは、魔力障壁が強すぎて並大抵の攻撃じゃビクともしない。
「うわっ!?」
ヤケクソの火球を潜くぐって回避し、下段からかち上げるように、刃引きされた刀身で顎を殴り抜く。
感触からして、クリティカルヒットだったのは間違いないので、エリスは結果を見ずにそのまま駆ける。
さらに、遠くからこっちを見ていた奴が、一人いたのだ。
エリスにバレたことに気付いたのか、ソイツは慌てて後ろに逃げながら、エリスに向かって魔法を放ってくるが、そんなテキトーな攻撃など当たりはしない。いつも魔術が飛び交う戦場で生きてきたのだ。
右に左に避け、追い付いたエリスは、模擬刀を振るう。
一刀目は避けられたものの、そこから数度放った斬撃は回避が間に合わなかったようで、全部食らってフィールド外に転送されていった。
――つまりは、釣り戦法だ。
この競技は戦闘が避けられない、というのは皆がよく知っており、だから、エリスはここにいるぞ、というアピールのための花火だ。
警戒はされるだろうが、ここ市街地エリアならば、遮蔽物が多く存在し、一方的な奇襲を行いやすい環境となっている。
ここなら、罠を警戒したとしても、攻撃してくるだろうと思ったのだ。
そこまで行かずとも、様子を確認するために近くまで寄って来てくれたのならば、十分だしな。こっちから仕掛けて行って、ポイントを分捕る訳だ。
(はぁ面白い生徒居ないなぁ〜)
自学は、してないがエリスは、戦闘狂なので弱すぎる相手には興味が湧かない。ので、あくびしながらポイントを稼ぐのであった。
……
…
「うぉあああ!」
「エリスすごいわね」
「はい…」
観客席では大いに盛り上がっていた。例年は女子生徒の数は少なく予選でだいたいまけてしまうのだが、エリスは、次々と生徒を倒していた。
「あら、アリスさんじゃない。それと、シロナさんかな?」
「?」
「先輩こんにちは!お久しぶりです。あ、こちらは4学年のルナさんと カリナさんだよ。2人ともいい先輩なんだー」
「えぇ宜しくね、私は、ルナよ」
「カリナよ、よろしくね」
「それにしてもエリスちゃんってあんなに強かったのね」
「本当よ!フェスでは、本気出してなかったのね。それにしてもすごいわね。花火で自身の位置を教えて来た人を全員狩るなんて」
「エリスちゃんですから!」
「えぇそうね。エリスだもの」
「ふふ、2人ともエリスの事好きなのね」
「「はい!」」
4人は、必死にエリスの試合が終わるまで応援をした。




