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〜転生者達の傭兵国家〜  作者: あぱ
軍人少女
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3の52

目を覚ましたエリスは、朝から隣にシロナのご尊顔を見て目を細めた。すやすや寝ているシロナは、普段よりもあどけなさがあって可愛らしい。


(もうちょっとゴロゴロしていてもいっか)


一昨日までは飛び起きて準備をし、仕事に明け暮れていたのだが、こんな日があってもいいだろう。目をつぶっても眠気はやってこないので、ぼーっとベッドで天井を仰いだ。

しばらくするとメイドが起こしに来たのでエリスは軽く会釈する。


「こちら、フローリア様のお洋服です」

「用意してくださったんですか?」

「はい。アルレン様が」

「ありがとうございます」


今日着る予定だった服をぐちゃぐちゃにしてしまったので助かった。魔物の血はなかなか落ちないのだ。


「ん、……エリス?」

「おはよ。シロナ」

「おはよう」

「気分はいかがですか?」

「ええ。エリスがいてくれたから、ぐっすり寝られたわ。今日も準備、頑張りましょう!」


シロナも目を覚ましたところで、ふたりはベッドから降りて着替える。エリスに用意されたのは可愛らしいワンピースで一瞬着るのに戸惑うが、無下には出来ないので袖を通した。髪をいつものように編み込み、軽く化粧をしたら支度は終わり。メイドさんに整えてもらっているシロナは、アランとお出かけだからか気合いが入っているように見える。


「お待たせ。朝食に行きましょう」

「はい」


昨日襲われたことは、そんなに響いてないようでエリスは安心した微笑みを浮かべた。


「えっ。昨日の夜、そんなことが?!」


宮で熟睡していたアリスが、夜の出来事について聞かされ驚きの声を上げる。


(結構、騒いでたんだけどな)


エリスはアリスがあの騒ぎの中で目を覚さなかったことの方に驚くが、彼女には孤児院での事件の経験もあるので、何も知らない方がいいのかもしれない。


「ああ。今、騎士団が詳しい調査を進めているが、スタンピードで間違いない。あんなことがあった後だ。今日は皇都に戻ってゆっくりしても」

「えっ」


買い物に行く気満々だったシロナが声を漏らし、殿下が目を丸くする。一番、心配していた相手が残念そうな顔をするのだから、意外だっただろう。


「……。シロナがいいなら、準備を進めてもいいが。平気か?」

「はい!エリスがいてくれて、ぐっすり眠れましたし。その、アラン様がお守りくださったので……」


「「……」」


朝から糖分高めで、数人の目が悟ったものになる。

当のご本人方は、ふたりだけの空間にトリップしてしまった。エリスはコーヒーをごくりと飲み込んだ。糖分の高い話だからかブラックコーヒーが甘すぎる気がする。


「エリスちゃん、シロナ様と一緒に寝てたの?」

「え? うん」


アリスが気になるのはそこらしい。エリスが頷くと、彼女は目を見開いた。


「ええっ。いいなぁ! 今日はわたしも一緒に寝ていい?」

「別にいいけど……」

「やったぁ!」


昨日の夜とのギャップで、アリスが眩し過ぎて目を細める。


食事が終わると、集合場所と時間を決めてそれぞれの班が動き出す。せっかく紫翠の宮に来たのに、一日でお別れとは残念だが、次に泊まる場所も殿下が用意しただけあって豪華なところ。魔術開発組は先にそちらに移動し、紙とキャンドルを見つけてくる組たちはそれぞれ目当ての店へ。


「では、行ってきます」

「気をつけるのよ?エリスも女の子なんだから、困ったらちゃんとアルレンとガイアス様を頼るの。いい?」


「買い物をするだけですから」と出そうになった言葉を

エリスはぐっと飲み込む。彼女たちは、それすらも護衛がいる生活をしていることを忘れてはいけない。貴族も大変なのだ。


「わかりました。シロナもお気をつけて」

「ええ」


シロナとアランは馬車で移動する。勿論、護衛の騎士もたくさん付いていく。市井に混じるために変装はしているが、隠しきれないキラキラオーラ。いいところのお坊ちゃんとお嬢様が狙われないことを祈る。


見送りに挨拶すると、エリスは、同じ班のアルレンと

ガイアスを振り返った。このメンバーでも、総帥の息子であるガイアスには護衛を付けるべきなのだろうが、彼のダンジョンでの活躍と、暗殺業を営むアルレンがついているので免除されている。

より、エリスいうこの国一を争う実力者がいるので護衛など足手纏いにしかならない。まあ、その事実を知っている者はここにはいないのだが。


「じゃあ、行きますよ?」

「はい」

「どうぞ」


エリスはアルレンとガイアスの肩に手を置く。

足元に魔術陣が浮き上がったかと思った次の瞬間には、室内から木陰に転移していた。


「着きました。ビーハムです」

「……。実感がありませんね」


数秒で違う場所に来て、アルレン宮の裏庭なのでは無いかと不安になる。


「先にハピリフに行きましょう。時間が余ったら、ちょっとだけ街を見て歩きませんか? せっかくですからお土産も買って帰りましょう」


「そうだね。どうやら、ここはちゃんとビーハムみたいだし」


先を確認したガイアスがそう答えた。


目下には、〈水の都〉と呼ばれる白と青の建物が並ぶビーハムの町と煌めく海が広がっている——

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