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〜転生者達の傭兵国家〜  作者: あぱ
軍人少女
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3の25


もうすぐ待っているのは定期考査。

この学園では全ての教科の合計点が高い上位十名は、大廊下に張り出されることになっている。エリスは特待生として、3位以内を目指すことにし、日々勉強に精を出していた。


「ふぅ」


自室で勉強していた彼女はペンを置いて、一息つくと手を組んで縦に伸びる。シロナを標的とした殺気についてはまだ犯人が分かっていない。


「エリスちゃん! ご飯食べに行こう!」

「うん、わかった」


今日は土曜日。部下の予想通り、シャツにズボン姿のエリスはアリスに呼ばれて食堂に向かう。


「テスト、心配だなぁ……」


リゾットを食べながらアリスが不安そうに呟く。


「公式を覚えれば点数は取れるよ!」

「それがたくさんあって大変なんだよ〜」


嘆くアリスに、エリスは肩を竦める。こればかりは自分で頑張って理解し覚えてもらうしかない。


「うぅ。エリスちゃん、お勉強教えて〜! わからないところがあり過ぎて、このままだと大変なことになっちゃいそうだよ〜!」


天使の悩みを見逃す訳にも行かず、また小説のフラグが立ったことに気が付いたエリスはいいよと返事をする。


「あ、そうだ!」

「ん?」

「勉強会しようよ! カーナ様も誘って!」


こうなることは分かっていた。


「いいね。後でお願いしてみようか」

「うん!」


本来ならアリスと攻略者数人で行われる勉強会だが、ここはシロナにも登場願わねば。


「いいわね! 他にも誘ってみんなで勉強しましょう。テストに出そうなところを共有するの!」


シロナ声を掛ければ、すぐに了承してくれる。

もちろん、彼女もこれがイベントだと分かっているので、殿下とのフラグを折りに行っているのである。


勉強会に参加したのは、彼女たち女子三人に加えてアラン、アルレン、ウレック、ケルヘラム、ガイアスの五人。

エリスは自分が場違いすぎて、辞退させていただこうかと悩んだが、シロナが調理場を借りてお菓子を作って来てくれるそうなので出席することに。日曜日に寮のフリースペースに集まり、座席は二かける四でシロナ、アラン、アリス、アルレンと並んだ前にエリス、ウレック 、ガイアスという配置である。


アランはシロナにぴったりだし、アリスの周りはがっつり埋まっている。エリスの前ではアランとシロナのいちゃいちゃが繰り広げられることは明白であり、隣には閣下の顔があるので心休まらず。


(心頭滅却……)


鋼の精神で自分の勉学に励むことに。お菓子目当てで勉強会に参加しているエリスは、ひとり黙々と手を動かしていた。それまでエリスに夢中だった攻略者たちも、静かに勉強する彼女のオーラに本来の目的を思い出した様子である。


「必死だね〜、特待生。勉強なんてしなくても出来るんじゃないの?」


横から槍が降ってくるが、彼女にそれをいちいち相手している余裕は無い。


「成績上位に入れないと、退学なので」


さらりと言い流したが、その場は静まり返る。エリス・フローリアは特待生。全ての費用を学園側に支給されているため、特待生で無くなれば学園を辞めなければならない。

その後も淡々と勉強するエリスに、一同真剣に勉強することに。


「休憩にしませんか」


シロナの提案でひと休憩するまで、エリスは一言も発さずノートを文字で埋め尽くした。机の上を一度片付けていると、どこからか戻って来たカーナに「エリス」と呼ばれる。


「はい? むぐ」


振り返ると、彼女から口にクッキーを押し込まれ、エリスはそれを頬張る。


「お疲れ様。美味しい?」


どうやら気を遣わせてしまったようだ。エリスは咀嚼しながらこくこく頷く。その様子を「リスみたいで可愛い」とシロナに思われているとは知らず、彼女はもぐもぐ口を動かした。


が、違和感が残る。シロナ料理が下手なはずがない。


(毒?!)


耐性があるので、耐えられないことも無いが、これはかなり強い毒だ。手足が痺れ始める。シロナが毒を盛るなど考えられなかったので、シロナを貶めようとするものがいると考えたエリスは迷う。予想以上に強力な毒で視界がボヤける。軍人として毒の耐性は取得しているが完璧ではないのだ。ましてや、スキルを使えば毒など無効なのだから。


「うっ…」


「エリス!?」

「エリスちゃん!?」


(まさか、毒で私がやられるなんて…私というイレギュラーを排除しようとしてるの?それともシロナを悪役として仕立てあげようとしているの?)


自身の思考力が落ちながら必死に考えた。


―バタン



「エリスちゃん!今治すからね!頑張って!」


目の前で私が作ったクッキーを食べてエリスが倒れた。

私の視界が黒くそまっていく。その間にもアリスちゃんが自分のスキルでエリスちゃんを治そうとする。私は、何も出来ない。


―私は、やっぱり悪役なの?罪のないエリスちゃんを毒殺でもしようとしたの?―


「おいしっかりしろっ!」


理事長先生が駆けつけてきて、エリスを運ぶ。私は、見ているだけで何も出来なかった。


「シロナ!シロナ!しっかりしろ。これは、お前のせいじゃない。」

「殿下…私…何もしてないで…す…」

「あぁ、分かってる。とりあえず皆んな、一旦部屋に戻ろう。先生方よろしくお願いします。」


アリスちゃんが必死に治そうとしたが強力な毒だったのか容態は安定しなかった。


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