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〜転生者達の傭兵国家〜  作者: あぱ
軍人少女
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3の6

二ヶ月はあっという間に過ぎ去り。


「お、終わったぁ〜」


明後日に入学を控えた彼女は、最後の仕事を終えて脱力した。ギリギリまでかかってしまったが、何とかやるべきことを全て終わらせたのだ。


「お疲れ様です〜団長〜」


目の前にいる私と2個離れた少女はエットと言い、気の緩むような声だがいつもの事なので気にしない。今日はノルやトレークなどはおらず、皆んな任務へ駆り出されてしまい残ってるのはエリスとフェータしか居ない。

彼女は転移の魔法を発動させて、現れた大きな箱を手に持ってエリスの前に。


「みんなから〜日頃の感謝を込めて贈り物です〜。受け取ってくださ〜い〜」

「えー!?」


まさか、厳しくシゴいている団員からプレゼントがあるなんて夢にも思わなかった。


「どうしたの、これ?」

「団長はわたしたちの師であり、恩人であり、家族です。入学おめでとうございます。団長の任務規定上、学校には行けませんが、我々はここから祝福していますので」


どうやら入学祝いを用意してくれたそうだ。


「ありがとう。大事にするよ。中は何だろう?」

「ドレスコードですよ」

「へ?」

「ドレスです」

「うん?」


ドレスコード? 何故?

エリスはポカンとしてエットを見た。


「やはり用意されていませんでしたね〜。ヴァンドールは貴族の学校と言っても過言では無いのですよ? 入学式は制服でも、新入生歓迎会はドレスコードです〜」

「わお」


彼女は目を丸くした。

確かにパーティは正装でと記述があったが、学生の正装なのだから当然制服だろうとエリスは勘違いしていた。

そもそも、平民もいるのだ制服と思うのが普通である。


「危ないところだったよ。ありがとう。ここで見てみてもいい?」

「お好きにどうぞ〜どうせ見るのですし〜」


エリスは机の上を片付けると箱を開けた。


「うわぁ。いいね! 」

「サイズは制服の採寸のときのものを使用しているので大丈夫だと思いますよー」


スカート丈のドレスで、夜空色の落ち着いた雰囲気がでる綺麗なドレスだった。

動き周りやすそうなドレスなので嬉しい。

もう1着あるので、持ち上げて見ると、落ち着いたライムグリーン色のAラインドレスだった。シンプルだが、レースが上品に揺れる。とても好みだ。そして、夜空を照らすような

星々を表すような銀色のヒールも添えてあった。


「あとこれは〜トヴェリから渡して欲しいと頼まれました〜」


エットは小さな箱を差し出す。トヴェリの名前を聞き私は少し躊躇する、あの子の言いたことはすごくわかりやすいのだ。


「これは何??」

「トヴェリがいうにはくっつけるとハートになる、ネックレスらしいです」

「はぁあの子ったらどこからそのような物を買ってきたの?」

「あの子は変わってますからね」

「可愛いからありがとうって言っておいて」

「はい、分かりました。あと、これは私からです〜」


そこには輝く銀の髪留めが。

小さめなので、この長い前髪を留めるのに使えそうだ。


「わぁセンスいいね!ありがとう」

「学園での土産話、楽しみにしていますからね〜」

「そう? きっと面白いことが沢山あると思うよ。楽しみにしていてね」

「はい〜」


エリスはしばらく贈り物を眺めたあとそれらをまとめると、帰りの支度を整えた。


「この間みんなに挨拶したけれど、直接お礼を言えないのが残念だな。君から私が凄く喜んでたって伝えて置いてくれるかな?」

「はい。かしこまりました」

「うん。……では、後のことは頼む」

「ハッ。神の御加護があらんことを」

「神の御加護があらんことを」


エリスの足元に魔法陣が現れる。数年は、こことはお別れだ。彼女はビシリと敬礼を決めて転移した。


***


「うわぁ。私ちゃんと学生だよ」


入学式当日。

エリスは新品の制服に袖を通し、鏡の前でまるで未知の生物でも見るような目で自身を見つめていた。

いつもは適当に梳かしてそのまま仕事に出ている髪を今日は横髪を編み込むことにした。

化粧は禁止されていないので、血色がよく見えるように色付きのリップを塗るくらいはしておいた。どこからどう見ても年相応の学生だ。軍人だなんて、言わなければ誰もわからないだろう。


「あ、そろそろ荷物を運ぶ時間だ」


鏡に映った時計に気がついたエリスは、慌てて床に置いておいた荷物を確認する。ヴァンドール魔導学園学園は難関試験を突破した者たちが集う学校。

入学証明書と共に送られてきた魔法陣の上に荷物を乗せておくと、所定の時間になれば荷物が寮に転移される仕組みだ。


一学年に千人がいるはずなのだが、全員の荷物を転移させるとなると、A級以上の魔物からとれる魔石が転移装置に使用されていることになる。

転移装置は国からの許可がないと製造及び使用ができない軍でも重要な機械なのだが、それが学園にもあるとはエリスにとっては不思議な感覚だ。流石、VIPが集まる学校とでも言っておこうか。


「忘れ物は無しと」


チェックを終えて数分すると、魔法が発動して荷物だけが消えた。次に残った魔法陣の上に自分自身が乗れば、時間になると学園に転移される。


「いよいよかぁ〜」


エリスは柄にもなくドキドキしている自分に気がついた。

今からやることは任務だけれど、任務じゃ無い。

自分の意思で感じて、考えて、如何様にも学園生活を過ごすことができる。極めて自由な任務だ。


「私は平民として入学するんだから、身分を弁えないとな。無難に充実。これが一番。呉々もお偉いサマの子に目をつけられて、捨て駒にされないようにしないと……」


三年後には軍に戻ることが確定しているので、もしも自分の上司になられてしまった時にこき使われないように、当たり障りなく接していきたいところだ。

これは本当に気をつけておかないと、後に死活問題に発展する。


それから息をと整え、黒い眼に複雑な青い魔術陣を浮かばせた。


「いってきます」


淡い光がエリスを消していく。

主人がいなくなった小さな部屋はとても静かだった。


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