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同時に包まれる、喧騒の音。冒険者ギルド内部は騒がしく、受付が十程横一列に並び、その前方には大きな掲示板が置かれ、無数の冒険者達が良い依頼を巡り、取り合っている。右側にテーブルやバーカウンターで、他の冒険者達が、談笑しながら、酒らしい飲み物を酌み交わし、骨付き肉を頬張る。武器すら持っていない俺が入って来た事に一瞬目線が集まるが、すぐに興味が失ったらしく彼らは仲間たちとの談笑に戻り、酒を飲み始めた。
そのまま受付の方へ向かう。複数ある受付のうち、『新規登録者』とカウンター上に書かれた受付を見つけたが、既に五人程の列が出来ていたので近くに空いていたテーブル座り、待つことにした。新規登録の様子を見ていたが、どうやらまず最初に書類らしき紙に記入し。次に渡された鉄製のカードに針で刺した一滴の血を垂らし、楕円をした水晶の上に乗せると、登録者のステータスが表れたら無事、登録が完了ようだ。一応スキルは隠しておいた。
10分程待ってたら、皆登録し終わったようなので、受付の前に移動した。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
ピンク髪にピンクの狐耳がピョコッと微かに揺れてる可愛いらしい受付嬢が座りながら丁寧な対応をしてきた。
「冒険者登録をお願いします」
「畏まりました。では、こちらの書類に必要事項を記入をお願いします。代筆はいりますか」
「問題ない」
そう言って、書類を受け取った。名前の欄にルックと書き、特技は魔法。年齢は適当に17と書く。
「どうぞ」
「はい、ありがとうございます…ルック様。それでは、血を一滴このカードにつけてもらえますか。その後にこちらの水晶に乗せることによって魔力がカードに登録されますので」
針とカードを一緒に渡されたので、言われた通りに針で指先を刺し血を確認したら、カードに垂らした。カードが一瞬光った後、楕円の形をした水晶の上に乗せると水晶の中に俺のステータスが表示された。
名前:ルック
種族:人族
職業:魔導士
レベル:5
スキル:
火魔法 水魔法Lv.2 魔力操作Lv.2 生活魔法
剣術Lv.2 体術Lv.1 身体強化Lv.1
偽のステータスを見て受付嬢は狐耳をブンブンしながら驚いていた。
「凄いですね!まさか2属性適正にレベル5で剣術が2レベルですか!?」
おいおい、大声で個人情報ばらしているぞ。ほら、さっきまで俺の事なんか眼中に無かった連中が、こちらを見てるぞ。俺の呆れた視線に気が付いた受付嬢が、顔を赤く照れながら謝ってきた。
「も、申し訳ございません。つい、びっくりしちゃってアハハ」
「いや、気にしなくていい」
ここは紳士らしく答えよう。
「わあぁ優しい人なんですね!…ッゴホン、気を取り直して。これがギルドカードになります。魔力を込めると名前とランクが浮き上がります。ランクが上がるたびにカードの素材も変わってきますから頑張ってください!新規登録者は最初Fランクからのスタートになります。それでは、冒険者についての説明は必要ですか」
「ああ、お願いする」
ちょこちょこ本音が出てるが、対応はちゃんとしてるので、このまま説明を聞こう。
「はい!折角長い説明を覚えたのに、皆さん詳しく聞いてくれないんですよね…っ!では、冒険者にはランクが存在しており、皆様最初はFランクから始まり。そこから最後はSランクまであります。Sランクに関しては、現冒険者ギルドで知る限り、今は50名しかおりません。勇者赭さまはSランクの更に上のSSランクでしたが、それ以降誰も、SSランクになった者は居りません。カードの素材に関してはFランクは鉄から始まり。EランクとDランクは銅、Cランクは銀、Bランクは金、Aランクは白金、そしてSランクはアダマンタイトカードになります。SSランクのオリハルコンカードと、記録されてます。昇格についてはその内分かります…はぁ疲れた」
異世界から召喚された勇者かもう居ないだろう。居ても
邪魔するなら殺すだけだったと思うが。
「依頼については、通常依頼、指名依頼、緊急依頼、オープン依頼の四種類があり一般的には、通常依頼となります。但し、高ランクに上がると、依頼者の指名がある指名依頼が出される可能性があります。指名依頼の内容が違法依頼では無い限り、断る事は難しいです。緊急依頼については、ダンジョンから魔物の氾濫によるスタンビートなどがあります。他国との戦争についてギルドは絶対的中立を取っていますので各自の判断でお願いします。最後のオープン依頼については、もし依頼中に未発見ダンジョンを見つけたら即座にギルドに伝える依頼になります。依頼中では無くても、見つけた場合即座に伝える事を義務付けられています」
凄いな。良く噛まずに喋れるな。ギルド職員がこれを全部読めるのだろうか?
「通常依頼は左側に設置されてる巨大な掲示板に張り出されておりますので、あのむさ苦しい中から剥がして受付までお持ちください。それに、依頼を受注せずとも魔物や薬草を納品してもらえばランクはあがります。パーティーを組まれる場合はこちらの受付で登録してください。ギルド内で冒険者同士の争いは、感知しません。もし冒険者を殺した場合、時と場合により犯罪奴隷におとされてしまうので気おつけてくださいね」
「ありがとう。」
「いえいえでは、高みを目指して頑張ってください。あ…」
最後の言葉に俺は笑顔で答えた。すると急に後ろから俺の肩に何かが置かれた。
置かれた方へ振り向くと、そこには一人の大男の手が俺の肩に置かれてた。良く見ると、更に二人の男が大男の真後ろにいた。テンプレか。これはあれか?新人を痛めつけて冒険者からはなしたいのぱたーんか?それともただこの受付嬢と長く話してるのがきにいらないのか?
「おいクソガキ!おめぁ俺のヒナちゃんと喋りすぎなんだよ!あぁ!?なあひなちゃん!こんな貧弱のガキ魔導師の相手してないで、俺達と相手しようぜぇなあ!?しかもこにゃぁガキのレベルはたったの5だぜ!んなの俺たちが先輩として面倒みてやる…ぜっ!」
俺の肩に置いてた手を一旦どけ、そのまま顔に向けて殴りかかってきた。それを避けた。
「っち!このガキ面倒見るって言ったのに一丁前にかわしやがって!おいてめぇら!こいつに先輩方からの教育を見せやがれ!」
大男の真後ろに居た、チンピラ二人が俺の左右から殴りかかってくる。既に面倒くさくなった俺は、手加減をしないで
魔力を乗せた拳を思いっきりチンピラ共に振り被った
「ぐっぅ、ががあああぁあああが!」
ピンボールのように、俺の左から殴りかかっていたチンピラは冒険者たちが飲み食いしてる方へぶっ飛びテーブルを壊しながらバーカウンターに強烈な音を立てながら止まった。右から殴りかかってきたチンピラは掲示板が設置されてるすぐ傍の壁に穴を開け、隣の建物に吹っ飛んでいった。一番もろに衝撃波を食らったチンピラボスは、そのまま猛烈な速度で出口からメインストリートへ吹っ飛んだ。いきなりの事態に一気に静かになったギルド内。誰も状況が理解出来なかった。
「あいつらが勝手に吹き飛んで壊した壁とか、テーブル壊した請求はそいつらによろしく」
「は、はい、わ分かりました」
未だ口をポカーンと開けてるヒナに挨拶をして、堂々と扉から出て、メインストリートど真ん中で失神してるチンピラを横目に宿に帰っていった。
「あ、あのガキ何者だ…?」
ギルドでは楓が出た後混乱していた。




