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〜転生者達の傭兵国家〜  作者: あぱ
ダンジョンマスター
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2の5

翌日、勇者一行は深淵宮第30階層まで到達していた。


「ギギャギャ!!」


「どうやら何も起こりそうにないな」


そんな断末魔の悲鳴をあげるオークを切り捨てながら隼人が俺にそう話しかけてくる。


俺と隼人、静香と雫の4人が先行部隊として迷宮に入る事になった事を省けば、今回遠征の目標である第60階層までの半分を終え、特段大きな問題が起こる事もなく、ここまで来れたと言える。


俺たちは現在、迷宮第38階層に到達している。


「そうだと良いんだけどな」


俺は断末魔をあげるゴブリンを無造作に切り捨てながらそう返す。


「二人ともちゃんと集中してね」


そんな会話を隼人としていると後ろからそんな俺と隼人を叱咤する声が飛んできた。


「わかってるって」


静香の注意に隼人がそんな空返事を返すと、静香は目尻を釣り上げ額に青筋を浮かべながら微笑を浮かべる。


「まぁまぁ、静香落ち着こうよ。ね?」


そんな静香に隣に立っていた雫の顔をしたから覗くように首を寝かせながら声をかける。


「そうそう、所詮は雑種のオークとゴブリンだろ?」


そんな静香の言葉にこれ幸いと駿が襲い掛かってくるゴブリンとオークを豪快に蹴散らしながら言い募る。


「はぁ、かつらきは何にもわかってないよっ!

確かに、ゴブリンやオークは単体では大した事ない雑魚だよ。

けど、ゴブリンとオークの恐ろしい所はその繁殖力!数の暴力だよっ!!どの種族の女の人でも攫って魔物を産ませるような魔物だもん!」


熱意を燃やす静の様子に、俺たちは苦笑いを浮かべる。

ゴブリンとオークはただの村人でも退治できるような雑魚だがその繁殖力は侮れない。


過去に数万、数十万と言うオークの大群によって滅んだ国があったらしいし、雑種ならまだしもキングやロードとなると単体でもかなりの強さを持つ。


そして今、俺たちはそんなゴブリンとオークの大規模な混成集団に襲撃を受けていた。


「さてと、蹴散らすとするかっ!」


怒号と共に手に持っていた圧倒的質量と存在感を誇る大剣を 地面に突き刺した。

すると地面が砕けオークやゴブリンが下に落ちる。


「相変わらず、便利だよね葛城のスキルってさ!」


「確かに、葛城くんそのスキルは反則だよね」


「俺もそう思うよ」


隼人のスキル戦王は武具創成。

そして武具の能力さえ作れるのだ。今使った大剣は地面に刺すと地面が割れ奈落を作ることが出来る。集団戦では大活躍だ。


仕組みを理解してさえいればどんな武具であっても創り出せるとそしてなりより、防壁なども作れるのだ。

まさしくチートスキル。


創り出される武具は駿の魔力を媒体に構築されており、今のように霧散させる事も可能、まぁ尤も霧散させた所で費やした魔力が戻るわけでは無いけど。


それに欠点がないわけでは無い、剣などの単純な物は簡単に作れても、銃などの構造が複雑なものは作れなくはないが膨大な魔力と集中力が必要なため戦闘中には不向きだ。


「はいはい、じゃ、展開してる結界を解くよ?」


「おうよ!」


雫の言葉に隼人が頷く、その瞬間、俺たちとゴブリン オークを分け隔てていた結界が消え失せる。


俺たちがゴブリンの大群に囲われながらもこうして余裕を持って会話を繰り広げられたのも、周囲に雫が結界を張ってくれていたおかげだ。


しかも、外からの侵入と攻撃の一切を弾き、内からの攻撃は届くと言う反則のような結界…まぁだから隼人は大剣を使っていたんだけどね。


「はぁっ!!」


そんな気合と共に魔力を纏わせた剣を隼人が突き出すと、発生した斬撃により射線上にいたゴブリンが胴体が半分に切れる。


「ほんと、漫画見たいだよね」


「ああ」


「うん」


ゴブリンとオークを相手にまさしく無双している隼人の姿を見て俺たちがそんな会話を交わしたのは無理のない事だろう。


「グギャオオゥゥッ!!!」


凄まじまでの怒声が響き渡り、騒いでいたゴブリンとオークやが静まり返り、駿も動きを止める。


「やっぱり、そんなに甘くは無いか……」


俺たちの視線の先には、ゴブリンとオークが明け渡した道の奥から2体の巨体が姿を現す。


「うっそ、あれってゴブリンキングとオークキングじゃ無いの?」


「おいおいなんでこいつらのトップが2人いるんだよ!?」


現れたのはゴブリンとオークを統べる王、ディザスター旧指定されているゴブリンキングが2体。


「おいおい、キングが2体って、どうなったんだ?」


俺たちの所に戻ってきた隼人が開口一番尤もな疑問を口にする。


キングがこんな上層にいることは異常と言える。


「わからないけど、俺たちが先行しておいて正解だったな」


「そうだね」


「うん」


「だな」


指定モンスターであるキングは学園生が太刀打ちできる存在では無い。


もし学園生達が遭遇していたらまず間違いなくそのパーティーは全滅していただろう、それは1ヶ月前までの俺たちでも変わらない。


だが、今は違う、今の俺たちなら油断しなければ勝つことが出来る相手だ。


「全力で行くぞ」


俺の言葉に、3人が真剣な眼差しで頷く。


「ふん、貴様らか?我が下僕共を殺してくれたのは」


そして、そんな俺たちに向けそんな声が投げかけられた。


先程現れたキング達が跪き、その後ろからキングをも超える存在感を放つ存在が姿を現しす。魔物を統べる魔王と劣らない魔物。


「鬼竜……」


唖然としたそんな俺の呟きを知ってか知らずか、ドラゴンはニタリと獰猛な笑みを浮かべ気がした。


「おいおいっ!マジかよっ!?こんな上層にこんなバケモノがいるんだよ!!魔王と同等っていわれてるんだぞ!?」


鬼竜の登場に隼人が悲痛な声を上げる。


「ははっ、これは遠征なんてしてる場合じゃないな…」


「ちょっと隼人、そんなこと言ってる場合じゃないって!

早くどうにかしないとマズイって!!」


「くそっ!今の俺達じゃ、ゴブリンロードにはまだ勝てない、撤退す…」


「奏斗!!」


撤退の指示を出そうとした瞬間、信じられない速度で何かが俺に向かって飛来した。

咄嗟に剣で斬り捨てたものの、隼人の忠告が無かったら危なかったかもしれない。


「まさかオークを野球の球のように打ってくるとは」


視線の先には尻尾をしならせ次のゴブリンを打ち込もうとするドラゴンの姿。


しかも……


「退路を断たれたか…」


俺が、投げつけられたゴブリンを斬り捨てた隙に、ゴブリンロードは他のゴブリンを投げ飛ばし俺たちの背後にある通路への入り口を塞がれた。


無論、投げられたオークはその原型がわからない程にぐちゃぐちゃの肉塊と化している。


「あぁ、これはちょっとヤバいかもな」


「ちょっ2人とも!そんな悠長な事言ってる場合じゃないよっ」


確かに静香の言う通りこんな呑気に話してる場合じゃないな。


「静香ちょっと落ち着いて!確かにマズイ状況ですけど、焦ってもどうにもならないから」


「そうだぜ静香、ちょっとは落ち着けって」


退路は断たれ、俺達が勝てると言っても強敵である強さの2体のキングに加えてそのキングを従えるドラゴンが1体。


そんな絶望的な状況でもいつもと同じ様に静香をからかう隼人。確かに絶望的な状況だか取り乱していては、どうにかなるものもどうにもならなくなる。


「…ありがと」


「気にすんなって」


俺達は下がる訳には行かなかった。群が深淵宮の外に出るなんて事態に陥れば帝国自体が滅亡しかねない。


「やるしかねぇか」


「はぁ、やっぱりそうなるよね」


「私達ならどうにか出来るよ!」


そう言って笑みを浮かべる3人に頷いて答える。


「よし、まずは雫の結界を軸にキングを仕留める」


「了解。ドラゴンは厳しいけどキングだったら破られる事は無いよ」


「雑魚共とキングは俺が引きつけておいてやるよ」


「ああ、頼んだぞ隼人。静香と雫は駿の援護を頼む」


「うん」


「よし、行くぞっ!」


その瞬間、隼人がその手に一振りの剣を生成し、ロードに投げつけると同時に走り出す。さらにもう一本を生成し投げつける。


まずかな時間さを持って飛来した1本の剣は地団駄を踏んでいて反応が遅れたキングに僅かなかすり傷をつける。


続けて飛来する剣にドラゴンが気を取られた隙をつき、身体強化を駆使し一気にキングに切迫した駿の上段蹴りがヒットしキングを吹き飛ばす。


「雫っ!」


「了解っ!隔離結界!!」


他のゴブリンがいない場所まで吹き飛んだキングの周囲を正方形の結界が現れ包囲し、次の瞬間、蹴り飛ばされて宙を舞っていたキングの巨体が轟音と共に地面に叩きつけられ、地面に亀裂が走る。


「亮太、そんなに長くは持たないぞ」


「あぁ、すぐに終わらせる」


俺は、雫の張った結界の中で地面に蹴り落としたキングに剣を構え隼人にそう返した。


キングを倒してもドラゴンが後ろにいるし、コイツにあんまり時間はかけられない。


「悪いな、直ぐに終わらせてもらうぞ」


涎と血を口から垂らしながら立ちがって来るキングに向けて、この力を解き放つ。


「我の前に顕現せよ聖剣!そして力を貸したまえ!」


その瞬間、結界内が白き光に包まれた。


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