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目が覚めた時、最初に感じたのは床の固さだった。固い。凄まじく固い。廊下とかそういうレベルじゃなくて、まるで岩壁に直接寝そべっているかのようだ。圧倒的な寝心地の悪さ。俺がが普段使ってる低反発ベッドを少しは見習って欲しいものだ。
「うぅん……」
そんな寝心地最悪の場所でいつまでも寝られる筈もなく、俺は起き上がった。何も無い空間だが後ろの方から青白い光が見える。俺は後ろを振り向き、この青い光を放つ光源を見た。
それは、ぼんやりと青く発光する、巨大な水晶みたいな謎物質。地面から生えるようにして存在するその水晶は、まるで人工物のように綺麗な球状の形をしていた。天然物なのか人工物なのか。少女に異世界に飛ばされてまさかこんな所だとわ。あの女め!
「ホント、なんなんだろう、これ」
そう呟きながら俺は、何となくこの水晶に触ったその途端、頭の中に膨大な情報が流れ込んできた。
「ッ!?」
またしても発生した異常事態に混乱している間にも、情報の奔流は容赦なく頭の中に入ってきた。水晶から手を離す事もできない。何故か、溶接されたかのように、手が水晶に張り付いて離れない。そうしている内に、情報の奔流は止まった。そして俺は、この水晶が何なのかを知る事となる。
この水晶は『ダンジョンコア』
ダンジョンの心臓部であり、地脈や侵入者から魔力を吸い取って、己の体であるダンジョンを大きく成長させていく存在。それがダンジョンコアの本能であり、つまり、ダンジョンコアは一種の生命体と言えるのかもしれない。
もう1つの役割が魂を浄化する役目らしい。
そして、そのダンジョンコアに選ばれた俺は、今この瞬間から『ダンジョンマスター』となった。
ダンジョンマスターとは、その名の通り、ダンジョンの支配者であり管理人。ダンジョンコアが己の成長を補助させる為に、強制的に契約を結んで取り込んだ番人。この契約を解除する方法はない。コアとマスターは一蓮托生。コアが砕ければマスターも死ぬ。
つまり、俺はは死にたくなければ、このダンジョンコアの成長を助け、ここを立派なダンジョンにして防衛しなければならない訳だ。
「おい!他にも説明しろよ!」
すると頭の中に直接声が響いた。
『やぁー無事ダンジョンマスターになってくれたね』
「触ったら勝手になったわ!」
『あははー不用心に触るからさ。それは置いといて』
「置いとくな!大事だろ!」
いつから俺はツコッミ役になったのだろうかと思いながら
喋る。
『まぁまぁ落ち着いてちゃんと説明するから。この世界はマギアっていう世界で人間と魔族が争ってる世界だよ!
そして神はいたんだけど色々あって私しかいなくなっちゃたんだー。それで君にはダンジョンマスターとしてこの世界で魂の循環を手伝ってもらいまーす!』
「循環?」
『そう!この世界はねー1人の生命体が死ぬと基本、ほかの世界に行くか残るかなんだけどねーそれがほとんどの魂が外に行っちゃう事になってるから、この法則のせいで人種が圧倒的に少なくなってきてるんだよねーだから君にはダンジョンマスターとして魂を人や魔物から魂を刈り取って!よろしくね!後は君の頭に情報を流れていくようにしとくからー!』
言うだけ言って消えやがった。
「はぁーやるしかないか。その前に俺のステータスとかは知りたいな」
水晶の情報では頭の中で考えるだけでわかるらしい。
名前:八神 楓
種族:管理者
称号:ダンジョンマスター
スキル...『迷宮支配』『七つの罪源』
耐性:痛覚無効 物理攻撃耐性1lv
ダンジョンポイント:1000
迷宮支配・・・ダンジョンや迷宮の最奥にあるコアを触ることで迷宮などを自分のものにすることができる。1つ壊され大丈夫になる。
七つの罪源・・・『強欲』『嫉妬』『憂鬱』『怠惰』
『憤怒』『色欲』『暴食』人間を罪へと導き、真実を見る目を曇らせてしまう七つの感情や欲望のこと。その力を具現化したもの。
ダンジョンポイント・・・ダンジョン内に、入ってきた人間や魔物を殺すと貰える魂の質を数値化したもの。
このポイントを使いダンジョンを強化していく。
(うん、強いのかな?)
楓はコアから貰った情報を元に整理をした。
この世界はマギアと言い人間と魔族が争う世界で約100年周期で魔王が生まれ落ちる。この世界は何度か魔王により文明を崩壊されているらしい。そして今回は勇者が地球から召喚されており今は修行をしているらしい。
他にもわかったことは、このダンジョンはグランツ王国の端の街の近くにあるらしい。
すると俺がマスターになったからなのか何かを感知した。
もう侵入者が来たのかと、慌てて入り口の様子を見ようとすると、視界が切り替わり入り口の様子を映し出した。
どうやら、ダンジョン内の様子を視界ごと変えて見る事が出来るらしい。
早速その機能を使って確認してみると、入り口に現れた影の正体は小鬼だっ。
どうやらこの世界には、剣と魔法の世界ではお馴染みの魔物もしっかり存在するようだ。そう、姫騎士とかとよく出てくる緑色の醜い魔物だ。
声を聞きつつ身を隠すため、視界を戻して部屋の隅に身を寄せる。
俺は自分の力を確認するために情報に乗っていた自分の魔力の感知の仕方を覚える。
自分の身体中をめぐる血液のような者が流れているを感じた。
そこそこ時間が経っているのでもういなくなっているのではと思ったのだが、ゴブリンの魔物はまだ入り口辺りでうろちょろしていた。好奇心旺盛なのだろうか。
部屋から飛び出して、あっという間にゴブリンに近寄った。気持ち悪い顔をしている。
俺は試しでこの雑魚キャラに使うような魔法じゃないものを使うことにした。
『我は法を 破り 理を超え 破壊の意志を
ここに示すものなり 我の力よ全ての者に
恐怖と畏怖 を 刻み込め
罪源の一 暴食の罪』
『全てを喰らい尽くせ』
楓が詠唱を歌うように言うと楓の手のひらから黒い為が射出されゴブリンは呆気なく吸い込まれた。
戦闘を終えて、休憩したいところだがそうも言ってられない。何せこのダンジョンはまだただの横穴なのだ。
侵入者を撃退出来るようにしなければならない。
ということで、ダンジョンの改造に着手していこうと思う。このダンジョンは俺の体の一部ということらしい。
なので、意外と地形は簡単に変えられる事が分かった。
試しに通路の壁に分かれ道を十メートルほどの長さで作ってみる。すると、ダンジョンポイントが1減った。
どうやら燃費もいいようだ。
俺はダンジョンっと言ったらトラップという事で自分の頭に入っている情報を元に手を横に振るう。
するとダンジョンに設置出来るトラップや魔物などの、改造リストが表示された。消費するダンジョンポイントも一緒に載っている。(ゴブリン:5ポイント)といった具合だ。
リストを一通り眺めた後、俺はダンジョン一階層目の構想を固めたので、早速地形を作り変え始めた。
俺はダンジョンの範囲内を全て迷宮に作り変えた。
上り坂や下り坂などを作り更にはこの迷路を形成している水晶で出来ており三種類存在しているからだ。まず一つは淡い瑠璃色の光を放っている普通の水晶だ。この発光水晶は明かりにもなるので問題は無い。
だが二つ目に、非常に透明度の高い水晶がある。こちらもよく観察すれば薄く魔力光を放っているため壁だと判別できるのだが、それでも迷路内では透明水晶の光は他の水晶や、自分たちの明かりに掻き消されて判別しにくい。そしてぶつかって初めて、通路だと思えば実は壁だったと気付くわけだ。そして三つめが光を反射する水晶だ。この水晶が最も厄介だと言えるだろう。通路を曲がった先に誰かがいると身構えれば、それは反鏡水晶が映し出した自分の姿だったどういうこともできる。
こんな空間にいたら魔物と戦う所ではなくなる可能性もあるので俺はこの構造にした。その迷宮を攻略して安心したら強い魔物がいるという設計にした。強い魔物を召喚するにはダンジョンポイント(魂)が必要なので俺が殺せば魂も手に入るだろう。
ちなみにダンジョンコアがある部屋は移動させることが出来たので迷宮の最奥地にした。ここまでで250/1000の出費をした。
次に魔物を配置する。
召喚したのはスライムとオーガだ。綺麗にポイントは無くなってしまった。
スライムは透明なゼリー状の魔物で子供でも倒せるが工夫をすれば強くなる。オーガは赤い肌に角をもつ人型の魔物で鉄のように硬い肉体が特徴的だ。とりあえず指示を出すことにした。因みにだんの魔物は作る時に知能や初期戦闘力 成長率 体質など能力値を変えられるらしい。なので俺はスライムには成長率と知能 オーガには初期戦闘力と知能を上げた状態で召喚したため俺の指示は完璧に遂行できるだろう。
因みに龍を召喚するには100万ポイントと割高な数字だった。
「よし、スライムの君は俺の懐に来てくれ」
「コクッ」
「よっし、じゃあオーガ君は敵がきたらそこで全力で殺してくれて構わない」
「グルッ!」
顔は厳ついが可愛く見える。この魔物たちは俺の子供と同様だからだろうか。
何はともあれダンジョンの改造はひとまず終了である。




