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私は王都コンスタンを出てモラクがいる本陣に向う。
街中に入り込んだ敵は一掃した。しかし外を取り囲んでいる敵はまだ多い。
いきなり自軍が大打撃を受け、モラクでは大騒ぎになっていた。
「ほう、貴様かさっきの魔法を放ったのわ」
私がその近くまでいくと、モラクが気付いた。
「何をしにきた。我と戦うとでもいうのか」
「ああ。本当は見守るだけのつもりだったんだけどね」
「ならば、雌雄を決するのみ!」
モラクはダーインスレイブをだし攻撃を仕掛けてくる。だが、そこに待ったの声がかかる。その声に私は驚いた。
「待ちなさい!」
「む?貴様は確か勇者だったか」
「なんでここにいるの?」
私は目の前でエリシアが倒れたため王宮の前へ運んだはずだがなぜか漆黒の翼を生やし飛んできた。
「やはり貴方は生きてましたか」
「まさかバレるとは。まぁしょうがないか」
「私に譲って頂けませんか?」
「君如きが勝てるの?」
「分かりません。ですが、やりたいのです」
「舐められたものだ。神剣のない小娘に何が出来る」
「あなたを倒せます!」
エリシアがもう片方のピアスに触るとそのピアスが変化し
剣の形状になった。この剣は夢の中であったルーナがくれた力だ。それを具現した剣で神器と同等かそれ以上だ。
金色に光る刀身で眩しいほどの輝きを放っている。振ると金色の粉が舞い降りる。
「ほぅその剣…」
「では行きます」
まず初めに仕掛けたのはエリシアだった。空中のため翼を出し羽ばたかせると一気に加速する。そのまま上段で構え
そのまま剣を振り落とす。だが、モラクがもつ神剣に阻まれる。その一瞬でエリシアは理解した、何故このモラクという人物が生き残れたかを。魔導王と呼ばれるにもかかわらず剣でも一流以上の力量を持っていた。
「ちっその剣はなんだ。この神器と打ち合えるとは」
「…」
エリシアは問いかけられるが無視を決め込む。次に仕掛けたのはモラクだった。空中に浮いてるはずなのにら地上で戦っているかのように錯覚するような激しい戦いだった。
エリシアが剣をわざと離しもう一つの剣で攻撃するがそれを見切りモラクはそれを避け魔法陣を描き魔法をはつどうさせる。
「燃えろ!」
爆煙がエリシアを襲うが一振すると煙が消し去った。だが、その僅かな数秒で裏を取ったモラクは後ろから切りかかる。
「ふっ」
""ガキンッ!"カキンッ!””
激しい音が鳴り響く。お互いの剣の撃ち合う速度が更に上がりどちらかが優勢かが分からないような状況だ。
剣が触れるとそれに触発されるように衝撃波がとびそれが地上に当たり爆発する。また、エリシアが下段のから上に振り上げようとするがモラクの強力な力により押さえつけられる。
それを振り切りさらに上から攻撃を仕掛けるがモラクはそれを剣を斜めにしエリシアの剣を滑らせ簡単に受け流した。
モラクは剣を持ちながら詠唱を開始し魔法陣を描き魔弾を数十発打ち込むだが、エリシアは剣で魔法を切る。時にはお互いに魔弾を打ち衝突し弾け飛び地上におち爆発する。その攻防が10分が過ぎたころ事態が急変する。
「はぁはぁはぁ」
エリシアは息切れをし肩で呼吸をするかのように苦しそうにした。その隙を見逃さなかったモラクは更に剣速をあげる。その剣速についていけずエリシアは剣を弾かれもう1つの剣で対抗しようと思ったが腕を切り落とされた。そのまま剣で心臓を貫かれた。
「あっ…」
「死ね」
「がはっ」
エリシアは自分に刺さった剣を抜こうとしたがもう体は力尽きていた。そのまま翼が消えさり地上へ落下した。
「うむ、この前とは動きが違かった。この短期間で何があったのだ。だが、もういい彼奴はしんだ。さて、次は貴様がやるか?」
「あーもう終わっちゃったかー。早いねー」
「聞いておるのだ」
「ねぇー何私に命令してるの?死にたいの?」
ルーナから突如赤黒いオーラが吹き出た。その具現化された禍々しい魔力を肌で感じたモラクは心臓を握り締められている感覚に陥る。
「ぐっなんなんだ貴様わ!」
その重圧を振り切るかのようにモラクは剣を振り落とすがその行為自体むだだった。いつの間にか剣が奪われ更には
今いた場所にいなかったのだ。
「ぬっどこだ」
「ここだよ」
「ぶへっ!」
ルーナに蹴り飛ばされモラクは地上に叩き落とされる。その衝撃で地面が割れ砂埃が舞う。
「もういいや弱すぎて話にならないし」
「ぐぅ、舐めるなぁ!あっ」
モラクは叫ぶが力が何故か入らなかった。いや、体が固まっているかのように動かなかった。
『忌に籠は生者の悪徳 醜悪たる情欲の化身その嘆ここに極まれり 死人よ 放はなて黒き恨を 一転して狂気 二転して脅威 三転して輪廻へ 帰せ』
『アペプ』
「あ…」
ルーナが詠唱を開始するも赤黒い立体の魔法陣が出来た。魔法陣が消えるとそこには黒い孔ができその孔から黒い靄がモラクを襲う。体が動かないモラクは呆気なく捕まりそしてそのまま孔へ吸い込まれた。
この魔法はブラックホールを顕現させる魔法で制御に失敗したら世界が滅びるほど危険な魔法だ。制御するのは中々難しくルーナは遠隔で魔法を操作し宇宙空間で練習していたが何回か失敗し星は何個も滅びた。
そして吸い込まれ者は死ぬことは出来ず永遠に何も無く暗い空間に閉じ込められる。
そして戦いが終わるとエリシアが落ちた地点へ向かった。そこには血を流し倒れていた。辛うじて生きてる様だ。
「くくく、そこまでしてなんであいつに挑んだの?」
「わ、私は…少しで も魔物などに…蹂躙された 国民のために……あいつに勝ちたかった」
途切れ途切れになりながら悔しそうにエリシアは言う。
「ねぇもし生き返らせるっていったら君は生き返りたい?」
「当たり前え…です」
「ふふっそうだよね。上限があるけど生き返らせてあげるよ」
「なんです…か?」
「それはねーこれから君は私と一緒に行動してもらうことになるわ」
「そうですか…… わかりました」
長い沈黙の後エリシアは意を決した表情になった。
瀕死のエリシアはだんだん衰弱していく。
「契約成立!じゃあやろーか」
ルーナが魔法陣を描くとルーナの体から血液がでてエリシアへ染み込む。すると血液がエリシアを覆う。数分するとそれが再びエリシアに吸収された。ピンク色の髪は黒髪に染まっていく、そして魔法陣が消えると閉じていた瞳が開かれた。血を表すような真紅色だった。
「なんだか、変な感じがします」
喋ると犬歯が見えた。ルーナが使った魔法は神のみが使える種族を変えられる魔法で人間から精神生命体の吸血鬼にしたのだ。
「どうだい生まれ変わった気分は」
「すごく良いわ」
さっきまで死にかけだったとは思えない様なはしゃぎぶりだった。
「これからどうするの?」
「うーんこの世界は飽きたからほかの世界に行こうかしら」
「他にも世界があるの?」
「そうよ、数え切れないくらいね」
「私はもうここには戻れないのね」
「そうだよ。嫌だった?」
「いや、もう私はエリシアでは無いわ」
エリシアの眼には不安など一切なかった。ルーナはやはりこの娘は面白いと思った。種族が変わった影響かさらに興味深くなった。
「じゃあ、行きましょうか」
「そうですね」
「あ、そうだ。一応これをしておきましょう」
ルーナが呟くと魔法を発動させる。そして、そこには人間のような人形が現れた。そしてエリシアの髪を抜いた。
「いたっ何するの?」
「まぁー見てなって」
ルーナが人形にエリシアの髪を食べさせるとその人形に変化が起きた。
「なっ!これは前の私?」
「そうよ、凄いでしょ」
「すごいどころじゃない気がするけど…」
人形からはピンク色の髪がはえ胸が大きくなり服も先程までと同じ服装になった。ホムンクルスと呼ばれ人間にもっともと近しい物だ。
「何をするの?」
「貴方の死を偽装するは」
「その方が確かにねいいですね」
エリシアに似た人形にルーナが剣を突き刺す。
人間と同じ血が流れる。まるで本当に先程までと生きてたかのように見える。
「なんか私が刺されてる気分がします」
「ははっそれはすまん。じゃあいこっか」
ルーナがエリシアに手を差し出し転移をした。




