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〜転生者達の傭兵国家〜  作者: あぱ
軍人少女
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エリスは、チーズケーキは常温でも問題ないようなので、とりあえず寮の自室に飛ばしておく。

彼女はそうと決めて、ガイアスに掴まれた腕に視線を落とす。


「あのーガイアス様〜」

「何?」

「歩き辛いのと、転移で移動したほうが早いです」


彼女がそう言った次の瞬間には、パッと視界が切り替わり。いつの間にか食堂前に到着していたガイアスは、とても驚いた表情でエリスを振り返る。


「……転移するなら前もって言ってくれないかな?」

「言いましたよ?」

「確認はしてない……」


ガイアスは本日二度目となるため息を吐いた。


「君って、魔石起動回数の上限はどうなってるの? こんなことにいちいち魔法を使ってて、疲れないわけ?」


 まず、仮定として魔力は生物の思考や意思を運ぶことが出来るとする。そう考えることで、魔術の原理をある程度説明できるのだ。光子フォトンが電子に対してエネルギーを運ぶのと同じく、魔素とも呼ぶべき謎の素粒子が生物の意思やイメージを運ぶのである。そして魔素によって運ばれたイメージは、物理現象に対して作用する。


つまり、魔素の保有する万能のエネルギーは、イメージに沿って物質へと影響を与え、物理を改変しているのだ。この際に魔石を通して世界に対する言語だと認識できる。例えば、コンピューターへの命令は、人間が考えた命令をコンピューターが理解できる形式へと変換することで初めて実行される。このように、魔石は人間の命令イメージを世界が理解できる言語に変換したものだ。故に、魔石を描いてエネルギーである魔力を流すと魔術が発動する。つまりどういうことかと言うと魔石を起動すればするほどパソコンなどと同じように熱を持ち故障に繋がる。


「これくらいじゃ疲れませんよ。それより早くご飯食べましょう。指摘されたら、すごくお腹が空いて来ました」


エリスはどうってことないと、さらりと話を流した。

彼女からすればお散歩くらい気軽な魔術の使い方であって、疲れを感じるようなことはない。今日は何を食べようかな、と呟きながらショーウィンドウのメニューを見つめる。


「よし。今日はカレーで決まり!ガイアス様は決まりました?」

「俺はラーメン」


会話は、たいして変わってないガイアスは、確実にエリスに気があるのでこうして積極的に話してきてくれる。

エリスもガイアスのことは気に入ってるので今は無理でももし、悪神に許してもらったら来てもらいたいと思っている。


エリスはショーケースにならんだ洋食、和食、中華料理たちを横目に食堂の中へと進んだ。時間が外れているため、食事をしている生徒たちは少ないのだが、思いの外席は埋まっている。学園祭の打ち合わせをする生徒たちが使っているのだ。ふたりは料理を持って空いている席につくと食事を始める。綺麗な箸捌きで、豚骨ラーメンを啜るガイアス。感慨深いものがあるな、とエリスは思わず目の前の彼を凝視した。

相変わらず、ため息がでるほど整った顔をしている。初めて見たときは総帥とそっくり過ぎて、全く近付きたくない存在だった。しかし、よーく見てみれば、口もとはお母様に似ていて、全てが総帥と一緒では無いとわかる。


「……そんな見られると、食べ辛いんだけど……」

「あ、すみません。やっぱりお母様とも似ていらっしゃるなと思って」


ガイアスは意外そうに目を見開いた。


「父さんには似てるって言われるけど、母さんに似てるって言われたのは初めてだ」

「まあ、だいたいの顔つきは総帥閣下様とそっくりですけど。パーツでみるとアルトリア様と同じですね」

「……君、家の親のファンか何か?」


よくそこまで見てるな、と暗に言われていることに気がつき、エリスは内心ハッとしながら、やんわりかわす。


「ファン? この国を支えてくれてる偉い人にファンと言うのも、なんか違う気がしますけど……そんなところですかね? おふたりとも尊敬してますよ」


彼女はそう答えてパクリとカレーを乗せたスプーンを咥えた。


(ま。本当はどちらとも面識があるし、お父上は私直属の上司なんですけどねぇ)


もし知り合いだと言ったら、一体どんな反応をされるものなのだろうかと思いつつ、エリスはカレーを食べ進める。


「……そういえば。母さんに君と会って話してみたいから冬休み、家に誘えって言われてたな」

「ゴホッ?!」


不意を突かれて、彼女は咳き込んだ。それを身分の差を気にしての驚きと捉えたガイアスは話を続ける。


「俺の友人だって言ってある。人を見下すようなことはしない人たちだと思うし、嫌な思いはさせないから来れば? 勿論シロン嬢たちも誘っていいし。まあ、無理にとは言わないけど」


(え。アルトリア様の誘いを断るとか、やっていいことですか? 駄目ですよね?!)


わざとだ。ガイアスを通してアルトリアから会おうなんて言われるとは、絶対、何らかの思惑があって誘われていることは確実である。でも、何らかの思惑かあの人の性格を知っているからか何となく分かってしまうのが面白い。


「その。ご迷惑でなければ、是非……」

「迷惑じゃないよ。こっちが誘ってるんだし。じゃあ、そう伝えとくから。また近くなったら言うよ」

「わかりました」


エリスはこくりと頷く。


「学園祭が終わったら、もう冬休みですか……。早いですね」

「そうだな」


夏の総当たり戦と同じく、冬の学年別トーナメント戦の前にも休みが設けられている。時が経つのはあっという間だ。もう、シロンの運命を左右する冬の季節がすぐそこに迫っている。


(冬の大会でシロンが怪物とやらになって暴走するっていうのが、小説のシナリオなんだよな。でも、あの実験をやってないだろうし。どうなるのだろうか?でも強制力があるなら、必ず誰かがなる可能性があるので油断が出来ない)


エリスは最後の一大イベントを振り返った。


「はぁもう少しなのかなぁ」

「あの事でしょ?悲しいの?」

「まぁそうですね」


ガイアスには自分はいなくなるかもって言っているので直ぐに察してくれたらしい。なんで自分が話したか分からないが彼でよかったと思っている。


「多分私は、行く前にみんなに正体がバレる。そしたらどうなるんだろうか」

「それでも友達なんでしょ?なら大丈夫だよ」


ガイアスに真剣な顔で言われ彼女は照れ隠しで、はにかんだ笑みをガイアスに向ける。それを目の前に見たガイアスは、ぴたりと箸を止めるのだった。


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