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『とうとう来ましたね!決勝戦です』
『今大会ダークホースであるエリス・フローリア!対して相手選手は、誰もが見蕩れてしまわせる男 ガイアス・ラ・フェライト!』
「決勝戦開始!」
注目の初手。エリス・フローリアに視線が集まる。
いつも通り高速移動でガイアスを倒しに行くかと予想されたが、エリスはその場で自然体をキープ。
来ないと思ったガイアスは、全身に雷と風の鎧を纏わせ、彼女と間合いを詰める。キン!!と、模擬剣がぶつかる音がして、エリスは短剣でガイアスの長剣を受け止めた。
「来ないのかッ!」
ガイアスはエリスに叫び、連続して剣技をぶつける。
彼女は短い剣だけで難なく彼の剣を躱し、体術混じりの剣筋をみせた。見るものが見れば、訓練されたものの動きだということはすぐに分かる。ただ、ここは将来の進路には騎士団に入団することが最高のステータスにみられる貴族の学校。軍人らしいエリスの動きは異質で、獰猛さを感じさせた。
「ッ、」
ヌッと自分の懐に入り込んで来たエリスに、ガイアスは息を呑む。
「――もっと来なよ」
彼女の口元はゆるりと弧を描いていた。風と雷をまとって能力を底上げしているガイアスに、肉体操作だけをして対抗するエリス。完全にスイッチが入っている。
これは、狩る者の目だ。
今まで、強い魔物ですら感じたことがないような威圧に後ろに1歩下がりたくなったがガイアスは、エリスを睨み1歩踏み込んだ。それをみたエリスは、「やるじゃん」と思った。
「俺は、お前に簡単には負けないぞ。絶対勝つ!」
「私だってここまで苦労して上がってきましたので負ける訳には行きません」
「アラン借りるぞこの技」
膨大な風が纏まりガイアスの背中に流体の翼が出来上がった。
『な、何とな!先程の準決勝で脅威をふるったアラン選手の技を自身のスキルだけで再現したというのでしょうか!ガイアス選手は風の翼を作り空を自由に飛んでいます!』
実況の声とともに観客席は大盛り上がりになる。飛んでるガイアスをみた女子生徒は目をハートにして何人かは気絶している。
「まじか、あいつ」
「ガイアス……それほど本気だとは……」
「エリスちゃん……頑張れ!」
「ままは、勝つ!」
「エリス、貴方はなにかさくがあるの?」
エリス達と仲のいい生徒たちはこの戦いの行く末を見守っている。
「さすがガイアス様ですね。まさか先程自分が受けた技を自身のものにしてしまうなんて」
「そんなに君こそ本当は、本気出てないんだろ?」
「……」
(やっぱり、バレてるよね。まぁ本気は出さないけど)
本気を出してしまったらせっかくの接戦が台無しになってしまうのでガイアスには悪いが今は本気ということにさせてもらう。だけど状況によってはもう数段階上げてもいいと思ってる。
「いくぞッ!」
「えぇっ!」
ガイアスは、剣を投げ捨て両手を合わせたところかイナズマの形をした剣を作り上げた。バチバチ紫電が弾ける剣は
伝説に登場してもおかしくないような剣だった。
攻撃を受けたら凄く痛そうだがガイアスは、エリスなら大丈夫としっているので本気で攻撃を仕掛ける。
会場は両者の本気を感じ息を飲む。
「風よ相手を錯乱しろ!」
翼で浮きながら一定の間合いを取りながらエリスへ攻撃を仕掛けるガイアス。風の刃がエリスを襲いさらに上空からガイアスの剣の雷の斬撃をとばしてくる。
「はぁああっ!」
「ッ!」
流石のエリスも身の危険を感じとり攻撃を避け移動を試みるが何故か上手く空間の座標を読み取れない。
エリスの天衣は空間の座標を読み取ることでその場所に移動するのでその座標が読めなかったら移動することが出来ない。それを知ってかガイアスは高密度の雷で時空を僅かに揺らしているのだ。
「いいでねっ!」
思いがけないガイアスの戦いのセンスに驚かされたエリスは、これなら数段上げても大丈夫そうだと思い集中する。
その間にもガイアスの攻撃がエリスの服を切り裂く。対してガイアスはほぼ無傷だ。
「どうした!特待生。こんなものじゃないんだろう?」
ガイアスは、しっているエリスがこんなもんじゃないと
あの目 威圧を目の前で感じだ少女が何者かは分からずとも
相当な強さがあると知っている。
「さすがですね、ガイアスくん。」
素直に賞賛するエリス。今まで戦ってきた中でここまで驚かせられた人はノルとマータぐらいじゃないかと思う。
「なら、こっちもそれなりの誠意を見せなくちゃですね」
エリスも少しづつ力を高めている。それだけで吹き荒れるかのように風が舞い上がる。
「嘘だろッ!」
『おおっと!まさかエリス選手も翼を作ってしまった』
『これは、なかなか見ることがない戦いですね。私も魔術やスキルについて調べたり見てきましたから彼らの戦闘技術は、学生の域を超越してますね』
『それほどまでですが。さぁ試合はさらにヒートアップしてきました!どのような結末になるか気になります!』
「まさか彼女まで翼を作れるとは、俺は、自信が無くなるよ……」
「アラン様……彼女たちが異常なだけでアラン様は十分凄いですよ!」
エリスたちの戦いをみて悲しくなったアランをシロンが慰めてる姿を周りは、暖かい目で見守っている。
「まさか、特待生にもできるとはね。これじゃ簡単には行かなそうだ」
「……」
上空で向かい合う相対する2人。
「じゃあ第2ラウンドと行こうか」
「そうだね!」
「「はぁああ!」」
エリスが短剣で攻撃を仕掛けガイアス長剣で攻撃を受け止める。さらにガイアスは、風の斬撃を地面にとばしさらに
削れた床を風で持ち上げエリスへ飛ばす。
それを難なく避け反撃を仕掛ける。胸元にしまっていた短剣をガイウス目掛けて飛ばしそれを簡単に避けたガイアスの後ろに転移して体術を叩き込もうとするが読まれていたらしく
また相対する形になった。
(うっそ、まじか。結構力を解放してるんだけどな。もしかして彼、鍛えたら相当強い?まぁ半分のちはあの剣聖だし不思議じゃないかそれに帝国の頭脳である父。はは、それは強いは)
冷静に分析すると彼の血族は強いのだ。彼は、今まで本気を出さなかったし出す気もなかったがエリスに1度負けたことにより、母親に育てられ彼の戦闘能力は、エリスですら驚かされた。
「はぁはぁはぁ。本気出しても君には届きそうに無いなー」
「はぁはぁ。そんなことありません」
「ムカつくなぁ……でも、それもそろそろ終わりにしよう!俺はこれにかける」
「分かりました」
ガイアスは、自身のうちに眠る魔力をフル稼働させる。
首にかけられた魔石が綺麗に光大気が揺れる。
「はァァア!唸れ風龍 敵を叩き落とせ!」
「……」
ガイアスは風で出来た風龍を作りあげた。
普通の大会では、いくら倒せない相手でもこんな大技を放てないがここは強度の高い結界があるため観客席に被害を及ばないと考えているガイアスは自身の魔力を限界まで引きづりだし今までにない魔術を作り上げた。
観客席や来賓席にいる親 生徒 先生は貴族は驚く誰もこんな技を教えてないし見た事すらなないのだ。
「ねぇあなた。さっき試合が始まる前に言ったこと実現するじゃないかしら」
「あぁ、確かにあれなら本気を出しても勝てるかもしれない」
ザハードとアルトリアは息子の渾身の魔術をみて見惚れてしまった。神話に登場するような龍の象ったものを作り上げたのだ。今まで厳しく育てたが立派に育ってくれたことを嬉しく思った。
「これは……私じゃなかったら普通に死にますよ……はは」
まさか、ここまで魔術の精度をあげると思わなかったエリスは驚愕されてばかりだ。自身に対抗心を燃やしてたのは薄々気づいていたがこれまでのものを作り上げたからには、それ相応の対応をしなくちゃと思った。
『探求するは、魔の真髄。
闘争するは、刃の鋭さ
立ちはだかる愚者を貫かん』
『天上の槍』
スキルの探求の成果で作り上げたもので1番強いものを召喚した。空間が歪み出てきたソレは黄金に輝き神々しさを放っている。
『これは……素晴らしいです!お互い見たことないような魔術でこの戦いを締めくくるのでしょうか!?』
今まで盛り上がっていた会場が静かになる、誰もが試合に集中しこの戦いの結末を見届ける。
「これで決着だ!」
「「はァァァァァ!」」
ガイアスは、風龍の動かしブレスをエリスは、何メートルもある大きな槍を投げる。
ぶつかった衝撃波だけで会場の床がひびが割れ飛び散り結界が割れるのではないかというくらいに空間ごと揺れている。
ぶつかったことにより煙が発生し勝負の行方が分からなくなった。
『……えエリス・フローリア選手の優勝です!!』
「うぉおおおお!」
煙が晴れるとそこには片手をあげた服がボロボロで満身創痍のエリスが立っておりガイアスは地面に仰向けになっていた。
後にこの試合は、歴代で一番衝撃的な決勝戦として、映像がいつまでも再生されることになる。




