3の81
「エリスさん! 次はオレとですね!!」
エリスが観客席に姿を現すと、先に試合を終えていたウレックが真っ先に歩み寄ってくる。次の彼女の相手はウレックだった。ちなみに主要キャラのキャストたちで残っているのは、アルレン ガイアス ウレック アランの四人。残念ながら、アリスは二回戦目、シロナは三年生の有力候補に負けている。アリスは時魔術師は禁止してるしシロナは、相手が悪かったからしょうがない。
「今までのようには勝たせませんからね!」
「それは楽しみです」
エリスはウレックにニッと笑う。正直、全部同じ勝ち方でそろそろ彼女も飽きてきたところだった。
「……フローリアの魔法起動の速さに勝てると思えないけど……」
それを聞いていたケルヘラムは怪訝な表情だが、ウレックは「大丈夫! 策があるから!」と強気である。
『只今より昼休みに入ります。試合のある選手は、開始十分前までに待機室に集合してください。繰り返しますーー』
アナウンスが昼休みを知らせると、彼らは顔を見合わせた。
「エリスちゃん。一緒にご飯食べる?」
気まずい沈黙がやって来る前に、アリスが口を開く。
シロナやエリスの記憶で言うところの、昔の小学校の運動会での昼食タイムみたいなものなので、知人が来ないエリスに気を使っているのだ。
(今日はジュリさん、お弁当だけ届けに来てくれるって言ってたんだよね。忙しいだろうに、申し訳ない……)
一年の大会以来、警備に駆り出されるジュリアが必ずお弁当を差し入れてくれる。カノジョが忙しい時には、お弁当だけ持って一番ご一緒しやすいアリスと昼食をとっている。が、アリスもたまには孤児院のみんなとご飯を食べたいだろうから断った。
「誘ってくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。知りあいがきてるし、マータもいるしね」
エリスは優しく笑ってやんわりとそれを断る。
「そっか! じゃあ、また後でだね。マータちゃんも」
「うん、バイバイアリスお姉ちゃん」
アリスはそれを聞いて安心した様子。その後、ひとりまたひとりと保護者さま方と合流をしに行った。
「マータお腹すいたでしょ」
「うん!」
「じゃあ行こっか」
2人は手を繋ぎエリスがいつもご飯を受け取ってる場所まで歩く。マータは周りの景色をみて少しソワソワしていた。
「マータ人いっぱいるから緊張してるの?」
「うん…でも、ままがいるから大丈夫。」
「ふふ、強い子ね。マータは。」
マータを連れながら母性がドバドバ出ているエリスは、急激に異様な空気を感じでマータに心配を悟られないように周囲に魔力派を感知する。
(これは…誰かの悪意?まさかマータを狙ってる人がいる?それとも私?)
わずかな悪意なのでこの人混みでは流石に見分けがつかない。悪意を向けてる時点で敵だろうが、もしかしたら、無名のエリスに負けた生徒かもしれないので問い詰めることは出来ない。
「マータ1人であそこまでいける?私トイレに行きたいのだけど」
「マータいけるよ。ままを待つ」
「ん、偉い!じゃあちょっとまっててね」
とてとてと歩くマータを見送り悪意を向ける人物を見つける。マータには護身魔術をかけてあるのでいざとなったら守ってくれるので大丈夫だろう。
……
…
「平民のくせして、貴族の俺に手を出すとは、どうなるか知らせてやる」
「どうだ、準備は万全か」
「ッチ、貴族の俺の向かって随分と舐めた口調だな。もし、成果か得られなかったら貴様を奴隷いにして、飼ってやるよ」
「あぁ済まなかったよ。エリックさん」
「…それで、あの女について言ってる獣を狙えばいいだろ?貴様の狙いはなんだ?」
「エリックさんが知る必要はない」
「まぁいい。」
怪しげな服をきた男か女かも検討がつかない人間は初戦に破れたエリックという5年の男に向かって話していた。エリックは、エリスに負けて相当ムカついているのか、口調が荒い。
「健闘を祈る」
「…」
怪しげな服をきた人間は最初っからいなかったかのようにエリック1人残して消えた。
(クソっ俺様に指図するな。王国の人間風情が)
どうやら、エリックは怪しげな人間の所属している国を知っているらしい。
(さて、獣を連れてるエリスとかいう女は、所詮は、平民。魔石起動速度が早くてもそれ以外を封じる状況なら対応できるわけが無い。くくっ、今に見てろよ、平民)
……
…
「はぁいくら警備を高めてたって怪しい人間は、入り込めちゃうよねー。さて、どこにいるかな?」
先程、悪意を向けてきた人物の方向は検討がついているのでそれを基に探そうとする。
(あ、いた。)
探そうとしたところ急に先程より強い殺気が届いたので直ぐにどこにいるのか気がついた。
(あれは、初戦に戦った貴族の人か〜うげぇめんどくさいなー。さすがに殺すのは不味いもんなー記憶を消して何も無かったことにしてもらおう)
そうと決まれば早い。エリスは人混みで転移をして人気が少ないところに隠れている貴族の男の裏に転移する。
「こんにちは」
「は?なぜ……」
「なぜって言われても殺意漏れ漏れだったから?じゃあ、記憶消すね?」
「くそ、平民風情が触るな!」
「ハイハイ」
エリスは相手の頭に手をあて天理眼で精神操作を行う。
(よし、これでいいね。また、王国の暗部かーめんどくさい)
記憶を抜き取って調べてみるとどうやら、王国の暗部が関わっているらしい。
「また、マータねらい?まさか、あの時の残党? 」
あれだけ被害を受けてもマータを狙ってくるとはどうしても人を魔物に変えたいようだ。もし、マータが魔物に変化したら、深層の魔物より強くなる可能性だって秘めている。それほどの魔力量と魔力の質がいいのだ。
「正直王国民とのことを考えなければ今すぐにも地図から消せるんだけどさすがに国民を消したら流石の帝国も揉み消せないから今のところ戦場で戦うしかないんだよね。本来の力を出せないし。こればかりは考えてま仕方ないか、マータを待たせちゃダメだよね」
貴族の男を誑かした暗部のことは記憶を探ったことにより
分かったので直ぐにマータと待ち合わせした場所に行く。
(暗部のことだからマータを周囲に知らせず攫うことをできるはずだけど、護身魔術がしっかり発動してくれればいいんだけど。さて、どこにいるかな?)
暗部の魔力の質は知っているので探すのは簡単だ。
いた。
認識阻害と光魔術を使うことにより透明になっているが
エリスにかかれば直ぐに見つかった。相手は暗部なので理由はもうハッキリしているのですぐ殺すことにした。
(死ね)
エリスの目が金色にひかり、暗部のいる場所に目を向けてただ呟くだけでさっきまで僅かに乱れていた魔力派が消えてなくなった。今エリスがやったのは男を原子にレベルに分解したのだ。天理眼は名前の通り天の理を全て操ることが可能なのでこのくらい日常的に発動できるのだ。
「よし、マータを心配させちゃったからはやくいなきゃ」
そうしてエリスは、部下から途中でご飯を貰いマータと一緒に昼食を楽しんだ。




