new しりとり カクヨム転載記念SS
悠久の旅の途中、俺は妻のフィーナとしりとりをする。
「フィーナしりとりをしよう!」
「しりとりですか?」
新妻は顔を赤らめる。
「君の尻を触るゲームではない。言葉尻から次の言葉を決めるゲームだな」
「人間はそのようなゲームをするんですね」
「ああ、例えば俺がエルフ、といえば、『ふ』の言葉をフィーナが言うんだ」
「麩もありですか? 東洋の食材の麩の」
「お、いきなり上級者テクニックの同音一文字だな。もちろんありだ。単語か固有名詞ならオールオーケー」
「それじゃあ、麩で」
「ふ、な。不真面目、め、な」
「め、めだか!」
「かえる、のる」
「ルビー」
「ビール、のる」
「も、もしかして『る』攻撃ですか!?」
「正解、そのうち『る』が尽きるぞ」
「ひ、ひどいです」
「愛する者にも手加減はしないのだ」
「うう、それじゃあ、ルックス、で」
「ストール、といいたいところだが、勝負を決めに掛かるぞ。好きです、抱きしめていいですか? で」
その言葉を聞いたフィーネは顔を真っ赤にし、
「うん」
と、頷いた。
「ん、言葉尻だと負けなんだ」
負けでもいいですよ、と言わんばかりにフィーネは俺に抱きしめられてくれた。
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