第2095話「愛は何物」※
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◇名無しの調査開拓員
なんか急に兄弟のヘッドセットがすごい音出したんだが
◇名無しの調査開拓員
何かしらのセーフティが起動した感じだな
◇名無しの調査開拓員
ゲーム内でT-2がクソバカ容量の情報を全調査開拓員に一斉送信しました
◇名無しの調査開拓員
そのせいかい
◇名無しの調査開拓員
T-2ちゃん!?
指揮官のなかで一番まともだったはずでは!?
◇名無しの調査開拓員
指揮官のなかじゃ比較的まとも(まともとは言ってない)
◇名無しの調査開拓員
一応実装当初はまともというか、常識人枠というか、中立の方だったんですよね・・・
◇名無しの調査開拓員
それがいつの間にかバグデータでトリップするのにハマる悪い子になってしまって・・・
◇名無しの調査開拓員
データ量が多けりゃジャンクでもいいとか言うあたり、T-1よりも厄介じゃない?
◇名無しの調査開拓員
この前〈シスターズ〉で接客してもらった時はサイコロでめっちゃ盛り上がったよ
◇名無しの調査開拓員
なんなんだ指揮官って
◇名無しの調査開拓員
調査開拓団そのものを率いる偉大なるリーダーであるが?
◇名無しの調査開拓員
NPCが送信したデータがヘッドセットの安全装置に引っかかったってこと?
やばくない?
◇名無しの調査開拓員
実行委員会からは謝罪文出てるね
[今回のデータバッファ発動事案につきまして.url]
◇名無しの調査開拓員
ガチの謝罪文で草
◇名無しの調査開拓員
今のアクティブ人数って何万人だっけ?
それかける200TBかける49って考えると凄まじいよな
◇名無しの調査開拓員
FPOが稼働してるデータセンター、外部企業向けに演算の切り売りしてるんだけど、一瞬だけ相場がめっちゃ跳ね上がってるな
◇名無しの調査開拓員
データセンターそのものに影響与えるレベルかよ!!
◇名無しの調査開拓員
データバッファがなければ即死だった
◇名無しの調査開拓員
マジでそう
流石にアレを外してる奴はいないよな?
◇名無しの調査開拓員
相互認証式でヘッドセットそのものに埋め込まれてるから、データバッファ外してログインどころか起動もできないはず。あの辺の安全装置はマジでセキュリティが固いから、いまだに海外でもハックした奴はいないんじゃないかなぁ。
◇名無しの調査開拓員
まあ命に関わるもんだしな
◇名無しの調査開拓員
そういやVRゲーが普及する前はデスゲーム物とか流行ってたなぁ
◇名無しの調査開拓員
いつの話だよ・・・
◇名無しの調査開拓員
現実でデスゲーム開催しようとすると、まず参加者全員の安全装置解除しないといけないから大変ね
◇名無しの調査開拓員
ま、VRヘッドセット黎明期に事故起きてるからな
◇名無しの調査開拓員
それは知らない
◇名無しの調査開拓員
え、死んでるの?
◇名無しの調査開拓員
VRヘッドセットの開発してたメーカーで、社員がデータバッファ通さずめっちゃ大量の情報に暴露しちゃったらしい。そいつ自身は死んだんだけど、その精神がデータ化されて転写されて、今もネットのどこかを彷徨っているとか。
◇名無しの調査開拓員
はえー
◇名無しの調査開拓員
よくあるオカルトっすな
実際はデータバッファなくても人間って案外情報スルーできるから、それこそ天文学的な数字の情報をぶち込まれない限りは意識障害程度で終わるらしいよ
◇名無しの調査開拓員
意識障害もだいぶやばいのでは?
◇名無しの調査開拓員
本隊そろそろ毒沼入ってるんだが
お前らもログインしてこいよ
◇名無しの調査開拓員
今日はちょっと風邪気味で・・・
◇名無しの調査開拓員
朝からお腹痛くて
◇名無しの調査開拓員
胃もたれが
◇名無しの調査開拓員
こいつら
◇名無しの調査開拓員
そういやエミシちゃんとこの惑星農園の作物障害はどうなったんだ?
◇名無しの調査開拓員
あれもまだ原因分かってないんだっけ
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『はぁ、ダメですね。ダメダメですね。T-1もT-2も、愛が足りません♡』
T-2は調査開拓団に深刻な情報災害を与えたとして、他の管理者および指揮官の満場一致でウェイドの管理者代行権限を剥奪された。
『不可解。私はただ全ての可能性を提示しただけ』
『正解への筋道を示すことが、愛であるとは限らないのですよ』
不貞腐れるT-2に、T-3は穏やかに語りかける。
ウェイドの管理者代行の役職は、スケジュールを繰り上げてT-3へと自動的に委譲された。彼女はT-1が乱造した稲荷寿司をリサイクルへと回し、T-2が作り上げた情報の爆弾を即時解体する。前ふたりの後始末を行いながら、更に調査開拓員たちの被害状況も確認していく。
『適切な時、適切な数の、適切な択を提示する。これも立派な愛でしょう』
発生確率が0.1%以下しか存在しない想定シナリオは廃棄する。T-2はせっかく組み上げたシミュレーションが無に帰していく様にショックを受けていたが、すぐにT-3が彼女を慰める。
『大丈夫。あなたの愛は皆が知っています。溢れんばかりの愛もまた、尊い愛の形であることに違いありません』
通信監視衛星群ツクヨミは、〈龍骸の封林〉を進む調査開拓員たちの様子もつぶさに見つめている。その映像にアクセスして、黒髪の指揮官は微笑みを浮かべた。
全てのものが腐敗する毒の沼地。そこから飛び出す腐ったネズミを、調査開拓員たちは各々の方法で撃退している。感染症対策もしっかりと施して、万全の体制のように見える。
だが、マスクが破損したり、防護服に穴が空いたり、わずかな隙を突いて病魔は迫る。
『さあ、愛によって彼らを救いましょう。遠く離れた都市からでも、彼らに愛を届ける方法はあるのですから♡』
手を広げ、朗々と語るT-3。くるりくるりとその場で回り、愛を振り撒く。
『トヨタマ、タマヨリ。育まれた愛を、注がれた無償の愛を、今こそ彼らに返報するのです♡』
Tips
◇情報的完全さいころ
T-2によって開発されたサイコロ。必ず、全ての面が1/6の確率で出現することが情報的に証明された至高のサイコロ。因果律操作に対する完全な耐性を持つ。
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