交渉のエルフ
第五話。意外とスイスイかけてます。
雪解け月の3日、北方侵攻決定。
狙いはフエルトカ子爵の領地。
出陣予定は、オーガからなる第1部隊、ウェアウルフからなる第5部隊、吸血鬼からなる第7部隊、混成軍の第13部隊。この部隊は兵站の係であり、私の所属は第13部隊の副指揮官となる。とはいえ戦闘は避けられない。そのため護衛部隊として経験を積んで来いと言われた。つまり。
初陣である。
これらは3日前の晩餐会で発表された。士官と将軍だけが招かれた晩餐会。なぜか私もメンバーに入っていたが、多分上司が、将軍ではなく士官なのに兵站部隊の指揮官だからだろう。魔王様には体調が悪いとかで会えなかったのだが。
3ヶ月後に初陣を控えているとは言え、私は雑務をこなさなくてはならない。ここにさらに兵站や戦術についての勉強も加わるのだから、眠くなるのは当たり前だ。
ただ。
「カラア士官。」
「ん?なんだい急に改まって?」
「大事なお話があります。」
「いやあ、光栄だけどやっぱし上司と部下ってのはまずいと思うんだよね〜。ましてやいきなり結婚…」
「黙れ。」
ふざけんなゴラ。ぶっ飛ばしたろか。
「仕事を少し減らしていただけませんか?」
「つまりは、僕にもっと仕事を押し付けようと?」
「私が押し付けられてるんです。士官の仕事を。」
「心外だなぁ。僕は激務をこなしているんだよ?」
「そうですか。なら。」
私は指摘する。それぐらいの権利はある。人権を尊重しろ。
「その本は何ですか?」
「ぎくっ。…いやいや、これは仕事の参考資料で…」
「今、ぎくっ、って言いましたよね。それから…」
その本を開く。そこに書いてあったのは。
【エルフと獣人の婚姻譚❤︎ある日森を歩いていると、獣人に連れ去られちゃった!このままじゃ(自主規制)!】
そうかそうか…。
自分の顔が大変なことになっているのがよくわかる。
「ふざけるな…!」
とりあえずセクハラ上司に雷を落とした(物理)後、本をゴミ箱に捨てる。
ちなみに何故か私は雷を発生させたり操ったりできる。多分転生特典かなんかだと思う。
さて、仕事しよっと。
第1部隊に支給するのは棍棒と盾、第5部隊は各自の武器を持参するので必要なし…っと。第7部隊は吸血鬼だったよね。確かサーベルを希望してたはず。…そうだね。第13部隊もサーベルの支給っと。盾は17だけ用意すればいいんだっけ?…そうそう。
自分の記憶と書類を照らし合わせながら『支給品(武器)』と書かれた紙に数を記入していく。何故兵站でもないのに私がやらなければならないのかいまいちわからないのだが。
さてと、お次は兵站の指示書か…
お読みいただきありがとうございました!
実は伏線張ってあったんですよ〜