歌人の本懐!
【ヒーリング・レス・サークル】
♪♪~♪
シルクの新しい魔詞による聖歌が唄われた。すると王国軍の兵士達の傷が癒えていった。
「傷が……!?」
「痛みが引いていく!」
「疲れていた体力まで戻ってきたようだ!」
「これでまだまだ戦えるぞ!?」
大勢の兵達を癒す祈りの唄。その効果は体力まで回復させる威力があり、シオンの回復の聖歌に勝るとも劣らない効果があった!
シルクの気持ちが具現化したような聖歌であった。
そして、その効果は神国軍にも及んだ。
「こ、ここは………?」
「俺は何をしていたんだ!?」
状態異常も回復する効果のある【ヒーリング・レス・サークル】の聖歌で、精神支配を解いた事により、神国軍は止まったのだった。
「アタイの聖歌を打ち破っただと!?」
フレイは驚愕した。先程の戦いで相手の歌人の力は、ほぼ拮抗している手応えがあった。それが、耐える間もなく自分の力が跳ね返されたのだ。
「まだ力を隠していた?いや違う!奴はさっきまでアタイと同格だった!………たった今、成長したって言うのかよ!?」
フレイは焦った。いきなり強くなった相手に、自分の力が通用しないのだから………
いやっ?本当にそうだろうか?何か見落としていないか?
フレイは思考を巡らせ、どうすれば勝てるのか考えた。そして─
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考える事を止めた。
「あーーー!もう!止めだ!!!めんどくさい!だいたいアタイは支援系の聖歌は苦手なんだ。ここからは直接ぶつかってやるよっ!!!」
フレイは頭を振って切り替えた。
「ここからはマジだ!いくぜっ!!!」
まだ混乱している神国軍をよそにフレイは得意な炎の聖歌を唄った。
『獄炎の焔が舞い散る___我が声の元に集い災禍と成らん
全ての炎は我が前に服従し___新たな命を授けん
我が命に従い、我が為に働け!今ここに全てを滅する【神火】を遣わさん!』
【神罰聖火・魔人の型】
フレイの渾身の、炎の魔神が出現した。
「さっきまでは小手調べだ!ここからはアタイの土俵だっ!喰らい尽くしな!!!」
混乱していた神国軍は更に混沌とした。フレイに操られていた時の記憶がなく、ごっそりと体力を奪われ、ろくに動くことも出来なくなった神国軍の後ろに、巨大なフレイの炎の魔神が現れたからだ。
(シルクは神国軍を正気に戻しただけで傷の回復と体力の回復は行っていません。だって敵だもん)
「に、逃げろー!!!」
「死にたくない!?」
「身体が動かない!?」
神国軍は地を這いながら道を開けるように、炎の魔神から逃げ出した。そしてその様子を司令部も黙ってはいなかった。
「オイッ!歌人フレイを止めてこい!そして正気を保っていた後方の部隊に救援させろ!」
総司令カーランは命令を下し、大司教にも歌人フレイの状態をみてくるように指示した。
「大司教殿、歌人フレイが暴走していないか見てきて欲しい。歌人は大司教殿の管轄であろう?」
大司教はここにきて初めて内心で毒ついた!
『面倒な事を押し付けおって!』
確かに総司令カーランの言う通り、歌人は教皇直轄の部隊であり、その指示は大司教にあった。故に歌人の暴走があった場合は大司教が責任を取らなければならないのだ。
『あの不良も頭に血が上っているのだろう。さっきまでは相手の歌人に負けていなかった。いや、僅かに押している気配すらあった。一瞬の油断で押し負けたので、頭に血が上ってしまったのだろう。まったく未熟者が!』
大司教の思考は間違ってはいなかった。しかし、相手の新しい聖歌に負けた事での動揺までは見抜けなかった。
大司教は総司令カーランに了解致しました。と告げ、歌人フレイの場所へ向かった。
「ちっ、神国軍の兵が邪魔だな?おいっ!さっさと退きやがれ!」
【聖火万象・獄炎阿修羅】の後遺症により神国軍の兵士達は激しい疲労の為に動けない。途中で聖歌が解除されたため、まったく動けない訳ではなく、ノロノロと炎の魔神から離れる。
それを見ていたシルクが動いた!
「あれが数日前に王国軍に多大な被害をもたらした炎の魔神ね!?」
巨大な炎の魔神を目の当たりにしてシルクは口元を緩めた。
「私のあの聖歌を唄う時ね!」
シルクも再度、奥の手である聖歌を唄うのだった。
愚者の声
「ついに我が腕に封印された黒龍を解き放つ時がきたのだ!」
シオン
「ヘェー!スゴイデスワネ?」
愚者の声
「受けてみよ!我が必殺の奥義を!」
シオン
「人はそれを中二病というのですわ!喰らいなさい!邪王炎殺黒龍波!」
愚者の声
「ちょっ!それは某有名なっ………」
ドーーーーーン!!!!
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!




