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後悔

作者: ヒーラ

今日も

昨日も


ずっと


薄暗く狭い部屋…


どうして一人なんだろう

どうして一人になったんだろう


私は…どうして…一人ぼっちに…


私は毎日 窓から見える風景を眺めながら毎日悶々としながら外を見つめていた


私が

あの時 あんな過ちをしなければ、こんな状況にならずに済んだ

私は馬鹿だった

私は…いつだって自分が正しいと思い込んでいた


本当は、私が間違っていた

私があんなことしなければ…




こうして彼女は、毎日一人で過去の過ちに後悔したのだった

ある日彼女は 部屋の片隅で横たわった


ザザーッ

外から聞こえてくる雨音


彼女は虚ろな目で雨を眺めていた


壁の隙間から冷たい風が彼女の体を一層冷たくさせる


足の指が冷たい

冷たくなる度 彼女の胸も締め付ける


寂しい…

誰か抱きしめて…

慰めて…

キスして…

あなたは悪くない。と誰か言って…

寂しい…淋しい…寂しい…淋しい…


ごめんなさい …


ぬくもりがほしい…



彼女の心は砕けそうでいっぱいで、後悔でいっぱいで

静かに涙が床に零れ落ちた



そして胎児のように背中と足をを丸めた


あの雨は、私の涙のようだ


雨が止まない


止まない雨はない


だけど、止まない雨もあるのかもしれない



彼女は体を縮めながら

自分が この世に誕生し、

今に至るまでのことを回想した



今 思えば、私は幸せだったのかもしれない


いつも誰かと比べては、自分は何て不幸なんだろう…

何てかわいそうな人間なんだろう…

と思い込んでいたのかもしれない


自分を不幸に追い込むことが生きがいになっていたのかもしれない


幸せになるのが実は怖くて、間違った道ばかり選んでいたのかもしれない


本当は幸せなのに、私は幸せな自分は間違っていると、

どこかで思い込んでいたのかもしれない



あなたが正しかった

私が間違っていた

幸せになるのを恐れていたのは私だった


もう一度 あの日に帰りたい


私は…地獄に堕ちるべきだ…




彼女は涙が止まらなかった


彼女は自分を憎み 恐れていた



カツン カツン カツン カツン



誰かの足音


足音は彼女がいる部屋の前で止まった


キキィ

ドアの開く音…


彼女は咄嗟に名前を呼んだ


彼女に手が差し延べられた


彼女は久しぶりに笑顔になった


私を救ってくれるのね…


彼女は手を握り、静かに部屋をあとにした


静かな廊下を静かに歩き出した


彼女は ホッとしていた

もう一人じゃない

救われた

どれだけ この時を待っていたんだろう…

私を許してくれるんだね




そして彼女は導かれるように階段を上り

死刑台に立った

彼女は 救われた表情で静かに首を縄にかけ

死刑執行されたのだった



彼女にとって後悔とは何なのか…

何だったのか…

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― 新着の感想 ―
[一言] 「彼女」死刑囚だったのですね。鳥肌が立ちました。 また「後悔」が何だったのか分からない所が、 一層怖く感じました。 面白かったです。
2009/08/23 12:36 退会済み
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