7.シークレットクエスト
1000PV超えました。
「おはよう、ミトさん。」
「おお、フレイの坊主か。」
中央広場について、俺が話し掛けたのは、少し短めの茶髪にしっかりとしたがたいのちょっと厳ついおじさんだ。
身長は185くらいで30代前半に見える。
袖のない作業着にだぶついた長ズボン。
左肩の三本の引っ掻き傷がより厳つく見せる。
何が言いたいかと言うと、客がいないので並ばなくてすむ。
「スローラビットの串焼き6本頂戴。“旨い”やつね。」
「おいおい、朝っぱらから人の商売の一番重要な所を半分も買うなよ。客寄せにならねぇだろうが。1800ティナだ。」
「はいよ。」
俺は亜空庫から銀貨を18枚取りだし、ミトさんに手渡す。すると、ミトさんは昨日俺が買い取って貰った、遅兎肉☆1SSの串焼きを取りだし、焼き始める。
「それで、調薬の調子はどうよ?」
「全然。品質Cの生命草で、品質Bのライフポーションが安定して作れるようになっただけ。」
「いやいや、十分だから。店売りのライフポーションは基本的に品質C。十分売り物になるからな?」
「そうなんだ。エリスさんには品質Cの生命草で品質Aを作れるようにって言われたけど……。」
「そりゃ、エリーちゃんは最高クラスの薬師だからな。薬草、水共に品質Cでも品質Sのポーションを作れるらしいから、比べるなよ?」
「す、凄いですね。一年以内に追い付きたいですね。」
「おお、あれに追い付くか。そりゃ、来訪者でも至難だぜ?なにせ、エリーに弟子入りして一月もった奴は居ないからな。」
随分物騒なことを。まぁ、分からんでもないけど……。
てか、一月って。だから、弟子が欲しいって言ってたのかな?
「まあ、分かりますよ。ポーション作りたいって言ったら、まずは生命草を50本採ってこいって言われましたし。」
「ダハハハハハハハハ。50本!?昼間に来た、いかにもひ弱なこの坊主に、50!?流石は、薬鬼!!鬼だな〜。」
な、なんか。エリスさんの二つ名みたいなのが出てきた。
「あ〜、笑えた。で、坊主。採ったのか?」
「あ、はい。日が暮れる前には採り終わって、薬屋に戻りましたよ。」
「ははは、そりゃ、エリーが気に入るわけだ。ま、頑張りな。ほれ、串焼き6本。」
「あ、ありがとうございます。」
渡された串焼きを亜空庫に仕舞い、俺は帰ろうとする。
「それじゃ、また来ますね。昨日採った生命草がまだ、100本以上残っているんで。それと教会にも行かないと行けないので。」
「っっ。お、おう。また、兎持ってこいよ。」
「はい、わかりました。」
そして、教会へと向かった。ミトさんはすの後、何かを呟いていた。どうせ、商売のことだろう。ああ、お金がない。
「昼過ぎから、日が暮れるまでに、生命草を100本以上?アレはアレで十分に化け物だな。」
◇◇◇
「ゴルバさん、おはようございます。」
「ほほほ、おはようございます、フレイギュラント君。」
串焼きを買った後、すぐに教会へ行った俺は、ゴルバに会っていた。
「これから、冒険ですかな?」
「いえ、実は昨日、薬師のエリスさんに弟子入りしまして、その後に作ったライフポーションをお供えしたいなと思いまして。」
「ほほほ、構いませんよ。本来は教会への寄付、という形をとっていますが、もしかしたら受け取って頂けるかもしれませんしね。」
「そうなんですか。では、受け取って頂けるまで祈るのも良いですね。」
「ほほほ、構いませんよ?」
「では、そうさせて貰おうかな。」
俺は、そう言いつつ、昨日と同じように左端の女神像へ足を向かわせる。
「フレイギュラント君。あなたは、神を信じますか?」
急にいつもとは違った雰囲気のゴルバさんが、ちょっと神父としてはどうかと思う質問をしてきた。
そして俺は、
「信じていますよ。人が死んでも、その人の家族や友達の中に残るように、たとへ、物質として存在をしていなくても。
俺は、神を信じていますよ。形有るものならば(スキルとして在るのならば)なおのこと。」
俺は、そう答えた。
「ほほほ、そうですな。」
俺は昨日と同じように左端の女神像から右端の女神像へと順に黙祷を捧げる。
最後に女神ミーティアの下に行く。
亜空庫からさっき作ったばかりのライフポーション☆1Aを5本全て取り出し、女神像の前へ置く。
そして、膝をつき黙祷を捧げる。
どれくらいたっただろうか。まぁ、10分やそこらだろう。
なんとなく目を開けても良いような気がして、目を開けてみる。
目の前には、さっき置いたポーションがあった。
そう、4本のポーションが。
「あっ。受け取ってくれましたか?」
それに答えるように……、
ピコン!
Sクエスト『女神への真の信仰』をクリアしました。
クリア条件:神父ゴルバードの好感度90%以上、特定の女神への信仰度100%、特定の女神の好感度90%以上、特定の女神への自分が渡せる最高の物のお供え
クリア報酬:称号【ミーティアの信仰者】、称号【神に捧げし者】、職業枠+1、職業【祈祷師】、STP20、SP20
特別クリア報酬:称号【神父の友誼】、称号【女神に寵愛されし者】
という、システムアナウンスが流れた。
「フレイギュラント君。」
「あっ。ゴルバさん。」
「ほほほ、神は存在しましたか?」
「はい。」
「ほほほ、それは良かった。これで、私の同士が増えた。」
「ゴルバさん。あの、先日の件ですが。」
俺は、クエストの話を振ってみる。
「おお、そうでしたな。いえ、今はエリスさんの所に弟子入りしているようですし、そろそろ帰った方が良いでしょう。開店時間も過ぎています。」
「そ、そうですか。」
「では、今日の夕方か夜にでもまたいらして下さい。そのときに、一つ、魔法を教えて差し上げましょう。」
ピコン!
クエスト『神父ゴルバードをもう一度訪ねろ』が発生しました。
今日の夕方から深夜までに神父ゴルバードを訪ねろ。
クリア報酬:???魔法の教授。
クエストを受諾しますか?
「分かりました。伺わせて頂きます。」
「ほほほ。堅苦しい敬語は控えましょうか。同じく神を真に信仰している者同士。そうですね、フレイギュラント君。フレンド登録と言うものをしてみませんか?」
「フレンド登録、ですか?」
フレンド登録とは、文字通りフレンドに登録する事。
フレンドとは、フレンド同士でチャットを行ったり、相手の居場所を表示したりできる(自分が行ったことがある場所に限る。また、行ったことが無い場所やイベントエリア等では大まかな場所が分かる)。
「えっと、できるんですか?」
「ほほほ、信じれば出来ますとも。」
俺は、試しにフレンド申請欄を開き(ステータスから移動できる)、名前ゴルバードにフレンド申請を送ってみる。
ピコン!
ゴルバードが申請を受諾しました。ゴルバードとフレンドになりました。
「あっ。」
「ほほほ、これで“友達”と言うやつですな、フレイ?」
「そうですね、ゴルバさん。」
こうして、よく分からんままに初めてのフレンドが出来たのだった。
ピロロン!!
あるプレイヤーが初めて、この世界の住民と友達になりました。
これにより、この世界の住民とフレンド登録が出来るようになりました。
詳細は後程メールにてお知らせ致します。
こんな、ワールドアナウンスまで付いてきたけどな……。
さて、ステータスでも確認するか。
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名前:フレイギュラント
種族:ハーフヴァンパイアLV4
第一職業:薬師見習いLV4
new第二職業:new祈祷師LV1
生命量:580/580→590/580(+10)
魔力量:1450/1450→1460/1450(+10)
筋力:21→21(+10)
体力:20→20(+10)
速力:35→35(+10)
知力:30(+3)→30(+40)
精神力:30→30(+10)
器用:17→17(+10)
幸運:10→10(+10)
括弧内はスキルやアイテムによる上昇値。
STP:60→80
SP:70→90
攻撃力:0+2(+10)→0+3(+10)
防御力:0+2(+10)→0+3(+10)
魔攻力:0+3(+10)→0+7(+10)
魔防力:0+3(+10)→0+4(+10)
RS:【吸血LV3】 【夜目LV1】 【魅了LV1】 【再生LV1】
JS:【調薬LV5】【new祈祷魔法LV3】
PS:【救恤と知恵の神の加護LV1→救恤と知恵の神の寵愛LV1】【】【】【】【】【】
AS:【空間魔法LV3】【鑑定LV3】【採取LV2】【錬金術LV1】【】【】
控えスキル:
称号:夜の住人 向こう見ず 無防備の討伐者 最良の獲得者 薬師の弟子 生産職の原石 newミーティアの信仰者 new神に捧げし者 new神父の友誼 new女神に寵愛されし者 new称号保持者
ミーティアの信仰者:ミーティアを信仰している者の証。称号【ミーティアの信者】が統合された。
取得スキル:【祈祷魔法】
神に捧げし者:神に初めて物を捧げることができた者の証。今後も神に物を捧げることが出来るようになる。
神父の友誼:神父ゴルバードと初めて友誼を交わせるようになった者の証。神父ゴルバードとフレンドになることができる。
女神に寵愛されし者:救恤と知恵の神――ミーティアに寵愛されし者の証。デスペナルティを無くし、知力に補正がかかる。また、他にも様々な恩恵が与えられる。
デスペナルティ無効:デスペナルティが無効になる。
知力補正:スキルレベル×100%、知力に補正がかかる。
成長補正:救恤、知恵、神に関わるスキルや職業の成長に補正。救恤と知恵の神――ミーティアに密接に関わる物ほど補正がかかる。
取得スキル:【救恤と知恵の神の寵愛】
称号保持者:最も多くの称号を持つ者の証。他者の称号取得数が自分より多く、且つ10の倍数になると奪われる。この称号取得時の称号取得数によって効果が変わる。
称号取得数10:全ステータスに+10の補正。
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あっ!!
この称号が原因か!!
感想、評価、よろしくお願いします。
ちなみに、称号の説明の、“初めて”〜した。は、プレイヤーの中で、初めてという意味です。
御注意下さい。