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4.遅兎肉☆1SS

さらに短いです。

「ミトさん、こんにちは。」

「お、珍しいね、エリーちゃん。隣のは、これかい?」

エリスさんが挨拶すると、ミトさんという人は、返事をしながら親指を立てて質問していた。

「違いますよ。服装を見れば分かるでしょ?」

「まぁね。」

そう、俺たち来訪者の初期装備は男女関係無く半袖半ズボンで統一されている。ここの住民との差は歴然だ。だが、逆を言えばそれ以外にここの住民とプレイヤーを見分ける方法はない。βテスト後半にずっとプレイヤーだと思っていた人がこちらの住民だったという話もあるくらいだ。逆も然り。

「初めまして。ついさっきエリスさんの弟子にして貰ったフレイギュラントと言います。フレイと呼んでください。」

「おぉー。来訪者にしては丁寧な奴だな。俺は、ミートガルド。ミトって呼んでくれ。」

「分かりました。ミトさん。」

「おう。それで今日は何を食う?」

自己紹介も終わりさっそく、夕食の時間だ。

「スローラビットを四本下さい。どうせ、たくさん余ってるでしょ?」

「まぁな、大量にあるぜ。一本50ティナだ。」

「はい。」

そう言いながら、エリスさんは懐のポーチから銀貨を二枚取り出し、ミトさんに手渡した。どうやら、銀貨一枚で100ティナらしい。ティナは通貨単位か。1ティナで10円位だろうか。串焼き一本500円くらいするし。それとも供給過多?

「普段より大分安いけどどうしたの?あ、はい、フレイ君。」

前半はミトさんに、後半は俺に話し掛ける、エリスさん。って、あの三本もあるんですけど……。

「ちょっ、悪いですよ。三本も。」

「ふぬ?ふぁいひょうふ、ふぁいひょうふ。ごくん。私の弟子になったお祝いだとでも思いなよ。奢るから。」

前半は、大丈夫、大丈夫。と言ったようだ。肉を頬張るエリスさん。割りと可愛い。元が美人なのだが、ちょっと幼さがあって、ギャップがある。

「じゃ、じゃあ、遠慮なく。」

そういって俺は、兎肉を食べ始める。

「うん、うん。若いうちは出来るだけ甘えときな。せめて、独り立ちするまではさ。それで、何で安いの?」「全く、食えばわかるだろう?大量にある上に品質がEやDだから、安く売ってるのさ。」

「ふーん。そうだ、フレイ君。品質の良い兎肉を獲ったって言ってなかったっけ?」

「お!ホントか、フレイ?AやBなら高く買うぜ?」

「あっはい。ありますよ。ちなみに値段は品質でどれくらい違うんですか?」

「ん、そうだな〜。標準、つまり品質Cで50ティナって所だ。今は数が多くてな。Cで50、Dで30、Eで15だな。Fだと5か。ちなみにGなら捨てるしかないな。まぁ、フォレストラビットならもうちょい高いぜ。」

「なるほど、遅兎肉一つで串焼き二本分ですか。なら、AやBでは?」

「うん?Aなら80、Bで65だな。品質Aがあるのか?」

「いえ、最高品質の物がありますよ、六つだけですが。」

そうして、俺は亜空庫から遅兎肉を取り出す。


ーーーーーーーーーー

遅兎肉☆1SS

傷が全くと言って良いほど無く、また完全に血抜きがされてから倒されたため、全く臭みが無い最高の状態のスローラビットの肉。新鮮でとても旨い。なぜか品質Sを超える品質SSで、その価値は計り知れない。料理をすれば速力に補正がかかるだろう。

ーーーーーーーーーー


「なっ!?」

そういって、ミトさんは言葉を詰まらせたあと、

「おい、坊主……。これは、どうした……。」

とても、低い、怒りが混じったような声を発した。

「ちょっと、ミートガルド。あんまり、私の弟子をいじめないでくれる?」

エリスさんもなぜか怒りがこもった目でこちらを見ている。

「でも、これはやり過ぎかな。品質SS……。そんな存在しない物を出してばれないとでも思った?幻惑系のスキルかな?早く解除しないと怒るよ?」

今までの笑顔が嘘のように冷たい、いや、寒い。ここだけが別空間のように雰囲気が悪い。

「えっと。いや、確かにこれはスキルの影響で品質が高いのですけど、別に惑わせている訳じゃ……。」

「坊主。差別はしねぇが種族はなんだ?武器も持たずに兎を三匹も狩れないだろう?種族スキルは?」言うことを聞いてくれない気がするが、嘘をつける雰囲気じゃない。正直に言おう。

「は……、ハーフヴァンパイア。スキルは吸血……。」

ど、どうだ……。


「「ああ、そういうこと。」」


あれ?なんか急に雰囲気が軽く……。


「なるほどな。文字通り、血抜きして倒したのか。だが、それでも品質Sがやっとのはずだが?」

「えっと。称号の効果で……。」

とりあえず、下手に。へりくだろう。たぶん、人間とか吸血鬼とか関係無く、“10秒以内”に殺される。

「ああ、来訪者が特別なことをすると貰えるって言うあれか。それで、品質が問答無用に一つ上がったのか。」

よ、よし。この場は切り抜けられそう。

「……くっ。ぷ、ぷぷぷ。あははははは。フレイ君、かわいい!!ごめんね?怖かった?正直な所、誰も疑ってなかったよ?」


………へ?


「いや、まあな。今日来たばかりのLV1や2のやつの幻惑系のスキルにかかるほど俺らは弱くないしな。」

「ふふふ、お詫びに串焼きもう一本買ってあげる。ミトさん。頂戴。」

「あいよ。じゃあ俺はその肉を高値で買おうかね。」

「あ、ありがとうございます。」

「さあ、帰ったら調薬だからね。今日中にまともなポーション作れるようにするよ。」


あ〜。心臓に悪すぎる。

決めた。絶対にエリスさんを怒らせない。これ絶対。

そうだ。スローラビットの串焼きはとっても美味しかったです。


感想宜しくお願いします。

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