帰り道
「ふぁーあ、疲れた」
僕、七風八は帰宅していた。このうるさい吸血鬼と共に。
「ねー、まだー?もう疲れたぁー」
「もう少し、あれですよ」
そこにあるのは赤い屋根の建物。正面には大きく「街の大きなケーキ屋さん」と書かれている。
僕の家はケーキ屋だ。なので僕自身手先は器用である。
「あら、あんたの家ってケーキ屋だったのね」
驚きながら吸血鬼、リルは言う。
「そう言えばあの変態は?」
「なんかアイドルのライブとやらに行くらしいわよ。ものすごく興奮してたわ」
「ドルオタなのか、初めて知った」
変態ドルオタか、謎ジャンルだな。放っておこう。
店先に着いた僕達は甘い香りのする店内に入った。
「いらっしゃーい!って、えーちゃん!隣の女の子はだーれ?」
えーちゃん、エイトとエーを取ったらしい。紛らわしいんだよ、母さん。
僕の母、七風トキ。運命と書いてときと読むらしい。意外と歳を取っているらしい。旧姓は十風。
「あら初めまして、七風トキと申します。宜しくね、リルちゃん」
「初めまして、トキさん。よろしくお願いします」
2人は挨拶を交わして会話を始めた。
「やあ、こんな賑やかになるのは正月くらいなもんなんだけどなぁ」
僕の父、七風ヤス。物凄い強面だが中身は優しい臆病者。筋肉がすごい付いていて、身長は190オーバー。そのため誕生日ケーキを買う子供を泣かせてしまうらしい。
「初めまして、八の彼女さん。八の奴をよろしくお願いします」
「何言ってんの!?違うよ?部活メイトって奴だよ!」
「焦ってるえーちゃんも可愛いわね〜」
こうなるのがいつものお決まりパターン。しかしあまり悪い気はしない。
「えーちゃん、そろそろ話していい?」
「お前までえーちゃんって呼ぶ!?」
「話とは何でしょう?」
話は400年前に遡る。