森での特訓
あの後、僕らは森の中にいた。
「じゃ、始めるわよ?準備はいい?」
リルはやる気満々だ。腕をピッチングマシンのように回してい...
「なんでそんな回ってるんだよ!?モーターか!?」
「吸血鬼舐めんじゃないわよ。こんくらい朝飯前よ」
「もう夕方ですけどね」
「あんたって屁理屈しか言えないの?」
「じゃ、特訓を始めましょうか」
「やる気あるのかないのか...」
リルは呆れた顔で言った。
「で?あんたの能力ってなによ?」
「糸です」
「そうなの、炎系はね...って、糸!?」
「そうですよ?」
「どうりでね。あんたが勝てない理由が分かったわ」
「なんでしょう?」
「弱すぎるのよ、能力が」
「でしょうね、察してましたよ…」
やっぱ退学するしかないのかな。諦めかけて、一つ質問をした。
「僕が勝てる方法はありますか?」
「どれほど能力の質が高いかね。それで決まるわ。ちょっと見せてくれるかしら?」
「じゃ、行きますよ」
僕は全力で能力を使った。
「はぁっ!」
パシュッ。糸は、20m位まで飛んだ。
「蜘蛛の巣みたいのは作れるの?」
「やってみます、はっ!」
音を立てずに、蜘蛛の巣を作った。音が立たないのは、始めてだ。
「なかなかやるわね、ワイヤーみたいなのは出来る?」
「こうですか?」
バシュッ!そこらの木に刺さった。簡単には抜けないだろう。
「上出来ね。これなら勝てるわ」
「そうですか、なら戦略を教えて下さい」
「キツい特訓になるけどいい?」
リルは意地悪に笑う。
「もちろんですよ」
「そう言うと思ったわ。なら始めるわよ」
「はい!」
こうして、僕の人生は少しずつ変わっていく。