第5話:鉄拳制裁
さて、ナンパ男たちに声をかけられた咲楽と紫音の明日はどっちだ!?
今更だけど主人公の咲楽って準チートかも…
追記
2000PV越えました。
ブックマークも20件超えました。
本当にありがとうございます!
とりあえず、私たちをナンパしてきた男たちを見てみる。
最初に声をかけてきた真ん中の男は、茶髪茶眼で顔立ちは整っているが顔がにやけており台無しになっている。
次に左の男は、黒のローブを羽織っている魔術師みたいな服装をしていて真ん中の男同様に顔がニヤついていていやらしい目線を私の胸に向けてくる。
最後に右の男は、他の二人よりも体格がよく鍛えていることがわかる。しかし、この男も顔がニヤついている。この男の視線を追うとどうやら私ではなく紫音に向かっていることがわかる。こいつロリコンか…私の紫音に手を出したらどうなるか思い知らせてやらなければ…私のものでもないけどね!
「私たちは急いでいるので失礼させていただきます」
私は怒りを面に出さないようにして努めて冷静に対処しようとする。
このまま私たちを通してくれれば面倒ごとにならないのだけど…
「おい、待てよ!」
どうやら男たちは私たちを見逃してはくれないようで、語勢を強めてそう言い放ち私の腕を掴もうとして来る。
私はほとんど無自覚のうちに対処行動をとっていた。
伸ばしてきた男の手首をつかみ捻り関節を決める。
「いででででで!!!」
「触れないでもらえますか?汚れてしまいますので…」
冷たく言い放つ。
その言葉が合図となったのか、一連の流れに呆けていた男たちが動き出す。
「てめ!何してやがる!!」
「この尼!下手に出れば調子に乗りやがって!!」
この手の男は何でこうも同じような言葉しか言えないのだろうか…後、貴方達が下手に出てた覚えなんてないのですが…
そう思いながら男たちを対処しようとすると、私の横から力強く握られた拳が通り過ぎ襲い掛かってきた男の片割れの顔面を打ち付け吹き飛ばす。
殴られた男は5mほど吹き飛び地面を転がる。
ピクリとも動かなかった。
そのまま、私の横を通った女の人は右拳を握りしめもう一人の男を殴り飛ばす。
こちらの男も5mほど吹き飛び地面を転がった後動かなくなった。
横目で少しだけ確認できたが、凛々しい女性だった。
そして、右手で関節を捻っていた男の手首を離して拘束から開放する。
「気絶した仲間を連れて早く逃げなさい。そうすれば後は追いません」
そう言うと、男は悲鳴を上げながら他の二人の服を掴むと引きずって逃げていく。
気絶した男2人を運ぶというのは相当な力がいるはずだが、男は必死の形相で引っ張っていく。
これが、火事場の馬鹿力って言うのでしょうなどと呑気なことを考えていると私の前にいた女性が振り返って声をかけてきた。
「大丈夫だったか?」
ハスキーボイスで男のような口調が特徴的だった。
綺麗な金髪が風になびいて広がる。
透き通るような金の髪をしていて指触りはとてもよさそうだ。目は澄んだ水色をしていて、肌は白い。地球でいうとロシア辺りにこんな感じの人がいそうだ。
顔立ちは整っており、絶世の美女といっても過言ではないだろう。
「先程は助けてくださり誠にありがとうございます」
「無事なようだな…まぁ、私が助けなくとも大丈夫なようだったがな…」
「いえ、3人もいれば流石に手こずったかもしれません」
「そういうことにしておこうか…まぁ、あなたほど強いのならば大丈夫みたいだな…私はこれで失礼させてもらう…」
そういって、立ち去ろうとするので私は女性を呼び止める。
「すいません」
「ん?なんだ?」
去ろうとしていた足を止め、私のほうに振り向く。
呼び止めてから気づく。
そう言えばこの方の名前を伺ってないと
「私は咲楽と申します。そして、こちらが私の主人の紫音様です。貴女のお名前を聞いてもよろしいですか?」
「あぁ、私の名前はオーリア。よろしくな」
「オーリア様ですね、よろしくお願い致します。素敵なお名前ですね」
「ありがとう。私はあまり堅苦しい言い方は好きじゃないんだ、もう少し砕けた口調でいい」
「わかりました」
「んー、まだ硬いけどいいか…私を呼び止めたのは名前を聞きたかったからか?」
「もう一つ聞きたいことがあるのですが…」
「なんだ?」
「ギルドの場所を教えてもらってもいいですか?」
「ギルドなら私が丁度向かうところだったし案内してやるよ」
「ありがとうございます」
どうやら、私たちは幸運だったようでギルドまで案内してい貰えることになった。
大通りを歩いきながら、紫音がオーリアさんへ目についたものを質問していく。
少し歩いているうちに紫音とオーリアさんは打ち解けたようで紫音も会話に混ざってきた。
「あの盾みたいな飾りに剣の模様が彫られている店は武器やか何かかしら?」
「そうだよ。あそこに剣や槍なんかの武器、皮や鉄でできた鎧なんかも置いてあるんだ」
「いずれ武器を買うために通うようになりそうですね…」
しっかりと頭の中にマップを広げて場所を把握していく。
「そういえば聞いてなかったことがあるんだけど聞いていいか?」
オーリアさんが、此方の方に顔を向けてそう質問してくる。
「はい」
「サクラとシオンはどうしてギルドに行こうとしてるんだ?」
「売りたいものがありまして」
「あぁ、なるほど魔物の素材を売りに行くんだな」
「そうです」
このような会話をしながら私は少しづつ情報を整理していく。
少し前に草原で戦ったトラは十中八九魔物でしょう。
そして、牙と赤い石は素材…それらはギルドで買い取ってくれることが分かった。
また、さっきの戦闘で男を殴り飛ばした彼女の剛腕はどう考えても彼女の細い腕からは出せれないはず。この世界の物理法則が地球と違うというのならば話は別になるけど…
私は考え事をしながらも、紫音とオーリアさんとで会話しながら進んでいく。
どうやらまだまだ考えなければいけないことが多そうだが、一先ずギルドについたので考え事をやめることにした。
「ここがギルドだ」
「うわぁ、おっきい!」
「確かに大きいですね…3階建てでしょうか…」
木で建てられており、建ってからかなりの年月使われているのだろう少し古臭い感じはするものの全体的には綺麗だった。窓が縦に三つ並んでいるところがあるのでおそらく三階建てだろう。
人の出入りも多いようで入り口は大きめに作ってある。
何人か入っている人を眺めてみると明らかに私たちとは違う人たちをちらほらと見かけた。
耳が人間の耳ではなく、猫の耳だったり狐の耳だったりする人たち。よくよく観察すると耳同様に腰のあたりから獣の尻尾が生えていることが分かった。
また、耳がとがっている人たちや頭から角を生やしている人物もいる。
ここアストラルと地球の相違点をまたもや見つけてしまった。
「ねぇねぇ、咲楽!あれって獣人って言うのじゃない?あっちにはエルフ?がいるよ。あー、あの人頭から角が生えているよ」
「紫音様あまりはしゃがないでください」
「分かってるわよ。でも、私たちが見たこともないようなものが溢れているのよ?はしゃがない方が無理だと思うけど?」
笑みを浮かべながら大興奮といった様子の紫音はご機嫌だ。
軽く息をつきながらもオーリアさんを見ると少し苦笑いしていた。
「獣人やエルフを見るのは初めてか?」
「はい、私が住んでたところにはいなかったよね、咲楽」
「はい、かなり東の方から来ていて私たちの育った街では見かけませんでした」
紫音がうまく嘘を交えた発言をする。
嘘とホントを交えて紫音の言葉を補足しておく。
「そうか、それはよかったな。でも、そろそろギルドの中に行くことにしないか?」
「はい、お願いします」
そういい、私たちはギルドの中に入っていった。
いかがだったでしょうか?
誤字脱字報告よろしくお願いします。
次回はギルドの話です。
次回の更新は2月12日です。