第4話:異世界のお約束
消えたトラはどこに行ったのでしょうか…
それはさておき、今回も楽しんでくれたら幸いです。
というか、タイトル略してみたいw
誰か略し案くれたらうれしいです。
まぁ、何もなかったらたぶん『〝異世゛界探求〝譚゛』この部分を使って『いせたん』になりそうですw
感想とかでいい案あったら教えてくださいw
追記
週間ユニークが100越えました。ありがとうございます。
今回の話投稿しただけでPV300以上増えたのはうれしかったです。
これからも頑張っていきます。
更に追記
ユニークが600越えました。
本当にありがとうございます。
私は慌ててトラを吹き飛ばした辺りに寄ってみる。
まさか、首を斬られても生きていてどこかに隠れているとか…
しかし、近づいてみるとどうやらそういうことではないようだった。
トラの死骸が倒れていた場所にはあるはずの血溜まりもトラの死骸はなかった。
私はスカートの中にしまった布を見てみる。
先ほどナイフや桜吹雪に付着した血が残っていると思ったからだ。
しかし、その予想は裏切られる。
布は新品同様、血痕の一滴たりともついてはいなかった。
自分はトラの幻影でも見ていたのだろうか、それとも夢でも見ていて目が覚めるといつものお屋敷でいつもの日常が始まるのだろうか…そこまで考えて、ふと視界の端に移った物が見えた。
それは、鋭利な牙が二本と赤く輝く石だった。
(これは…どうやら牙はトラのモノのようですが、この赤く光っている石は何でしょうか…それに、トラの死骸や血はいったいどこへ…気になることは多くありますがとりあえず、この二つは紫音様に見せておきましょうか)
そういい、私は牙と石を拾うと紫音様のほうに近づく。
「トラはどうだった?」
「トラの死骸もそうですが血の一滴すらもありませんでした。が、代わりに牙らしきものと何やら赤く輝く石がありました」
「ちょっと見せてくれる?」
「はい、紫音様」
私は手に握った牙と赤い石を差し出す。
紫音様は赤い石を手に取り眺める。
「色はルビーに近いかしら…綺麗な色ね」
そういい、光に透かしてみたり色々な角度から眺めてみたりして何も変化したりしないことがわかると赤い石を私に渡し、今度は牙を観察する。
しばらく牙も見ていたが、こちらも鋭利という以外は何の変哲もない牙なのですぐに私に渡してきた。
スカートの中に牙と赤い石を仕舞うと、外していたスカートのボタンを留め衣服を整える。
「さて、これからどうする?咲楽」
「あの城壁に向かって進んでみるしかなさそうですね。今は何よりも情報がほしいですから」
「そうね、ここでうだうだ考えてても仕方ないし行ってみましょう!」
「はい、紫音様」
紫音様の一歩後ろに付き添いながら周囲の警戒をしつつ進んでいく。
幸いにも先程のトラのような生物が森から出てくることもなく、無事に城壁の前まで辿り着くことのできた私と紫音様は一息つく。
城壁の門には門番であろう人が立っていて、検問をしているようだ。
馬車が門の真ん中あたりを通り、その横を人が通っている。
車などは走っておらず、皆徒歩か馬車を使って移動している。
門番が人と馬車を順番に調べているので私達も列の一番後ろに並んだ。
しばらくして、私達の番が回ってきた。
「よし、次はお嬢さん方だな」
無精ひげを生やした大柄な男が私達に声をかけてきた。
身長は180後半…もしかしたら190あるのではないかというぐらい大柄だ。
咲楽も女性にしては身長が高いほうだがここまで高いと少し見上げないといけない。
「まず、お嬢さん方の名前は?」
「私が咲楽で、こちらが紫音様です」
「えーと、侍女服のあんたがサクラでそっちの見慣れない服を着たお嬢さんがシオンだな」
「はい」
「この街、リズルに来た目的は?」
「極東の田舎から旅をして来ました」
「なるほどな…よし、大丈夫だろう。入ってもいいぞ」
少し、嘘を交えたが怪しまれずすんなりと門を通してくれた。
後、この街の名前がリズルだということが分かったのは大きな収穫だろう。
私は、物珍しそうに門を見上げている紫音様に声をかけると門を潜り街の中へ足を踏み入れた。
「あ、サクラにシオン!言い忘れてたんだがよ、最近どうやら誘拐事件なんかが起こってて物騒らしいから夜はあまり出歩くんじゃねぇぞ!!」
少し大きな声で先程の門番の人が忠告してくれた。
誘拐事件ね…夜で歩くことがあれば紫音様を守れるように武装しておかなければ…
「ご忠告、ありがとうございます。夜は出歩かないように気を付けます。では」
「おう、気をつけろよ」
そういうと、私達は門から離れリズルの街の中を探索することにした。
目先の目標としてはこの世界の常識とお金を手に入れることだ。
お金を得る手段としては、先程トラを倒したときに手に入れた赤い石と牙を売れば少しなら収入を得られるはずと考えているが、問題はどこで売れるのかといったことだ。
(そういえば、先程門に並んでいるときに聞こえた話し声の中にギルドや冒険者といった言葉が聞こえていたような…ギルドっていうところに行けばこの牙と赤い石を買い取ってくれるかもしれませんね…)
考え事をしていると、ふと紫音様が私の顔を覗き込んでいるのが目に入った。
「どうかされましたか?」
「ねぇねぇ、咲夜?」
「はい?」
「ここには私達のこと知っている人間なんて一人もいないのだから、そんなに畏まらなくたっていいのよ?」
「しかし、紫音様相手に溜め口など…」
「じゃあ、せめて私のこと紫音って呼んで。様付けされるとなんか距離を空けられているみたいでちょっと嫌だからさ…」
「…わかりました、し、紫音…」
様付けをしないことに抵抗を感じつつも、私が紫音様のことを紫音と呼ぶと紫音様…紫音は花を咲かせたような笑顔になりうんうんと頷いている。
「咲楽に様付けされないのっていいわね!」
「は、はぁ…紫音がいいのなら私に依存はありませんが…」
「畏まった口調はおいおい直させていくとして、これからどうするの?」
いつか、私と紫音が素で会話できるときが来るのだろうかと考えつつも次に行うことを紫音に話す。
「今後のことも考えて、資金が必要です。そこで、先程門の時に聞こえてきた『ギルド』に行ってみようと思います」
「おいおい、なんだよ?こんな街中でえらく綺麗な嬢ちゃんたちがいるじゃねぇか?」
私が紫音と会話していると横から下卑た声で話しかけてくる男の声が聞こえた。
声が聞こえたほうに顔を向けると3人の男たちがにやにやと笑いながらこちらを見ていた。
「ギルドに何か用があるのかいー?」
「あんなむさ苦しいとこ行かずにさぁ、俺らといいことしねぇ?」
「そうそう、俺らと来たら気持ちいい思いができるぜぇ?」
男たちは下卑た笑い声をあげる。
あぁ、なんでこんなに面倒ごとに巻き込まれるんだろう…
私はそう思わずにはいられなかった。
いかがだったでしょうか?
誤字脱字報告よろしくお願いします。
次回はナンパ男たちの話とギルドについて触れていきます。
次回の更新は2月5日です。