第3話:VS異世界のトラ
さてさてさて!
来ましたぜ!戦闘だ!!
うまく書けるかわかんねぇけど頑張るぜ!!!
咲楽さんの支援絵いただきました。
詳しくは登場人物紹介を見てください。
ブックマーク10件越えありがとうございます!
PV1000越えました!
残り400m…300、200……
思考が加速し、周囲に見えている風景が段々とスローモーションになっていく。
近づくにつれてトラらしきものの正体がはっきりとしていく。
地球の動物でいうとベンガルトラに近い姿をしている。
体長はおそらくだが2m50㎝。
そこから換算される体重は180㎏~200㎏だろうか…
地球のトラと全く構造が同じだとしたらという前提条件があるが、ほぼ間違ってはないだろう。
違うところがあるとすれば、異様に発達した長い牙と発達した前足と後足の爪や筋肉ぐらいなものだろう。
(あれぐらいであれば私の受け流しでも十分に対応できる。速度もかなり早いけど対応の範囲内…落ち着け…)
トラと咲楽の距離が残り10mを切ったとき、トラが後足に力を入れ跳びかかってくる。
その強靭な詰めで切り裂くつもりだろうか…なんにしろ普通ならば、対処できずにそのまま押しつぶされるか牙で食い千切られるか、はたまた爪で切り裂かれるかだろうが咲楽は違った。
トラが跳びかかった瞬間にそのトラに比べれば小柄な体をトラの着地するであろう地点より手前に滑り込ませる。
右手を掌打の形に構え、トラの下顎めがけ打ち出す。
寸分たがわずトラの下顎を咲楽の右手が打ち抜く。
さらに、インパクトの瞬間右手に返ってきた反動を筋肉、骨、関節など身体全体を使い衝撃を経由させてを左手に送る。
経由してきた衝撃と身体全体を使って練り上げた回転の力を左手の掌打に乗せてトラの下腹部辺りめがけて打ち込む。
掌打によって伝わった衝撃とトラ自身の運動エネルギーによりトラは5メートルほど後方へ吹き飛んでいく。
だが、流石野生の獣といったところだろうか…
トラは空中で体を捻り足から着地する。
しかし、勢いは殺しきれなかったようで2m地面を削りようやく止まる。
咲楽はインパクトの際返ってきた反動を地面に受け流したため、足元の地面が荒れている。
武芸百般に通じる達人でもここまでの動きはできないだろう。
そこまでの凄まじい技術だ。
と、ここで咲楽は少し違和感を覚えていた。
(身体能力が上がっている…?いや、気のせいでしょうか?)
自分の身体がいつも以上に動きやすいことに気づく。
しかし、戦闘中なので気のせいだということにして集中する。
再び、紫音様の前にでてトラから守る体制に入る。
油断なくトラのほうを見て警戒を続けるが、どうやらトラ先程のダメージが大きいのか、こちらを警戒しているのかわからないが動かない。
(通常の打撃ではあまり効きそうにない…内臓に直接ダメージを与えれば別でしょうが…一応、服の中に仕込んであるナイフでどうにかなるといいのですが…)
スカートの内側に手を入れて右手と左手に一本ずつナイフを持つと左手に握ったナイフをトラめがけて投げつける。
トラは軽く横に飛んでナイフを躱すと、再びこちらに飛び込んで来ようと後足に力を入れる…が―
「遅い!」
その時にはすでに、咲楽が右手に握っていたナイフをトラの顔へ正確に投げている。
トラは慌てて顔を反らそうとするが間に合わず、左目に深々とナイフが突き刺さる。
「GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
耳を劈く様な悲鳴がトラから発せられる。
咲楽がその隙を見逃すはずもなく更にスカートの中からナイフを取り出し投げつける。
トラも必死になって躱すが、いくらかは避けきれず体のあちこちにナイフが刺さったり切り傷ができている。
毛並みはナイフによって切り裂かれ無残なものになっている。
数十秒ぐらい、咲楽がトラを翻弄しただろうか…
咲楽はそろそろ決着をつけることを考えた。
ここまで翻弄すればトラのほうも怒り狂ってるだろうという判断だ。
怒ると判断能力が低下して単調な動きになりやすい。
そこを衝くといったわけだ。
(そろそろ、トドメを刺す!)
スカートの後ろから左手を背中のほうに突っ込み、背中に沿うようにして差さっている棒のような形状をしているがやや反りのあるものを左手につかむと、ソレを固定してあるボタンを外し背中から抜いてくる。
ソレは一見するとただの曲がった棒だが、咲楽はソレの片側の端を右手で掴み少し離れて所を左手で掴むと腰を落とし構える。
その構えは、日本の刀で使われている抜刀術居合抜きの構えに非常に酷似していた。
トラのほうを真剣な眼差しで見据え、集中力を高めていく。
トラはもう理性などは一欠けらも残っておらず、ただ荒れ狂う怒りのみを咲楽のほうにぶつけていた。
後足にこれでもかといわんばかりの力を籠め、体勢を低くしていく。
この一撃で咲楽を仕留めるつもりだ。
両者の緊張感が高まっていくのがわかる。
先に我慢を切らしたのはトラのほうだった。
後足に溜めた力を一気に開放し、全速力でこちらに突っ込んでくる。
先程の時速50kmは軽く超えているだろう。
トラが踏みしめたことによって爆ぜた土を見れば一目瞭然だ。
対する咲楽は冷静にトラを観察し、ソレを解き放つ瞬間を待っている。
「GURUAAAAAAAAAAAAAA!!!」
「はぁあああああああああああ!!!」
トラが雄たけびをあげこちらに噛みつく瞬間、咲楽の手から銀閃が放たれた。
交差は一瞬。
この戦いを制したのは咲楽だった。
トラの首は切断され咲楽と紫音の後方にその身体と首が転がっている。
咲楽の右手の中にあるのは見事な波紋がその刀身に浮かんでいる一本の日本刀だ。
素人が一目見ただけでも業物だとわかるほどその刀は存在感を現していた。
最上大業物にも引けを取らない一品。
銘を『桜吹雪』という。
咲楽専用に作られた刀だ。
華美な装飾などは一切なくただ純粋に切れ味のみを追求した刀で、その切れ味は和紙千枚をも切り裂いてしまうほどだといわれている。
刀を振るい刀身についた血を地面に落とすと、スカートの内側から出した布で刀身を拭き鞘に納めまた背中にしまう。
落ちているナイフなども血を払い布で拭くと元あった場所へしまう。
そして、紫音のほうを振り向き―
「紫音様、あのトラの件も含めてですがこれからどういたしますか?」
そう尋ねて紫音からの返答を待つ。
「あなたって相変わらずめちゃくちゃね」
「それほどではございません。私はただ紫音様をお守りしただけでございます」
「まぁ、いいわ。トラ程度が私の咲楽を倒せるわけがないのだから…」
それは、従者である咲楽に対する信頼だった。
咲楽はその言葉に少し嬉しそうにはにかみ言葉を紡ぐ。
「勿体無きお言葉です。それで、あのトラの件ですが…?」
咲楽は紫音の後ろを見て言葉をなくす。
「どうしたの咲楽?」
「いえ、先程倒したトラの死骸はいったいどこに消えて…」
「へ?それなら私の後ろに飛んでいかなかったかしら…」
紫音は背後を振り返り、咲楽と同じように絶句する。
「嘘…」
そこにはあるはずのトラの死骸が無かったのだった。
いかがだったでしょうか?
誤字脱字報告よろしくお願いします。
さて、次回は消えたトラの死骸についてのお話と街へ向かいます。
次回の更新は1月29日です。