第1話:異世界アストラル1
大体1500~3000ぐらいの文字数で更新していきたいですね…
がんばります。
咲楽さんの支援絵いただきました。
詳しくは登場人物紹介を見てください。
草の匂いが香っていた。
優しいそよ風が頬を撫でていく。
柔らかな土の感触が服越しに伝わってくる。
私こと咲楽は、ぼうっとしていたのだろう徐々に頭が回り始め先ほど起こったことを思い出す。
確か…紫音様がお屋敷にお戻りになられ、お着替えを手伝おうとしたときに足元に魔方陣が現れて動けなくなって…
先程のことを徐々に思い出していく。
そして、ふと気づいた。
「紫音様!」
私は跳ね起きて、周囲をうかがう。
すると、近くにうつぶせの状態で紫音様が倒れていた。
すぐに、そばに近寄ると外傷がないかを確かめる。幸いに、目立った外傷はなく心臓も規則的に動いており呼吸もしていたのでほっと一息つくことができた。
(よかった、これでもし紫音様に怪我でもあったら…)
一応、安静も考えて紫音様を寝かせておき周囲の様子をうかがう。
先程は焦ってよく見ていなかったが、自分たちが居る草原からは目に見える範囲内に森や門が付いている壁のようなもの…城壁か砦が見えることが確認できた。
(森までは目測で大体1㎞…門までは2㎞ぐらいでしょうか…)
大体の距離を目測で測り、紫音様のほうをちらっと見る。
どうやらまだ眠っているようで、かすかな寝息が聞こえてくる。
(あの門までならなんとか紫音様でも歩くことができるでしょう)
そこまで考えてからここがどこなのか考え始めた。
(恐らく、日本ではないでしょう。こんな広大な草原も、門の付いた城壁のようなものも日本にはないですし…考えられるとすれば外国のどこかでしょうか…しかし、それだとあのお屋敷からどうやって私と紫音様を連れ出してここまで運んだのかわかりませんし、なによりこんな草原に放置しておくこと自体が解せません…)
ふと、視線を落としてみると雑草がたくさん生えていた。
(まずは、ここが何処だか調べなくてはなりませんね。丁度草が生えているので草の種類がわかれば草の分布から今私たちがいるおおよその位置を特定できるかもしれませんね…)
そう思い、1本草を抜きよく観察してみる。
(葉脈は網目状、葉身はおよそ6㎝で卵円形で縁は鈍い鋸歯を持っていますね。形状はヒメオドリコソウに近いでしょうか…しかし、少し葉の大きさが大きいし葉の密度が薄い気がする…それに一番違うのはヒメオドリコソウは上部が暗紫色を帯びているはずですがこちらは少し青みがかっている…一応、葉をもんでニオイを確認しておきましょう。ヒメオドリコソウならば悪臭があるはずですし…)
裏返したり、葉脈を確かめたり、葉身を測ったりしてから最後にニオイを確かめるため軽く葉をもみニオイを嗅いでみる。
(悪臭…はしない…むしろミントのような爽やかな香りですね。味も調べておきたかったですがさすがに毒があると困るので確かめることはやめておきましょう)
摘んだ葉は、軽く地面を掘った穴に入れて埋めておいた。
他にも雑草を調べてみるが似ている草はあるのだが、花弁の色が違ったり、茎の色が違ったり葉の形が違ったりと自分の知識の中にある草の種類と若干違うのだ。
(そんな、私が知っている草が一つもない!?)
咲楽は珍しく焦っていた。
実際、咲楽はかなりの知識を持っている。
紫音のために自身の自由な時間のほとんどを勉強や護身術に回しているのだ。
有名どころの草の種類はほぼ把握しており、まだ名前のない草以外はほとんど覚えている咲楽にとっては見たことない草というのは非常に少ないのだ。
(おかしい、十数種類調べても似ている草はあるのに私の知識の中にあるものと全く違う…)
腕を組んで考えていると、ふと紫音様の服のポケットから紙のようなものが出ているのに気づく。
先程、うつぶせの状態から紫音様の体勢を変えた時にはなかったはずのものだ。
(何でしょうかこれは手紙のように見えますが見ておきましょうか…いや、紫音様の服を勝手に漁るなど…いや、それはそれで背徳感があって何ともいえn…いやいやいや、何を考えている私!それどころじゃないでしょ!今は欲望を抑えなければ…これは紫音様の安全確認のため…そう、安全確認のためだから仕方ない…失礼します、紫音様)
そっと紫音様の服へ手をかけ、手紙らしき紙を抜き取る。
そこにはこう書かれていた。
『やっはろー☆地球からこの世界にたどり着いた諸君ー★私はシンラ、この世界アストラルの根幹を司る神でーす☆いやー、私がたまたまそっちの世界アルテラ…あぁ、君たちでいうところの地球ね?そこを観光しているときにさ~★君たちが死ぬ未来が見えたわけよ☆ここで死ぬには惜しい能力を持っているようだし、私の世界へと連れてきたってわけ★あ、この喋り方めんどいからやめるね。まぁ、その世界からでも帰ろうと思えば帰れるよ。ただし、帰っても近いうちに死んでしまうと思うからこっちの世界で残りの人生を謳歌してもいいと思うよ。まぁ、どうするかは君たちの自由だけど…一応、これでも神だから祝福としてこの言葉を送ってあげよう!願わくば汝らの旅の行く末に幸があらんことを…』
手紙にはそれだけしか書かれておらず、私が読んで済むと紙がひとりでに燃えて消えてしまった。
私はしばらく呆然としてしまった。
呆然とした頭を何とか回しながら思考していく。
(紙が勝手に燃えた?いや、そのことについては後から考えましょう。地球…手紙に書かれていた名なら『アルテラ』だけど、その世界とこの世界『アストラル』は違う世界…嘘かもしれないけど、ここにあった雑草の中に私がしるものはなかった。神という存在は怪しいけど、手紙の内容は概ね信じてもよさそうだ。ただ、一点を除いて。私と紫音様が死ぬですって?おそらく、寿命ではないはずだ…私はまだ28を超えたばかりだし紫音様に至ってはまだ16歳だ。死ぬには早すぎる。となると、考える方向性は事故か、事件に巻き込まれたと考えるのが妥当…)
思考を加速させていく。
ぼうっとしていた頭が徐々に覚醒していきさらに思考を続ける。
しばらく動かずに考え続けて一先ずの区切りをつける。
(流石に死んだ要因までは特定できませんでしたが、事故にあったというよりも事件に巻き込まれた確率が高いでしょう。取りあえずは、地球に帰ってしまっても死んでしまうということを信じてこの世界にしばらく滞在してこれからのことにについて考えてみましょうか…まぁ、とりあえずは紫音様に相談してみないことには始まりませんね…この世界で一生をここで過ごしていくのか、死を覚悟して地球に戻るのかはわかりませんが紫音様だけは私の命に代えても守り抜きましょう。それが、私の使命ですから…)
ガサっという音が聞こえ音のした方向に顔を向けると、紫音様が起き上がっていることに気づく。
急いで紫音様の横に座り込み紫音様の容態を確かめる。
「紫音様」
「ん…咲楽?」
「はい、紫音様」
どうやら意識ははっきりしているようで、脳へのダメージなんかもなさそうだ。
やがて、紫音様は自分の置かれている状況を把握するためか辺りをキョロキョロと見渡す。
しかし、知っているものが何もなかったのか再度私のほうへ顔を向け、戸惑ったような声で私に質問する。
「ねぇ、咲楽?1つ聞いてもいい?」
「なんなりとお申し付けください、紫音様」
「一体、ここはどこなのかしら?」
私は少し間をあけて、ゆっくりとした口調で話し始める。
「私たちは地球からアストラルと呼ばれる世界…異世界に連れてこられたようです」
そう切り出した。
いかがだったでしょうか?
誤字脱字や文章がおかしいところなどがあれば報告お願いします。
それにしても、自分の思ってることの文章化って難しい。
次回は紫音と咲楽の会話を交えたお話です。
次回の更新は1月15日です。