第15話:緊急クエスト発生!
さて、第一章ラストまで突っ走って行くぜ!
そんなわけで緊急クエストです。
幕間とかいろいろ挟もうかとも思いましたがリアルが忙しすぎて無理でした。
ちなみに今回の文字数は3700文字です。
毎回このぐらいが書き易いのよ。
いつも通り太陽が姿を現す時間とほぼ同じ時間に私は目を覚ました。ベットから起き服の皺を整えると少し寝癖が付いた髪を櫛で整える。寝る前にメイド服から出していた仕込み刀やナイフなどを手に取ると刃こぼれなどを確認した後メイド服の中に仕舞う。自身の支度を終えた後ベットで寝ていた紫音を起こし寝癖のついた髪を整えると一階で食事を摂る。黒パンと干し肉を使ったスープ、サラダを食べ終えた後エリカさんに携帯できる昼食をお願いした後部屋に戻る。
「咲楽、今日もウルフ討伐みたいな討伐系のクエストに行くの?」
「そうですね、昨日戦ってみた感じGランクの魔物なら十分戦えそうなので今日も討伐系にするつもりですがどうかしたのですか?」
「うん、ちょっと魔法で試したいことがあってねー」
「試したいこと?」
「ほら、魔法って上級になると様々な派生があるってシリナさんが言ってたじゃない?」
「そうですね」
「でも、上級になるとなんで派生が増えるんだろうって思ったわけ、下級でも3種類以外にも派生できるんじゃないかって。そこで2つほど派生の仕方を思いついたわけ。それをちょっと試したいのよ」
「ちなみにどういった派生系なのですか?」
「一つはたくさんの小さな魔法を弾幕のように放つ派生系。そうねぇ、名付けるなら『バレット』と言ったところかしら。もう一つは魔法を薄い刃の様にして放ち魔物を切る派生系。名付けるなら『カッター』かなー…とにかく、その二つを試してみたいの」
紫音の言った魔法の新たな派生のことを考えてみる。
まず、『バレット』。日本語だと銃弾などという意味がある言葉だ。紫音のイメージではおそらく手から直径1㎝ぐらいの小さな魔法の弾を次々と放つといった感じだろう。『ボール』系よりも威力は低いが広い範囲を攻撃でき、2匹の魔物を同時に狙うことができるといったような利点があるだろう。
次に、『カッター』。日本語だと物を削るったりする道具といった意味がある言葉だ。紫音の言葉から察するに縦や横に薄く魔法を伸ばしそれを放つことによって魔物を切断するといった感じだろう。使ってみなければ欠点は分からないがこちらも攻撃手段としては優秀だろう。
どちらも使えるようになると討伐クエストがもっと楽になるような気がする。
「なるほど…面白いかも知れませんね」
「でしょ!」
「わかりました、今日は討伐系に行きましょうか」
「ありがとう、咲楽!」
紫音が抱き着いてくる。屈託ない笑みを浮かべて抱き着いてくる紫音に内心小躍りするぐらい喜びながら外にはあまり出さないようにする。それでも頬が緩み自然と笑顔になる。数十秒ぐらいで紫音が離れたのを少し残念に思う。もう少し抱き着いていてもよかったのに…。
「さ、咲楽。エリカさんからお昼ご飯を受け取ったら早速ギルドに行きましょ!」
「かしこまりました」
「ん?咲楽、どうかした?」
「…いえ、なんでもありません」
「…?そう?ならいいのだけど」
一階のカウンターでエリカさんから昼食を受け取り私たちは宿から出てギルドを目指し歩いていった。
◇◆◇◆◇
ギルドに着くといつもより人が多く何やら騒がしいことに気が付いた。ギルドにいる人たちの顔には緊張が浮かんでいるのがわかる。
「何かあったのかな?」
紫音が辺りの雰囲気にのまれ不安げな声を上げる。
「わかりません。ただ、何か嫌な予感はしますね…」
小声で紫音と話しているとギルドの二階から慌ただしくギルド職員が下りてきた。
「皆さん、すでに分かっているとは思いますが緊急クエストが発令されました!!!」
女性の声えギルド内が騒然となる。
「マジかよ…」
「いったい何の緊急なんだ…?」
「わからねぇ…」
「緊急クエストの内容は森から攻めてくる魔物の討伐、または撃退です!!参加する冒険者のランクは問いません!!ただ、E-ランク以上の冒険者の方は必ず参加でお願いします!!報酬金は参加するだけで銀貨30枚!また、魔物1匹討伐ごとに追加で銀貨5枚が支払われます!!また、討伐数をカウントする魔導具はギルドからの支給されますので必ず受け取ってください!!!」
「銀貨30枚か…」
「魔物一匹ごとに銀貨5枚…」
「森といえば手ごわい魔物もいるだろうから危ない橋だな…」
「まぁ、緊急だし参加するしかないか…」
戸惑いの声が上がっているものの皆冒険者、命を懸けるぐらいの覚悟は持っているのだろう徐々に目つきが鋭くなっていく。
「なぁ、質問いいか?」
一人の冒険者が手を上げ先程話していたギルド員に話しかける。
他の冒険者たちは質問を聞こうと静かになる。
「はい、何でしょうか?」
「森から攻めてくる魔物って言うが主にどんな魔物なんだ?」
「えっと、それは…「私が話そう」…あ、オーリアさん」
ギルドの二階からオーリアさんが姿を現す。軽装のところどころには凹みや傷などができていた。魔物との戦闘でもあったのだろう。
「オーリアか…確か森へ調査に行ってたんだよな。…森で一体何を見たんだ?」
「…オーガがいた」
「オーガだと!?」
男の声が響き冒険者たちの驚く声が上がる。
オーガ。ギルドに階にある資料集の中にもあった魔物の名前だ。人間の様に二本足で立つ2m以上の筋骨隆々で赤い皮膚を持ち頭から左右1対の角を持つ、日本の絵本で『桃太郎』に出てくる鬼のようなものだ。ギルドの資料によればB-ランクのかなり強い魔物だ。私が倒したブラッディタイガーよりも各上の魔物だ。
ギルド内には喧騒にもにた声が上がる。
「すまない、静かにしてくれ!」
オーリアさんのよく通る声がギルド内に響く。オーリアさんの一喝で騒いでいた冒険者たちが黙る。
「オーガを少し観察してみたんだが、オーガ自体は森の奥から出てこようとしている節は無いんだ。しかし、オーガの出現によって森の魔物たちが森から出て逃げようとしている節がある。しかもその方向がどうやら西門から出た先の荒野みたいで進行ルート上にこの街がある」
「…だから、魔物の撃退または討伐ってわけか。しかし厄介だな。今はちょうど魔力だまりが出来易い時期だ…少々面倒なことになるぞこれは」
しばらく、オーリアさんの話を聞いて考えていた冒険者は再び口を開く。
「あんたの予想では何日後魔物が進行してくると思う?」
「早かったら今響子の時間にでも来るだろう」
「よっし、俺は参加しねぇといけねぇからパーティメンバーともども準備をしてくる」
男は周りの仲間らしき冒険者に声をかけると受付に行き腕輪らしきものを受け取るとギルドを出ていく。他の話を聞いていた冒険者たちも次々と腕輪を受け取りギルドを後にしていく。あの腕輪が先程緊急クエストの概要を説明しているときに出てきた魔導具たるものだろう。
「紫音、今回の緊急クエストどうしますか?私たちはGランクなので強制参加では無いようですが…」
「…咲楽なら森の中の魔物どうにかできそう?」
「ブラッディタイガーレベルでしたら何体来ても大丈夫ですが、それがどうかしましたか?」
「…うん、決めた。参加しよう」
「一度決めたことを曲げないことは知ってますから止めはしませんが、大丈夫ですか?危険ですよ?」
「大丈夫よ、過信しているわけじゃないけど今の私には魔法があるわ」
紫音は真っすぐに私を見つめてくる。
「この世界に来てから私は咲楽に支えられているだけじゃダメだと思ったの。私も咲楽の隣に立ってこの世界で生きていきたいと思ったのよ」
「紫音…」
「この緊急クエストが終わったらお願いがあるんだけど聞いてくれる?」
「私は紫音に従いますよ」
そう返した後少し悲しげに紫音が微笑んだような気がした。
「ありがと、咲楽」
少しの間お互いの間に沈黙が流れる。
「…さ、魔導具を受け取って私たちも準備しましょ」
「はい」
カウンターに行き緊急クエストに参加する旨を伝えると受付の人は多少驚きながらも魔導具を差し出した。
職員から簡単に魔導具の使い方を教わる。どうやら腕に付けておくと勝手に作動する仕組みらしい。少し突っ込んだことを尋ねてみると職員の人は軽くだが教えてくれた。詳しい原理は今の魔導学ではわかってないらしいが魔物の亡骸が黒い靄になるときに発生させる特殊な魔力を観測しているのだとか…。この魔導具はその昔リツ=タカナシという人物が作ったらしい。十中八九日本から来た人物が作ったのだろう。漢字に直すと小鳥遊律だろうか。昔にはどうやら日本人もこの世界に来ていたみたいだ。
魔導具の説明が終わると報奨金の話を聞かされた後、準備を終え次第北門に集まるように告げられた。
一通りの説明を受けた後はギルドから出る。準備と言っても特にすることはないので紫音と北門に向かうことにした。すでに幾人かの冒険者たちが集まっているのが見て取れた。
中にはオーリアさんと話していた男の姿があった。パーティメンバーと連携についての最終確認でも行っているのだろう。
「私たちは近づく魔物を相手にして、横にそれてる魔物は相手にしない方向性でいいですか?」
「そうね、無理して相手しても仕方ないからね」
「この前のウルフ戦の時と同様の作戦で行きましょう」
「わかったわ」
紫音との話を切り上げ森を見据える。
リズルの方からは続々と冒険者が集まってきている。オーリアさんの姿もその中にはあった。
いかがだったでしょうか?
誤字脱字報告よろしくお願いします。
さて、次回はついに魔物が襲来しますよっと…
次回の更新は4月22日ですよっと…




