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お嬢様とメイドの異世界探求譚  作者: 餡蜜
第一章:異世界転移編
11/20

第9話:クエストついでに魔法を試してみる

魔法について考察する回。

前々回の話からもう少し発展させていきます。

長くなりそうだったので少し分割しました。

総文字数は3万を超えました。

良いペースだなぁ。

 咲楽と紫音はとりあえず自分たちが倒れていた草原まで行くことにした。

 太陽は頂点よりやや傾いた位置にあり日が気持ちいい。

心地よいそよ風が吹く草原を歩く二人は先程の薬草の特徴と同じものを集めていった。

大体、十数本の薬草を採取したころには最初に目覚めた場所にたどり着いた。

最初に草を調べた時にここで薬草を見つけたからこの辺りにまだありそうだと踏んだからだ。


「確か、最初に薬草を見つけたのはこの辺りでしたね…」

「来てる途中にもいくらかあったけどこの辺りのほうが群生してるかな?」

「とりあえず、纏まった数集めることにしましょう」


 しばらくは薬草を採取することに集中した。

 1時間ぐらいすると32本の薬草を採取することができた。

 薬草をスカートの中から取り出した皮袋に仕舞う。


「さて、薬草採取のクエストはこのぐらいでいいかな…それじゃ、お楽しみの魔法を使ってみましょう!」


 紫音が弾むような声でそう宣言した。

 元々、ここに来る道中に二人で話し合ていたのだ。

 街中で魔法と魔術は試せないから草原についたら試してみようと…


「そうですね、まずは何からしますか?」

「まずはシリナさんが見せてくれた下級火属性のファイヤからやってみようかしら。咲楽、ギルドカード持っておいて」

「はい」


 ギルドカードを手渡され、魔力のところを見てみる。

 まだ、魔法を使っていないので220のままだ。

 魔法、魔術を使用するとそれに応じた魔力が消費されるらしいので確認しておこうということだ。

 実践の時魔力の消費量が把握できていなくて倒れたなんてことがあってからでは遅いからだ。

 紫音は、シリナさんがやったように右手を前に出し手のひらを空に向ける。

 紫音は目を瞑り、しばらく集中する。

 何度か深呼吸を繰り返したのちに目を開き言葉を紡ぐ。


「【ファイヤ】!」


 瞬間、シリナさんと同じように手のひらに炎が現れる。

 その炎はシリナさんの出したオレンジ色の炎ではなく青色の炎だった。


「わぁ!出せた!出せたよ、咲楽!!」

「おめでとうございます。紫音」


 賛辞を述べながらも心の中で少し考え事をする。


(シリナさんが出した炎はオレンジ色だったのに対して、紫音のは青色…炎は温度が高くなっていくと青色になる。青色の炎といえば酸素と可燃ガスのバランスの取れたガスバーナーの火とかがありますがあれはラジカルが放つ光であって温度が高いわけじゃない。青色の炎で温度が高いのはオリオン座のリゲルでしたか…確かあれは約11500K(ケルビン)温度に直すと11200℃ぐらいですね…ということは紫音の炎の温度はそれよりも低いにしてもそれに近い温度があるということでしょうか…なら、何故辺り一帯や私が無事なのか…疑問は尽きませんね)


 紫音の手のひらの上で燃えていた炎は数十秒で消えてしまった。

 効力が失う瞬間揺らめきながら虚空に消えていった。


「咲楽、ギルドカードどうなってる?」

「今確認します」


 紫音に声をかけられたので考えるのをやめてギルドカードを確認してみる。

 魔力の欄の数字が220から215に減っていた。

 つまり、先程の魔法【ファイヤ】は魔力を5使って発現させたというわけだ。


「魔力が220から215になっていました」

「ということは素のままのファイヤは消費魔力が5なのね…」

「ところで紫音、何か抜けていくような感覚はありましたか?」

「うーん、少し倦怠感(けんたいかん)があるような…?魔力を使ったのが少なすぎてはっきりしないわね…」

「そうですか…」

「他の下級属性も試して調べておいた方がよさそうね…」


 そういうと、また右手を前に突き出した姿勢になる。

 そこから下級水魔法【ウォータ】、下級風魔法【ウィンド】、下級土魔法【グランド】の三つを試した。

 どれも消費魔力は5だった。

 現在の残り魔力は200.


「まだまだいけるけど少し疲れがある感じかなぁ…」

「そうですか…今日はどうしますか?一旦街に帰りますか?」

「…もう少し続けましょう。せめて、四属性の派生のボール系だけは試しておきたいから…」


 前にギルドでシリナさんに教えてもらったことを思い出す。

 魔法には派生魔法というものがある。

 基本的な四属性の基礎【ファイヤ】【ウォータ】【ウィンド】【グランド】はそれぞれボール系、ウォール系、バースト系に派生させることができる。

 ボール系は前方に属性に応じた魔法を打ち出す派生系。

 ウォール系は前方に属性に応じた魔法の壁を作り出す派生系。

 バースト系は前方の近距離に属性に応じた魔法で範囲攻撃する派生系。

 これらは下級では数が3つだが中級、上級になるにつれて色々と派生するらしい。

 また、新たな派生系を自分で作り出すこともできるらしい。

 とりあえず、まとめてみるとこんな感じだった。

 そう思考していると紫音がボール系の派生魔法を使う準備をしていた。

 右手を前に突き出し手のひらを地平線に向けて構える。

 さっきまでの【ファイヤ】を放つ体勢とは少し違う。

 草原の中に突き立っている大き目な岩に狙いを決めているようだった。

 何をする気なのだろうと傍観していると紫音が目を見開き…


「【ファイヤボール】!!」


 直後、紫音の手のひらから直径10㎝ぐらいの火の玉が現れ地面と水平に飛んでいく。

 その火の玉は岩に直撃するとその一部を爆砕した。

 私はすぐに行動し、紫音の前で飛び散ってくる岩の破片を払い落す。

 なんとか破片はすべて払い落とすことができたがその威力に驚愕してしまった。

 紫音の手のひらに現れた直径10㎝ぐらいの火の玉が岩を砕いたのだ。

 見た感じ40㎝四方は吹き飛んでいる。

 後ろを見てみると紫音は呆然としている。

 無理もない、自分の手からそこらの銃よりも威力のあるモノが出たのだ。

 呆然としても仕方ないだろう。


「えっと…ファイヤボールがあの岩を砕いたの…?」

「そうですね」

「魔法の下級でこの威力…対人には使わない方がよさそうね」

「魔物には問題なさそうですが人相手には魔法は使わない方がいいでしょう。ほかの魔法も試してみないとわかりませんが火はやめた方がよさそうですね…」

「そうね…ところでギルドカードはどうなってる?」


 ギルドカードを見てみると魔力が190になっていた。

 基本は魔力を5使うのに対し派生させると10使うようだ。


「10減っていますね。派生させるとどうやら魔力の消費が大きくなるみたいですね」

「そう…ちょっと疲れてきた…」

「魔力を使うと疲労がたまるのですかね…」

「まだ使えないこともないけど気怠い感じがする」

「なるほど…どうしますか?」


 続けるかそれとも帰るかという意味でそう言葉を紡いだ。


「ボール系だけは確かめておかないと…」

「分かりました、少しでも無理だと思ったら止めますがよろしいでしょうか?」

「えぇ、お願い」


 先程【ファイヤボール】が抉った岩に向けて再び手をかざす。

 今度は急に岩が飛んできても大丈夫なように構えておく。


「【ウォータボール】!!」


 水でできた直径10㎝球が【ファイヤボール】の時と同様水平に飛んでいった。

 バシャ!という音とともに水球が当たった岩は半球状に削り取られていた。

 【ファイヤーボール】ほどの威力は無いように見えるが岩を削り取るほどの威力だ。。

 ギルドカードを見てみると魔力が180になっていた。

 間違いない、ボール系の派生魔法は魔力を10使うのだ。

 その旨を紫音に伝えた。


「ウォータボールはそこまで威力は無いのかな?」

「相性があるのかもしれません。例えば水は火に強くて火は風に強いなどのような…」

「その可能性はあるわね…試してみたいけど火をまとった魔物なんているのかしら?」

「世界は広いですからね、どこかには居るのかもしれません」


 そういった話をしていると近くの茂みからガサという音が聞こえた。

 私はすぐにスカートのボタンを外し中からナイフを取り出す。

 いつでも戦闘が行えるように油断なく紫音の前に構える。

 何が来てもいいように腰を落として警戒する。

 そこで、紫音から声をかけられた。


「ねぇ、咲楽。もし弱そうな魔物だったら魔法を試したいから私が戦ってもいい?」

「しかし…」


 そこまで言って考えを巡らせる。

 こんな世界なのだ。いつ紫音が自分と離れ離れになって戦ってもおかしくない。

 ならば、早いうちから実戦経験を積ませるのが得策ではないだろうか?

 幸いに近くには私がいるし、いざとなれば私が対処すればいい。


「…わかりました。ですが、危険と判断したらすぐに私が対処しますがよろしいでしょうか?」

「えぇ、わかったわ。もしもの時はよろしくね」

「分かりました」


 構えは解いたが警戒は怠らない。

 いつでも戦えるようにして、草むらから出てくるのを待った。


いかがだったでしょうか?

誤字脱字報告よろしくお願いします。

次回は戦闘を挟みます。

次回の更新は3月11日です。

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