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02:魔術師

「舞姫様が踊られるんですって!」

「まぁ、姫様が!それは行かなきゃ」

そんな会話をする婦人達が横を通り過ぎて行く。

こちらを見ることも無く、正面を向いて、通り過ぎる。

まるで自分など、眼中に無いかの様に。


「きゃっ、」

暫くの間、ただ何とも思わずその場に立って居ると、小さな悲鳴が聞こえた。

「………」

声の方を見てみれば、そこには黒いマントの少女がいた。

「いったぁ…ちょっと、何処みて…」

頭を擦り、尻餅をついている少女は、漆黒の瞳でこちらを見上げていた。

「…お前が勝手にぶつかったんだろう」

「なっ何よ、その口のきき方は!私を誰だと……あ!」

黒目の少女は、何かを見つけた様な顔をした後、舌打ちをする。

「やっば!見つかった」

慌ててフードを被り直した少女は、

「後で詫びて貰うからねっ!」

言い残して走り去って行った。


そして、後ろから息を切らしながら、何人かの兵士がこちらに向かって走ってくる。

「に、逃がした、か…ま、い、姫ぇ…」

途切れ途切れに言う兵士。

その舞姫というのは、もしや先の少女だろうか。

―何やら面倒事に巻き込まれそうだったので、その場を去ることにした。



「最後に、舞姫による祈りの舞を…」

いつもより騒がしい広場。

そこに引き寄せられる様に行く。

(…あれは)

騒ぎの中心の漆黒の瞳は、確かにあの時の少女だった。

「結局、捕まったのか」

暫くして舞が始まると、辺りは一瞬で静かになる。

(舞姫、か)

人々はその姿に見とれ、夢中になっていたが、しかし。



その舞姫は、心なんて無い、人形の様に踊っていた。



そしてそれに気付いたのは、心無き少年だけだった。





次回、踊り子に異変が起こる―…はず。

お楽しみに!


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