74話
ヘルの登場により天殺の騎士達は大きく動揺した。
「うんんん?これはヘル殿ではないですか。まさか天殺の騎士団に歯向かうつもりで?」
「つもりデスよ、あなた方はゲームの範疇から越えて迷惑デスから。」
「はて?我々はゲームを普通に楽しんでるだけですがね、変に疑われるのは不愉快ですね皆さんもそうでしょ?」
周りから横暴だ、詐欺師、引っ込めと罵声がヘルに浴びせられるが本人はクスリと笑い見渡す。
「そうデスか、なら手加減無用デスね。」
ヘルは倒れてる2人に大鎌を振るうと切り裂かれた筈の2人は驚きながらも立ち上がった。
「なっ警告がやんだ?」
「痺れもとれてる!って何だこのカウントは?!」
「ヘルのスキルですわ。2人とも気を引き締めて下さいね。」
2人にかけたスキル【デスカウント】は切りつけた相手を全快にして支援バフ盛りにするが4回クリティカルヒットを与えるとHPを全損させるスキル。
それを2人に使った事で状態異常が治ったのだ。感覚異常警告が止んだのは新たな刺激により感覚が正常と判定された偶然の出来事であったが。
天殺の騎士達は今度こそ総掛かりで剣をフレイヤ達に向け構える
とヘルはニンマリと笑ってユラリとを鎌を振り絞ると黒のエフェクトが吹き出した。
「っ?!伏せなさい!!」
「〖ネックリッパー〗」
「「「「「?!」」」」
アーツ〖ネックリッパー〗が発動し、首の位置に黒い斬激が半径20メートルに波紋状に広がり範囲の木々斬り倒し、反応が遅れた5人の天殺の騎士団がHP全損して倒れ付しライトエフェクトを撒き散らし消滅し防御が間に合った者も大ダメージを受けた。
「あら?運がないデスね2人に避けられたからLv2ダウンデス。」
「俺達も巻き添えかよ!」
「ギリライフ残ったヘルさんまじヤベー。」
「……やると思いましたわ全く。」
「うんんん、とんだ戦闘狂もいた者ですね。たった一人で10人をキルするとは死神スキルとはとんだバランスブレイカーだ。」
死神スキルはその凄まじい効果と威力だがデメリットも大きい上に習得条件が厳しすぎる言わば壊れスキルの一つだ。
そして死神スキルのアーツ〖ネックリッパー〗は先の説明通りの効果範囲とガードしなければHP全損する壊れた威力を出すが避けられると避けた人数分レベルがダウンするアーツでリキャストタイムは3分してからプレーヤーをキル出来るまで続く。
そしてツナとレタスはデスカウントのバフの一つガッツの効果でギリギリ運良く生き残ったがヘルの助けられたと思った後の行為に戦々恐々した。
だが本当に恐怖するのはそのあとだった。
「うんんん?!す、素晴らしくヤバイですね、総員退避!!」
「ヘルーー!!あなたなんて事してますの!!」
「「なんじゃありゃあ!?」」
「ふふふ、これにて今月の【死神クエスト】コンプリート、デス!」
薙ぎ倒された木々の向こ側に不気味な十字架に人の姿に戻ったセイが貼り付けにされその表情はひきつっていた。
それは無理もない事だろう十字架の後ろには地面から丁度、出終わった地獄の門から鎖が伸びてセイを雁字搦めにしている最中だったのだ。