70話
「はっ?!濃いキャラ過ぎて逃げるタイミングを逃しちまった。」
「どんだけ自分に酔ってるんだよ、てかセイが解放イベント受けてたのどうやって知ったんだよ?」
「無駄な話しはこれ乗り越えてからですわ、………変人の話し通りなら翼人族のクエストはセイ様ので五回目何がなんでも切り抜けなければ大変な事に成りますわ。」
「クゥ『息つく暇なしか、面倒な事になったな』」
種族解放イベントは四回まではクエスト失敗しても何処かでイベントがランダム発生するが五回目で失敗すると二度と同じ種族解放イベントは起きない。
そして五回目の失敗後に起きる【ワールドクラッシュ】イベントは一週間に及ぶ強制参加クエスト。
死亡ペナルティーが控えスキルのランダムロストと凄まじい内容だ。
以前ベータテスト最後に発生した時は凄絶な盛り上がりをみせた。だが一度経験したら二度とやりたくないと思うほどで、半ば伝説になりかけているかくらいのクエストであった。
ギィギァー!
ギキキキ!
ゴガァー!!
森の奥から聞こえてくるゴブリン達の雄叫びにセイを除く三人は顔を見合せて頷いた。
「子キツネの小さい姿のセイ様だけなら何とかゴブリンの脇を掠めて逃げきれるはずですわ。」
「なぁにゴブリンくらい蹴散らしてやるさ。」
「セイは落ち着いてコール出来るとこまで逃げてアーサー達に助けを呼んでくれ。」
「クゥゥ………『死ぬなよ………必ず助けを呼ぶからな。』」
「おお!無事終わったらみんなで飲もうや。」
「ふ、帰ったら俺あの娘に告白するんだ。」
「私貴方に伝えたい事がありますの……これが終わったら聞いてくれますか?」
「クククク、コォン!『ぷ、余裕だなそんじゃ行ってくる!』」
気分を和らげる為なのだろう三人の死亡フラグ宣言にセイは気分が楽になった。
セイがゴブリン達のいる方角に突っ込んでいくのを見た天殺の騎士団はざわついたが。
「うんんんん素晴らしい判断と、言いたいですが私が想定しないとでも?残念、こちらには〖軽業〗第二階位スキルレベル10持ちが5人いるのですよ。
うんんんん素晴らしい!!」
「行かせるかよ!」
「右に同じく〖ブラックカーテン〗!」
「お猿さんは落ちてなさいな〖ウィンドバレット〗!」
後ろから来るゴブリンを気にしながらもセイに向かわせない為に木々を飛び移り追おうとする騎士達に魔法やアーツを使い食い止めたのだが………。
「くくく、あの日の屈辱忘れないぜぇ、てめぇのせいでアカバンされたんだからな。」
セイを追いかける一人の女……ただ口調と動きが男性的なのだがアバターと性別判定は同一という不可思議な女性だった。