64話
次の日の夜ログインした先にはギルド【クロス】総出のお迎えがあった。
「あははぁ!良く来たねセイ君しばらくのギルド体験を楽しんでくれ。なに悪いようにはしないさ、俺は公私混同したりしないよ。た、例え可愛い、可愛い妹をかどわかそうとした男でもねぇえ!」
「意識のすれ違いってのは残酷だ……。」
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早朝
その日セイ朝早く起きて走っていた。
エアリアオンラインをやるようになってから、最近体力を落ちた事にタイムサービスの戦いで気付いた為だ。
汗をかきジョギングから帰るとニコニコ顔のさくらが 玄関で待っていた。
「珍しく早起きだなさくら、どこか出かけるのか?」
「もう、違うよ出掛けるのはお兄だよ。忘れたの?セイバーと会うんでしょ。」
何を言ってるんだこの妹はと眉間シワをよせたがそんなの関係ないとさくらは話しを続ける。
「待ち合わせの場所は近くの駅前だからね、まずは汗を流して来て。そのあとのコーディネートは私達に任せて!」
「私達?」
「はいは~い始めまして~、さくらの友達で美亜っていいま~す。宜しくね~お兄さん。」
美亜の登場に本気なのかと思うが、どうせ雑誌か何かの影響かと諦めて誰に被害があるわけもないと遊びに付き合う事した。
「コーディネートはいいけど服はどうするんだ?朝早くに開いてる店なんてないぞ、有り合わせでするのか?」
「大丈夫~もう用意してあるよ~。」
「ええぇ?!!」
居間には驚く事にすでに何箱かの衣装ケースが運び込まれていた。
「いつのまに……?あれ、美亜さんどこかであった事あるか?」
「お兄さんもしかして~口説いてます~?駄目ですよ~。これっコホン、さくらの居ないところならいいですけどね~。」
さくらはナイスそらしと親指をたてたがセイがこっちを見るとすぐ手っを引っ込め不自然にぐっと両手を組んで背伸びをした。
「ほらほら~お兄さん、美空先輩は女性なんですよ~?汗臭いままわダメですよ~。」
「んー、しゃくぜんとしないけどまっいっか。」
セイはさくらをジトメで見た後お風呂に入りにいった。
「美亜ちゃんありがとう!ナイスそらし!!」
「ふふ~、これもお楽しみ~イベンの為だものね~。」
ぽんぽんとカバンを叩き中身をさくらに見せると二人して首肯きあった。
カバンの中身は一言で言えばスパイ道具一式だった。
「はぁ、片付けてから行け………?おかしいなぁ何で直接会う事になった?」
待ち合わせ場所である駅前でセイはげんなりしていた。
さくらと美亜に着せ替え人形にされた後二人は用事あると服を散らかしたままに行ってしまった為、結局聞けずじまい服を片付けていると待ち合わせの時間に近づいたので慌てて出かけていた。
「えぇと……違ったらすまない、君がセイ君かな?」