60話
『いいか、シェパド家の女性は代々羊を思い起こす髪飾りを着けいる。初めて見た奴らが笑ったりすると怒ったオオカミが地の果てまで追いかける。気を付けろよ!』
衛兵の言葉を思い出して目前の威嚇するオオカミに視線を向ける。
「グルルメー!」
鳴き声は可笑しいが。
「どうするかな、これ……。」
セイが現在いるのは貴族の屋敷の広い裏庭、そこには何頭かの本物の羊がいる。そして羊に似たオオカミはセイから羊たちを守るようなたち位置にいる。
『セイ様ではさっそくお願いいたします。エリザベスちゃんは満足すると純白の羊毛を落とされます。ですが怒らすと…。』
「血のような赤黒い羊毛になる訳かこのラム犬は。」
羊を守る姿に正に牧羊犬だなと現実逃避気味に考えたあと、近づけば今にも飛びかからん限りに姿勢を低くする為セイはあとずさり、目線を合わせればと屈む動作をすると目がギラリと光、『隙あり!』と突っ込んで来そうになる。
「なあ、お前は何でそんなに警戒してんだ?言葉は理解してるよな?俺は別に何も悪い事しないぞ。」
「メ、メー!グルルメー!」
エリザベスは主であるメディーが語りかけた時のやり取りで、言葉は解るだけの知性はあると分かったが。
エリザベスはメディーの姿が見えなくなったとたんに羊毛?を赤黒く変えて今にいたる。
「衛兵の話しから、飼い主を侮る奴らに怒るだけと思ったんだけどな。
この感じだと何か切っ掛けでもあったと言う事か。」
セイの言葉を聞きエリザベスがピクッと僅かに反応してみせた事でやっぱりかと額に手をやる。
(普通なら此処で反応を見た質問をする所だけど………今まで依頼受けた奴らがしてなかったなんて事ないだろうから。)
セイはメニュー画面からスキル構成を変更させると光に包まれてフェアリーフォックスにと変化する。
「クー。『これで言葉が解ればいいんだけど。』」
セイは変身して改めてエリザベスに近づくと今度は混乱しているのか攻撃される事はなかった。
「メー?!『人が変身しただと?オメーさんさてはモンスターか?!』。」
「クー?コン。『いや、ただのスキルで姿を変えた人だよ。それより何故そんなに人の姿の俺を警戒したんだ?教えてくれ。』」
セイが人だと答えた瞬間に混乱していたのが嘘のように警戒心をむき出しの姿に戻っていた。
「グルルメー!『クソ、騙したな!オメーさんらのこんたんなんざ、このエリザベスちゃんはお見通しよ!。
姉さんと俺達の肉が目当てなんだろうがそうは問屋が卸さねーぜ!』」
「クー?!『は?!ちょとまて何の話し……。」
「グルル!メー!!『オメーさんの魂とらせてもらおやすぜ!お頭の命令死んでも貫き通すが女だぜ!覚悟せいやクソ冒険者野郎!』」
「クー!!『話しをちゃんと聞けヤクザ被れ!!』。」
エリザベスは言い終わるやセイにキバを剥き出しにし襲いかかって来た為セイは戦って無力化させる事にした。