第4話
――〈雷の雨〉
――〈氷の隕石〉
――〈炎の海〉
「ギルマスー、そろそろMP切れそう。」
「おお、もうか。」
「あたりまえでしょ?広範囲の魔法掛けまくってたんだから。」
「おかげで楽だわ。」
魔法使いはLvを上げると広範囲に魔法攻撃ができる。聖騎士や盗賊は単体攻撃、今いるメンバーもみんなは単体攻撃の職業。いや、確かに効率を考えたらこれが一番効率のいいやり方だと思うけどさ・・・。
「〈しぐさ〉で踊ったり、鬼ごっこしたりするくらいなら戦え!特にたけのこ!」
「兄です。」
「兄、せめて装備位してよ。」
「だって鬼見分けるなら服ない方が分かりやすいじゃん。」
いや、今狩りに来ているんだよ?なんで白の半そでと短パンで裸足なのさ・・・
「まあまあ・・・あおばお疲れ、座ってMP回復してな。後はやるから。」
「ありがとーパパ。」
「・・・」
「あ、間違えた。ギルマス」
「前からちょくちょく出してくるよな、パパってやつ。」
ははは、気のせいだと思うよ。
でも、ギルマスは本当にお父さんみたいだ。私のお父さんではなくて、私の理想のお父さん像にギルマスは近い。ギルマスは面倒見が良い。ぶっきらぼうだけど機嫌が良い時はすごく優しい。前に進化素材分けてくれたこともある。
――〈隼斬〉
――〈剛斬〉
――〈隼斬〉
――〈盗み〉
――〈盗み〉
――〈盗み〉
スキルは次の発動までに少しだけ時間制限が出来る。時間制限は使ったスキルをもう一度使うまでの制限時間で、高位のスキルだとその時間が長くなる。逆に低位のスキルだと時間が短い。私の広範囲の魔法だと13秒、たけのこ兄の〈盗み〉は2秒。なんともうらやましいスキルだと思う。〈盗み〉はアイテムを1/3の確立で盗め、すこしだけダメージが与えられる。
「お、チョコケーキ〈本命〉ドロップ!」
「え、わたしも参戦する。」
――〈氷〉
――〈雷〉
結局、私がチョコケーキ〈本命〉をドロップすることは無かった。
「あいつ、まだ落ち込んでんのか?」
「みたい。」
「?あいつイベントアイテム、もうゲットしたはずだろ?」
そう、わたしはすでにイベントクリアしている。では何故私はチョコケーキが欲しかったのか・・・それは
〈Masato〉がログインしました
「よう、おつかれ。」
「まさと、おつかれ。」
〈Masato〉とは種族設定が獣人キャラの狼だ。獣人はLv100以上になると設定が出来る。まさとはお兄ちゃんみたいな人で私の“初めての友達”だ。高校生だそうだけど私よりも年上のような包容力でいつも私の相談に乗ってくれた大切な人だ。私は彼にチョコをプレゼントしたいのだ。