歯車
ああ。神様。
とある国で幼くして戦争で散っていく命
事件に巻き込まれて苦しく死んでいく命
難病にかかり自由も知らぬまま途絶える命
許されない罪を犯し償いの名のもとに消える命
どれもかけがえのない命。誰にでも等しく与えられる尊い命。
けれどその中でどの命の重さが一番重いのか。
教えてください。神様。
平等に等しくとはなんですか?
あれから双子はともに同じ家に帰り同じベッドで朝を迎えた。
「おはよう」
握りっぱなしで寝ていた手を揺する。
すると香奈美は薄く目を開け自身の半身の存在を確かめ微笑む。
「おはよう。少し寝すぎたかな?今何時?」
「13時、もうお昼だよ。香奈美は相変わらず寝坊助」
「落ち着くんだもの、千奈美の隣」
「あたしもよ。かわいい私の妹。」
しばらく叶うことのなかったあるべきお互いの姿。
2人がしばらく会えなかったのには理由があった
母の死の原因になった憎い母の恋人。
通夜の際憎しみのあまり切りつけた香奈美に叔母たちが千奈美に悪影響だと2人を引き離していたのである。
「おばさんたら
はやとちりよね。あんな男生きてる資格なんてないに等しいのに」
「ええ。まったくだわ。私たちを引き離すなんて。」
私たちは離れてはいけないのに
けして離れてはいけない。
2人でやっと一人なんだもの
じゃないとまた・・・・
意味ありげな香奈美の声は小さく千奈美には聞こえなかった。
その日から千奈美は学校に行かなくなった。
とあるアニメから引用すれば
何かを得るためには同等の何かを
支払わなければならない。それがこの世界の理である。