第ニ話 駅ホームにいる宝石
「……居る…。」
学校に向かう駅でまた花宮と出会った。
昨日とは違って、なぜか明るそうな顔をしていて少しホッとした。
(ここは話しかけなくていいか。)
相手が気づいてないならこちらから話しかける理由はない。
そんなことを思い静かに気配を殺していると花宮がこっちを凝視していることがわかる。
こっちを見ているのは確かなのに、一向に話しかけてこない。後ろに誰かいるのかと思い、振り返るが誰もいない。
(え?なんでなんも言わないの?)
昨日もう関わりません宣言みたいなのをしてしまったからか?流石にこの状況が苦しくなってきた俺は自分から話しかけた。
「…花宮おはよう。ちゃんと学校きたんだな。」
「城野さんおはようございます。今日はいい天気ですね。」
昨日とは違い、爽やかな笑顔を見せる彼女に少しホッとする。何故あんなことになったかはまだわからないが、言及は野暮だろう。
「花宮って学校と少し違うよな。なんかお嬢様じゃないっていうか、なんというか。」
話してからまだ二日目だが、雰囲気が確実に違うことがわかる。学校での花宮は本当に高嶺の花。ただ、今は普通の友達みたいな気分になる。
「そんなことありませんよ…。でも、少しだけ打ち解けた気がします。」
「この二日でか?」
「あなたには救ってもらいましたから。」
不意に見せた笑顔に狼狽えてしまうが、すぐに自分を取り戻し、口を開く。
「、…そっか…。それは良かったよ。」
その時花宮は少し顔を赤くしていたが、この時の俺は気づいていなかった。
「今日は理科の小テストですね。」
「あっ、忘れてた。やべー、勉強してねぇわ。」
「城野さんもいつも成績上位にいますよね。」
「…上位って、30位ギリギリのところだがな。毎回」
あれ?俺今普通に花宮と話してる。
「城野さんも学校の印象とずいぶんと違いますね。」
「え?俺の印象?」
「はい。学校ではずっと1人で…あっ、1人話している人はいますけど。」
「あぁ、進藤な。」
「はい。普段の城野さんはその方以外とは話さないぞ!っていう圧というがあると言うか。」
そんな感じで思われてたのか。なんか学校での俺感じ悪いな。
「そんなつもりは無かったのだが…すまんな。」
「いえ、謝罪を乞うつもりはないんですが。私も今の方が接しやすいです。」
また見せた笑顔は昨日の姿とは思えないほどであった。
「電車来たから先乗りな。」
「え?同じ電車ですよね?」
「いやいや、みんなのアイドル花宮様と一緒に登校してきたら俺が嫉妬の対象になる。」
俺は手をフリフリしながら花宮に告げると花宮は少し悲しそうな顔をしてから。
「……………。」
「?どうした?」
「いぇ、では先行きますね。」
「あぁ、またな。」
俺は手を振りながら自然と「また」と口にしていたのを恥じる。
「……城野泉……くん……。」
電車の中でそう呟き赤くなった頬をおさえていた花宮のことを俺は知る由もなかった。




