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第一話 君は高嶺の花宮さん

「おいちょっと待て!!!」


駅のホームから落ちそうになる彼女の腕を掴み、引っ張って肩を持つ。


あの日、城野泉(しろのいずみ)が学園の高嶺の花宮さん

こと花宮玲奈と初めて話した。

その日から俺の人生は変わっていった。




高校一年生の俺 城野泉のクラスには高嶺の花宮さんと呼ばれる同級生がいる。

高嶺の花宮さんと言われて差し支えのない容姿・態度・人柄。それは全ての人に勝っており、俺以外の男子は無論。女子までもが彼女の虜となるほどの人物であった。


黒くサラサラの長い髪。あまりにも優美な姿。気はないが可愛いと言わなければ嘘になるだろう。


同じ学校であり、同じクラスである以上、彼女の日頃の立ち振る舞いがどれだけかは見ている。

文武両道であり、美少女の花宮は無論モテている。


噂ではクレアパトラの生まれ変わり。美しさの化身。神が授けた天使の子など、言いたい放題である。


超完璧な花宮玲奈であるが、俺はそこまで魅力を感じてはいない。いや、感じていないと言えば嘘になるが、もともと人と関わることが極端に少なく、クラスでもほぼ1人の俺が花宮さんとなどと関わるのはないと思っている。

まさに高嶺の花だ。


そんな彼女が今、確実に自ら特急電車へ飛び込もうとした。

スピードの落とさない電車に全てを捨てたような目で。哀しみの目で。



「なんで!あんなことしたんだよ!!!」

咄嗟に掴んだ彼女の手を離し、ただ肩を掴んだ状態で話しかける。

「……城野さんには関係ないです。」

俺の名前覚えてくれてたんだ。いや、そこじゃないだろ。

「関係あるし、気になるだろ。急にフラフラ飛び出して!」

「関係ないです!」

「関係ある!てか、目の前で死のうとするな!いや、目の前じゃなきゃいいってわけでもないが。」

学校の姿とは思えないほどの大きな声で訴えてくる花宮に一瞬うろたえる。彼女の目から涙が溢れる。

「……肩。離してください。」

花宮が呟くような声でいう。俺は肩から手を離し、花宮の目を見つめる。


「なんであんなことしたんだ。」

「なんで止めたんですか。」

「いや、なんでって人が死のうとしてて止めない奴がどこにいるんだよ。」

花宮は俯き、また喋り出す。

「止めないで欲しかった。」

「……ハァ…あんたも色々抱えていることはわかった。ただ死ぬな。少なくとも俺の前ではな。」

いつまでも泣き続ける彼女を放っておくのもアレだが、このまま着いていく流れでもない。

「今日はちゃんと家へ帰れ。そして、ちゃんと明日学校にこい。わかったな?」

「…………」

何も言わない彼女に「無言は肯定。だな」といってカバンを持たせた。

「人はいない。騒ぎにもなってない。俺は今日限りで関わるつもりはないから。じゃ」

俺がそう言って立ち去ろうとすると彼女が手を掴む。


「…あっ、すみません。」

彼女は少しだけ落ち着きを取り戻していたが、まだ動揺している様子だった。

「……関わらなくていいんですか?」

「…?なんだ、花宮は関わりたいのか?俺と」

「…!ふざけないでください!」

まぁ、彼女の言いたいことはわかる。状況がどうであれ、一度彼女と喋れたなら花宮にアタックする人は100人中100人だろう。

「ハァ…俺をクラスの男子と同じにしないでくれ。いくら高嶺の花宮さんとはいえ、用もなく関わるつもりはない。」

出会いも最悪だしな。

「…そ、そうですか。」

そう言うとまた下を見て泣き出してしまう。


(……仕方がないよな。。)

無言の花宮を見て、俺は自動販売機でカフェラテを買う。


「ホラ、これやる。だからもう泣かないでくれ。」

カフェラテを受け取った花宮の横に座り、俺は口を開く。

「俺は、花宮のこといいやつだと思ってる。全然関わったことないが、関わったことないなりに。」

しっかりと目を見ながら、花宮を考えながら言う。

「俺は”高嶺の花宮さん”ではなく、花宮玲奈としてお前を見てた。…知らないなりに。」

俺がそう言い切ると花宮はまた泣きながら笑い出した。

「…フフッ、ありがとうございます。初めて、私自身を見られた気がします。」

綺麗な花のような笑顔に見惚れてしまい、すぐに俺は立ち上がる。

「ンンッ!じゃ、俺は立ち去るとしよう。あ、明日もちゃんと絶対学校こいよ、約束だぞ?」

俺がそう言い残すと花宮は笑って「はい。約束です。」とだけ言い残して、彼女は手を振りながら電車に乗った。


この出会いが、俺の人生を大きく変えていった。花宮色に。









2シリーズ目です!並行して頑張っていきます!

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