ねえ知ってる?私の強みはマイペース
皆さま、お久しぶりです!
9月は頑張りたかったのですが、思ったよりも忙しかったです…………
10月は時間がありそうなので今日から毎日更新頑張ります!!
「ダンジョンの中って、思っていたよりも明るいんですね!」
「あくあちゃんってもしかしてダンジョンは完全に初めて?」
「はい!なので凄く楽しみです」
「でも油断しないでね?」
「任せてくださいフィーナ様!私、こう見えても強いみたいですから!」
「そう?じゃあ、期待しようかな」
フィーナは期待すると言っているが、その期待は半分程度だろう。
ダンジョン探索に推薦され、貴重な神聖魔法を使える。それだけでも戦力として十分だが、如何せんあくあは若すぎた。齢14歳程度の少女を全然に立たせて安心する人は少ないだろう。実際、フィーナとルチアはあくあの事を気遣ってくれている。
一番先頭で階段を降りているミクロは興味無さそうに歩いており、ユリウスはまだ不満があるのか中衛の位置で歩きながら不満そうな顔をしている。パーティの士気が下がるので辞めて欲しい。
「………ジャック」
「あ、帰ってきたかい?アル」
暫く階段を降りると、音もなくアルが帰ってきた。
音も無く帰ってきたことにルチアとフィーナは驚いており、ユリウスとジャックは慣れた様子で対応している。ちなみに優斗も気が付かなかった。
「へぇ………」
その中でもミクロは気付いた様子で、アルの技術に関心している様子だったので気が付いていたのだろう。
「ユウト様ユウト様」
「どうしたあくあ」
「あのお方、足音も殆どしなかったですし隠れるのが上手ですね!」
確かに、〈潜伏〉のスキルを習得したての優斗ではその練度では歯がたたないだろう。
「って言うか、口振りからしてあくあは気付いていたのか?」
「はい。ですが、〈魔力感知〉があったからこそですし、もう少し暗ければ難しかったかもしれませんが………」
熟練の〈潜伏〉の使い手は〈魔力感知〉は容易に欺けると聞いたことがあったが、あくあには関係ないらしい。
(というか、難しいってことは無理とは思わなかったってことだな………)
それはつまりやろうと思えば出来たということ。
(やっぱりあくあは化け物だな………)
ステータスから見てもそうだが、やはりあくあは強いのだろう。
「成程。了解。じゃあアルは暫くは中衛で潜伏してて」
「………」
そのままアルはジャックの言葉に従って〈潜伏〉を発動させる。
「気配を消すのが上手なんだな」
ミクロが感心しながら呟く。
アルは答えなかったが、ミクロは満足したのか、それとも対抗意識か。どちらにせよ闘志を燃やしている。
「まあ、使えない雑魚ばかりじゃないって事がわかっただけ上出来だァ!」
次にあくあを横目で見ながらそう言う。雑魚という言葉にフィーナとルチアはムッとするものの、それはこのダンジョン探索の結果で見返そうと奮起する。
だが、ミクロが雑魚と言った対象はあくあ1人であり、そのあくあの実力を認めたと理解したのも優斗1人である。
(確かに、あくあは客観的に見ると強そうには見えないしな………)
寧ろ、弱く見えても仕方が無いと言えるだろう。
人は見た目じゃない。そう言っても、やはり第一印象は見た目であり、それを覆すのが会話であり、実践なのだろう。
少なくとも、隠れるのが上手なアルの動きを捉えたミクロと同等かそれ以上の制度でその動きを捉えたあくあの事を実力者だとミクロは認めたのだ。
「それにしても、このダンジョン一帯から魔力を感じますね」
あくあは壁に触れながら小さく呟く。
「あくあちゃんは〈魔力感知〉持ち?じゃあ常時発動はしんどいと思うよ?」
「フィーナさん………それは、一帯から感じる魔力が関係しているのですか?」
「そう。ダンジョンは大なり小なり魔力を発しているからね。罠がある時はより強く魔力を感じるって聞いたことがあるから〈罠感知〉スキル持ちがいない時以外は重宝するんだけど………それでも感じ続けるのはしんどいから程々にね?」
フィーナの設定を興味深そうに聞くと、あくあは優斗に向かって視線を向けてくる。〈魔力感知〉を切っても大丈夫なのかという確認だろう。優斗も確認も含めて後ろにいるジャックに視線を向けると、ジャックはその視線に気が付き、頷いた。
「問題ないよ。僕は〈罠感知〉のスキルを持っていなけど、アルは〈罠感知〉も〈罠解除〉のスキルも持ってる。罠に怯える心配は殆どないよ」
それならば安心だろう。あくあもそれを聞いて、安心して〈魔力感知〉を解除した。まあ、あくあには〈未来感知〉もあるので超弩級の危険事態には即座に対応出来るだろう。
「っと、お喋りはそこまでだぜぇっ」
ミクロはそう言うと、背中の大剣を取り出した。
前方には階段の終わりが見え、その先にはうっすらとモンスターがいるのが見える。
「明かりは?」
「数秒だけ」
「了解。〈フラッシュライト〉」
優斗は指揮役のジャックに確認を取ると、初級の光魔法を放つ。
少し奥で光を放つように撃ったお陰で影で数が確認できた。
「ミクロくん!あくあさん!フィーナさん!数は5!迎撃を!」
ジャックの言葉と共にミクロとあくあは飛び出し、一瞬遅れてフィーナも走り出す。
「ユリウスは援護を!優斗くんは適時回復をお願い!アルは警戒態勢を整えて、ルチアさんはいつでも魔法を撃てるように準備を!」
ジャックは一通り指示を出し終えると、自分も弓を構えて撃てる準備をする。
「〈縮地〉!」
フィーナは出遅れた分をスキルを使って縮めようと考えるが
「〈豪力〉!」
「〈神速〉」
ミクロは力を増強させるスキルを使い、圧倒的な力を使ってモンスターとの距離を縮めて一度に3体倒し、あくあもフィーナ以上の速度でモンスターと接近し、一瞬で2体の首をはねとばした。
「嘘………フィーナが、速さで負けた………?」
姉妹のルチアとしては以外だっただろう。
事実、〈縮地〉というスキルは離された距離を一瞬で縮めるのにはうってつけのスキルだ。だが、〈縮地〉は距離を縮めるスキルであって、加速するスキルではない。だからこそあくあは勿論。ミクロにも追いつけなかったのだ。しかし、
「ミクロくん。移動のたびに床を壊されると崩壊の恐れがあるので移動に〈豪力〉を使うのは控えてください!」
そう。ミクロはあくあが何かすると直感し、圧倒的な力で強引に加速したのでその影響で床が少し壊れてしまったのだ。
「止めろとは言わねえんだな」
「当たり前です。それで止まるとも思っていませんし、危機的状況が起こらないとも限らないので無闇矢鱈と制限をさせる気は無いのでね」
「ハッ!わかってんじゃねぇか!」
ミクロはジャックの解答を聞くと満足したのか大剣を背に担ぎ直して前に向かって歩き始める。
「私、速さが自慢なのに置いていかれた………」
「だ、大丈夫だよフィーナ!2人は強力なスキルを使ったから速かっただけだし、素だとフィーナの方が速いよ!」
〈縮地〉はあくまでも射程距離を縮めるスキルであり、速度上昇のスキルではない。それを言えば〈豪力〉も〈神速〉も根本的には速度上昇のスキルでは無いが、使い方によってそこをカバーしている。だから、素だとフィーナの方が速いとルチアは慰めながら階段を降りきった。
「あの、ユウト様」
「どうしたあくあ?」
そんな2人を見ていると、あくあが軽く疑問符を浮かべながら優斗に近付いてきた。
「私、なにかフィーナ様の邪魔をしてしまったのでしょうか?」
「………一先ず、あくあはフィーナの前では全速力で走らない方がいいな」




