最近頭の中ごちゃごちゃだよ
昔の友達がパニック障害になったことを知ってえ?ってなった
エゴかもしれないし、余計なおせっかいかもしれないけど力になりたいと思う今日この頃
正直に言うと、優斗は完全な日本刀が出来るとは全く思っていなかった。
今回はあくまでも試作。形が出来れば良いと思っていたのだ。
刀を作るのに必要な素材である『玉鋼』。その玉鋼を厳選するために必要な『水減し』や『小割り』。そして厳選した玉鋼を精錬するための『折り返し鍛錬』と、形を作るための『素延べ』や『火造り』。日本刀のポイントである刃文と反りを決定づける『焼き入れ』に、最後に形を整える『鍛冶押』といった工程だ。
これらの工程は優斗が昔興味本位で調べた知識であり、それを使えるだけの技術も設備も無かった為、記憶の押し入れに入れていた存在だ。だが、今回これを使える機会があった。
そもそも、異世界ファンタジーは浪漫を追求する世界だとも思っている。そして、刀は日本人にとってもある種の夢でもある。
西洋の剣は本来『斬る』というよりも、『叩く』『殴る』といった方面が強く、鈍器としての運用が多かったらしい。ここは異世界なので、地球とは違って『斬る』方面にもある程度力は入れているが、やはり刃を鋭くしすぎると耐久が落ちる為、『叩き斬る』という方面に進化していた。
それに対して、刀は完全に『斬る』に特化した武器であり、強度もお墨付きである。
『斬る』に特化させる為に薄く。それなのに硬い。刀とはそんな武器だ。
普段造っている武器とは製造過程も違い、性質も違う。故にファンタジー世界の住民では作成は難しいと優斗は考えていた。
「ほれ、これが試作品一号だ」
作り方を教えた次の日、鍛冶師のおっちゃんは優斗にそう言って試作品を手渡した。
「これが、刀ですか。綺麗ですね」
試作品の刀を見てあくあも少し見蕩れている。
「刀は芸術品としての価値も高いからな。それにしても、よく一日で形に出来ましたね」
「元々国宝の中に刀が存在するからな」
優斗の疑問点におっちゃんはそう答えたが、今度はその点について優斗は驚愕した。
「国宝に、刀が?」
「ああ。製造方法が失われた古代の魔導具だの言われているが、列記とした武器の形として残っている。見た目はそっくりに出来たが、その魔導具は雷を放出できたそうだ」
雷の放出。それが、おそらく魔導具としての機能の部分だろう。
(それにしても、古代の人が刀を?)
そこに優斗は疑問を持つ。刀は確かに日本でも古い武器の一つだが、古代の石槍等の製造方法が後の時代にも残っており、それが改良されて槍が出来ている。
銃火器も同様に、火縄銃から進化して後の時代に続いている。
ならば、斬れ味という点では他の追随を許さない刀が後の時代まで残っていない道理はない。
(ってことは、転生特典か?)
ただ雷を放つだけの転生特典の武器。本人が剣道を嗜んでいて、ある程度技術と身体能力があれば刀を転生特典に選んでも問題は無かったのだろう。
(そう考えると、俺の転生特典よりも正解を選んでるかもな)
少し自虐を入れながらそう結論づける。
「本来の刀は雷を放たない。おっちゃんが作ったのは列記とした刀だよ」
「だが、儂は満足いかん」
「この武器が、ですか?」
あくあの言葉におっちゃんは頷くが、優斗も薄々わかっていた。
まだまだ荒削りな部分が多いこの刀。確かに西洋剣よりも斬れ味が高いだろう。だが、優斗とおっちゃんが想像する刀と比べると、まだまだ弱いと言える。
「作り方もわかった。この鋼じゃ駄目じゃということも理解した。ならば、より強力な素材を使って精錬するだけじゃ!」
おっちゃんは自信満々にそう言うと、一つの素材を取り出した。
「それは、なんでしょうか?」
「〈ミスリルインゴッド〉じゃ」
ミスリル。それはファンタジー世界では定番の鉱石と言えるだろう。
魔法との親和性が高く、達人が使えば魔法を上手く受け流すのは勿論。魔法を斬り裂く事も可能だと言われている。
「そんな貴重な鉱石を!?」
「それが必要じゃと、儂は判断した」
おっちゃんはインゴッドを見つめながら言う。それが要るのだと。
「確かに、鉄では足りなかった。玉鋼となるための精錬が足らなかったからか?」
「じゃが、〈鍛冶〉のスキルがあればある程度の素材を融通は効く。儂の練度不足もあるが、ミスリルであれば成功率は格段に上がるじゃろうな」
やはり異世界。本来の日本刀の製作では素材を変えるだなんてことは許されなかったが、〈鍛冶〉スキルの効果も合わさり、ある程度は許されるのだろうか。
「刀を作るための素材はある。炉もある。じゃが、足りんものがある」
だからと、おっちゃんは優斗を見て言った。
「頼む!刀を作るために必要なものをお前さんに持ってきて欲しい!無論、タダでとは言わん!」
「足りないものって、なんでしょうか?ミスリルがあるのであれば作れるのでは?」
「武器という物はそう簡単なものじゃない。特に、刀ともなれば炉の火力も、それに使う木炭も普段の武器以上に必要になってくる」
「要は、試作品を作る段階で想像以上に消耗品を使ったから足りなくなったってことですか?」
「情けない話じゃが、そうじゃ。儂は刀というものを舐めていたのかもしれん。作り方を断片的にでもしれた。それが嘘か誠かは置いといて、今までわからなかった作り方を断片的にでも理解できたという高揚感に勝てんかった!鉄で作るのであれば今の状態でも作ることは可能じゃ。しかし、ミスリルを使うのであれば炉のコンディションも、炭の残量も足りんのじゃ!」
そういうことなら優斗としては断る理由は無い。
「じゃあ、おっちゃんは炉の準備を頼む。その間に俺たちは」
「木炭の確保、ですね!後は鍔用の鉄でしょうか?」
「いいや、木炭だけで構わん。市場に売っている木炭でも良いが、出来れば最適な木炭が欲しい」
「刀はそこら辺繊細ですからね。じゃあ、木を伐採してくればいいですか?」
「それで良い。木炭を作るのも儂がやる」
おっちゃんのその言葉を聞くと、優斗とあくあは一緒に森へと向かった。
「木炭って、簡単に作れるのですか?」
「手間はかかるけど、作るの自体は難しくない。それに、刀作成の為の木炭だからな。木の中の水分量も大事になってるから、手頃な木を幾つか持って帰るか」
「適当に木を斬って持って帰ればいいのでしょうか?」
「それじゃ駄目だと思う。刀を作る時の木炭は均等な大きさに切り分け無いと駄目だって聞いたことがある。だから、小さくするんじゃなくて、ある程度の大きさの木を持っていかないと駄目だ」
だから二人で手に持って移動できる程度の大きさが求められる。
と言っても、木を斬るのはあくあだ。優斗の剣は壊れてるし、一応おっちゃんから貸し出し用の斧は借りてるが、これでは〈片手剣〉の補助は受けられないので主に木を斬るのはあくあになる。
「では、パパッと斬ってしまいますね」
あくあもそれを理解しているのか、剣を取り出すと、木を斬る。
ちなみに今更だが、今回木を斬っているのは森の手前の方ではあるが、ギルドにて伐採許可の降りている場所だ。
さすがに許可の降りていない場所を斬るつもりは無い。
「ユウト様の武器、無事に出来るといいですね!」
「ミスリル製だしな。期待して待つか」
正直刀の下りは今後の為には必要だけど要点纏めれば読み飛ばしてもいいレベル…………?




