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仲間が寝静まってるときにコッソリ強敵倒しに行くの、美談にされてる感じあるよね?

「すぅ………すぅ………すぅ………」


 夜。あくあは疲れていたのか直ぐに眠ってしまった。優斗はそれを確認すると、静かにベッドから降りると部屋を出ていく。


 目的は一つ。墓地でゾンビを目覚めさせている元凶を倒すことだ。


「色々と疑問点はあるが、先ずは正体を探るところからだ」


 疑問点。そう、疑問点だ。今回のアンデッド発生には優斗の中に幾つかの疑問点がある。


 一つ目に、なぜアンデッドが大量発生しているのか、だ。これはあくあと考察した通り。強力なアンデッドの魔力に当てられたから。それで説明がつく。

 だが、ここで二つ目の疑問点が出る。それは、なぜ強力なアンデッドが街の墓地に出てきたのか、だ。

 そもそも、死体に魔力を当てただけで呼び起こすなんて芸当、それこそリッチーや死神クラスのアンデッドでなければ不可能だ。それもリッチーや死神はアンデッドの中でも魔法に秀でたアンデッドであり、魔力コントロールはほぼ完璧だと言える。この二種のアンデッドが強力な魔法を使い、その魔力の余波に当てられて目覚めた。ならば、その魔法はどうしたのか。なぜ誰も気が付かないのか。つまり、そもそもそんな強力な魔法は使っていない。


 そうなると、一つ目の疑問も根本からひっくり返る。そんな魔力を発生させるアンデッドがいないのだから、魔力に当てられて目覚めた説も薄くなってくる。

 そして三つ目の疑問点として、なぜあの場所にハイ・レイスがいたのか。それもおかしい。そもそもただのレイスが地縛霊の如く出現したのならわかるが、その上位種のハイ・レイスが墓地の真ん中で佇んでいたのはどう考えてもおかしいのだ。


 この一件は、今のところおかしな点しか無い。だから優斗は考え続けていた。敢えてあくあに話さず、自分の脳内だけで考え続けた。


 不自然な点が多いが、一つだけ可能性を感じている手段がある。

 それは、〈召喚魔法〉を媒体とした事件だ。


 〈召喚魔法〉とは、主に2種類に分けられている。

 1つ目が、契約召喚と呼ばれる手法で、契約したモンスターを呼び寄せる魔法だ。こちらは数こそ有限だが、術者に対して友好的であり、連携も取りやすい。テイマーが頻繁にテイムモンスターを引き連れない場合に多く使われる。

 2つ目が、魔力召喚と呼ばれる手法だ。こちらは契約召喚よりも消費魔力量が多いが、その代わり召喚するモンスターの肉体を魔力で補う手法である。その代わり脳は無く、術者が操作しなくてはならない点はあるが、術者がステータス的にはひ弱でも、戦えるようにする手法である。


 そしてこの〈召喚魔法〉は、どちらを使って召喚するにせよ、その性質上周囲に魔力が多少なりとも溢れ出す。


 リッチー等のアンデッドモンスターの魔法じゃない。もしそうなら、もっとゾンビの数は多かった筈だ。

 故意にアンデッドになったんじゃない。もしそうならば敵意はあったはずだかから。


 なぜそんなことをしているのかはわからないが、恐らく誰かが墓地で〈召喚魔法〉を使っている。


 目的は?なぜそれをするのか。目覚めたゾンビの後処理は?

 色々と考えることはあるが、〈召喚魔法〉によって溢れた魔力からゾンビが生まれた可能性を視野にすべきだろう。


 ならば、優斗がすべきことは〈召喚魔法〉を使っている人物を止めることである。


「目的も分からないから、説得して止まるかはわからないが………」


 別に優斗は脅迫は得意じゃない。寧ろやり方がわからないので苦手とも言えるだろう。

 だが、それでもやらねばならないのだ。


 覚悟を胸に、優斗は墓地へと足を踏み入れる。

 墓地に入った瞬間、〈潜伏〉を発動させて奥へと進む。すれ違うゾンビは一旦無視だ。浄化して、その光で人がいると思われると厄介だからだ。


 だから優斗は奥の方へと進む。


「地図を見た感じ、墓地の奥には手入れ用の道具が入ってる小屋があるのか………」


 この共同墓地はそもそも人の出入りが少ない。お参りに来る人も、自分の親族の墓のみを綺麗にしていく人が大半なので流石に全部の墓が綺麗な訳では無いし、主に手入れする人はいないので道の石畳の上に草が放置されている場所が多い。


(〈潜伏〉スキルのお陰で足音も最小限に抑えられてるが、厄介だな。特にアンデッドには〈潜伏〉の効果が薄いのに)


 だからこその先手必勝。見つけた方が勝ちなのだ。


(それにしても、今のところゾンビしかいないな。俺は〈敵感知〉を持ってないから敵意があるのかはわからないが、恐らく全部敵意はないだろう)


 だからこそ奥へと急ぐと、目指していた小屋から光が漏れているのが見えた。


(誰かいるのか?)


 優斗は警戒心をマックスにして光が漏れている窓に近づく。

 そして窓からこっそりと中を伺うと


(人………男か?傍にいるのはモンスターか………見た感じ生気は無い。だけど羽があるな。生気が無い妖精のアンデッド。バンシーか?)


 バンシー。それは精霊や妖精が死んでアンデッドとなった姿だ。その強さは千差万別。生前の強さに依存することが多い。それ故にバンシーは強さの評価が難しいモンスターの1匹だ。

 なぜなら、歴史に名を残した大精霊も、無名な自我すらも怪しい精霊も、アンデッドになる際は皆等しくバンシーとなるからだ。無論、死んだ精霊が全てアンデッドになる訳では無いが、基本的にバンシーは強さの幅が大きいモンスターなのは間違いない。


(あのバンシーは、どうだ?)


 もし生前が大精霊などであれば、優斗の不意打ちの〈ターンアンデッド〉も効果が薄い可能性が出てくる。

 だが、確認方法も無いわけではない。

 自我を持っているか否か。それがバンシーの強さの判別方法だ。ざっくりとしかわからないが、これがお手軽でわかりやすい方法であることは間違いない。


 なのでもう少し様子見をする。

 男は呑気に座りながら本を読んでいる様子だ。あの様子だと、バンシーは護衛用?と少し観察していると、男が立ち上がり、扉の方に近付く。そして扉を開けると同時に男はバンシーに手招きをしていた。


(自分で考える力が無い。自我は殆どないか)


 ブラフの可能性もあるが、だとすればもうどうしようもない。一先ず自我は無い方向で考える。


「さてと、今日も適当にやりますかね………」


 男は気怠げな様子で、墓地の中を歩くと、目の前に魔法陣を展開する。


「んじゃ、〈コール・デュラハン〉!」


 男はデュラハンを召喚した。そしてその魔力に当てられて周りの墓からゾンビが起き上がる。それを確認すると


(召喚した直後。今なら!)


 優斗は奇襲を仕掛けた。


「〈ターンアンデッド〉!〈ターンアンデッド〉!!」


 まず初めに、バンシーに二連続で浄化魔法を撃つ。

 バンシーはそれに対応出来ずに呆気なく浄化された。やはり、自我は薄かったのだろう。


「はぁ!?おい、お前なんだよ!」


 そこで漸く気が付いたのか、男は喚きながらデュラハンを仕掛けてくる。


「はあっ!」


『………』


 優斗は声を上げながら、デュラハンは無言で剣を振り下ろす。ガキンッ!という音が鳴って剣がぶつかりあった。


「くっ!」


 力はほぼ互角。いや、優斗は両手で剣を持っており、デュラハンは自分の頭を持つために片手で剣を持っているので力はデュラハンが上だろう。


「〈ウォーターホース〉!!」


 だから隙を作るために優斗は頭に向かって水を放った。


『!!??』


 デュラハンは突然の水に驚いたのか、少しだけ溺れてしまった様子だ。


「〈ターンアンデッド〉!!」


 これで弱体化すれば良し。そう思って浄化魔法を撃ったのだが、デュラハンは呆気なく浄化されてしまった。


「あ、あれ?」


 優斗が弱らせた記憶は無いので疑問に思っていると。


「ちっ!デュラハンも殺られた………なんなんだよお前は!〈コール・ドラウグ〉!!」


 そして男が次に召喚したのは黒色に染まった人間の死体だった。


「ドラウグ?まさか!」


 優斗は〈危険感知〉の反応に従い、後方に下がる。瞬間


『ヴォォォ!』


 ドラウグは腕を巨大化させて地面を殴り壊してしまった。


(力が強すぎる!)


 ドラウグは黒色に腫れたゾンビの上位互換だ。そんな化け物を従えている事実に戦慄しながらも優斗は剣を構える。


「ど、どうだ!お前が何をしに来たかは知らねぇがな!こいつの力は超人的だ!その力のステータスはざっと100!体を巨大化すればもっと強くなる!」


 男がなにか喚いているが、気にしている様子はあんまりない。


(って言うか、力100ってあくあよりも下だな)


 感覚が麻痺しそうだが、つまりこいつはあくあよりも弱い。あくあの筋力のステータスは確か248なので、巨大化してもあくあが競り勝ちそうだ。


(まあ、今はそのあくあはいない訳だが)


 男は喚きながらも次の召喚の準備をしている。


(早く倒して、目的を吐かせないとな)


 優斗は狙いを決めて


「アンデッドなら、こいつが有効だろ!〈フレアショック〉!!」


 火を飛ばしたのだが、ドラウグはそんなもの効かないとばかりに、巨大化して対処した。


「便利だな、巨大化!〈ウォーターホース〉!そして〈シルフィウィンド〉!」


 風の魔法で放った水をドラウグが全身濡れるように操作する。


「〈エレクトロ〉!!」


 どんなに巨大な体でも、たとえ死体でも、電気は共通の弱点であり、電流が流れれば、死体でも一瞬は体が止まる。


『ヴォォォ!!』


 痺れている隙を縫って、巨大化したドラウグの足に〈ターンアンデッド〉を放ちながら足首を斬る。


『ヴォ!?』


 足首が少し浄化され、斬られたことで体を支えられなくなり、ドラウグは前に倒れる。

 優斗は〈弱点看破〉で弱点が脳であると見たため、ドラウグの体の上から移動して


「じゃあな〈ターンアンデッド〉」


 できる限りの力でドラウグを浄化した。


『ヴォッヴォォ………』


 ドラウグは小さく泣きながら浄化された。


「さてと………」


 優斗は速攻で終わらせようと振り返ると


「準備に時間がかかっちまったが、間に合ったぜ!〈コール・レッサーデーモン〉!!」


 男が魔法を発動すると同時に、魔法陣から悪魔が召喚された。


(よりによって悪魔かよ)


 悪魔種。それは本来この世界に存在しないモンスターであり、曰く、魔界で溜まった怨念が具現化したモンスターと言われている。

 そして悪魔種は確かに神聖魔法が通用するが、悪魔特攻の神聖魔法は中級以上で使える、つまり、今の優斗に悪魔に対する特効は無い。


「完全に不利だな………」


 優斗は静かに剣を構える。


「お前の目的は知らねぇがな!見た感じ初級の魔法しか使えねぇんだろ!?神聖魔法も初級だったしな!なら!レッサーデーモンなら打ち破れる!」


 レッサーデーモンは悪魔種の中でも下から2番目の脅威度だ。だが、悪魔種は強い。レッサーデーモンでも討伐するための推奨レベルは30だ。優斗はかなり不利だ。


(そういえば、今のレベルって幾つだろうな)


 そんなことをぼんやりと考えながら優斗は覚悟を決めた。


「おい、悪いけどお前の召喚主に用事あるんだよ。だからさっさと倒させてもらうぞ」

優斗は、才能があんまりなかったり、ステータスの上り幅が低いだけで普通に戦えます

ライナー達の指導がよかったのもありますね

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