人生って人生縛り感あるよね。みんなもそう思わない?
今回は予定通りに更新です!!
「グギャギャギャ!!」
草むらを飛び出すと、そこにはゴブリンたちが集まっていた。
「こう見ると、圧巻だな………」
それほどまでに15匹という数は多い。寧ろ、なんでこの数を1人で相手しなければいけないのかと若干現実逃避をしてしまう。
「ギャギャ!」
だが、そんなことをゴブリンが許すはずもなく、そして優斗もまた、油断していない。
「はぁっ!」
優斗の頭に向かって棍棒を振りかざしてきたゴブリンに向かって思い切って剣を振るうと、簡単に棍棒とゴブリンの顔が斬れた。
「は、はぁ………?」
一昨日までとは全く違う切れ味に驚いていると
「グギャ!」
背後からゴブリンが襲いかかってきた。
「ユウトくん!惚けないで!!」
だがその攻撃もエレンの弓によって防がれた。
「あ、危ない!ありがとうエレン!!」
優斗はエレンにお礼を言いながらゴブリンを斬り伏せる。
「これが、スキルの力なのか?」
優斗が得た新スキル〈片手剣〉。剣の動作補助のスキルと聞いていたが、斬れ味まで少し上がるとは。
「さすがにこれで鉄までは斬れないだろうが………」
〈危険感知〉でゴブリンの攻撃を察知し、交わしながらスキルの性能を整理する。
(まさか、ここまでとはな………)
火力が足りないと思っていたが、優斗が思っている以上に火力は上がっていたのだ。
「ユウトっち。油断するなよ。後、確かに火力は上がっているが、それもスキルだけじゃない。筋力のステータスに加え、敏捷のステータスが上がって剣の振り抜く速度が上がったのもあるぞ」
様々な要因が重なって強くなったのだ。
つまり、今はこれが許されるだろう。
(俺は、戦いの中でも強くなれるんだ!)
まあ、アニメお馴染みの、主人公覚醒イベントというやつである。今回の場合は、スキルは手動で入手なので強くなるのはステータスだけだが、それでも十分だ。
「じゃあ、残りのやつもかかってこい!」
『グギャギャギャ!!』
ゴブリンナイトはキースが抑え込んでくれてる。優斗のする事はこのゴブリン達を全滅させることだ。
「折角だし、戦術も試してみるか」
強敵に試す前に雑魚敵から。そう思い、ゴブリン達に掌を突き出す。
「ユウトくん。一体何を………」
「神聖魔法、〈キュア・カタルシス〉!!」
〈初級神聖魔法〉の1つ、精神の浄化を主とした魔法〈キュア・カタルシス〉は、掌から浄化の光を放つ魔法だ。
本来なら本能の赴くままに動くモンスターには無意味なものなのだが
「グギャギャギャギャ!!??」
見事3匹のゴブリンの目を奪った。
「これで、5匹っと」
先程斬ったゴブリンと合わせて5匹のゴブリンを倒した。
残りの10匹のゴブリンは警戒しているのか近づいてこない。
「そりゃ、警戒するよな」
魔法によって目を潰され、斬られた。少し離れて見ていたあの10匹は目を潰されていないが、似たような技で攻撃されることを恐れているのだろう。
「〈狙撃〉スキルはまだ覚えてないけど………」
そう言いながら優斗はゴブリンの方へと走ると、ゴブリンの1匹に向かって短剣を投げ飛ばした。
「ガギャ!?」
一昨日でわかっていた事だが、短剣を投げる精度が優斗は高くない。だから変な場所に刺さってしまうが、今はそれでいい。
「油断してると、こうなるぞ」
短剣が刺さったから先にそのゴブリンから。そう思っていた他のゴブリンから優斗は斬り飛ばした。
「グギャ!?ガギャギャ!!」
「なんだ?文句か?」
ゴブリンからすれば、弱った方から狙えばいいもの。だが、優斗は慢心しない。
「あのゴブリンは痛みで上手く動けない。だから、後で倒せばいいんだよ」
優斗はそう言いながらまたゴブリンの首をはねとばし、別のゴブリンに掌を向ける。
「ガギャギャ!!」
光が来ると思ったのだろう。3匹同時に攻撃してくるが、残りの4匹は優斗の背後から狙ってくる。
「〈ウォーターホース〉!」
だが、今回は水ではない。光に備えて本能的に若干薄めになっていたゴブリンに向かって水を放つと、それが気管に入ったのか、少しだけむせてしまっている。
「バレバレなんだよ」
そして前の3匹のゴブリンがむせている間に、しゃがみながら後ろからの攻撃を避ける。
「グギャァ!」
避けられた怒りで1匹のゴブリンが殴りかかってくるが
「………遅くなったか?」
ゴブリンの身体を下から斬りあげた。
「ゴギャ、ガギャ!?」
隣で同胞が殺られたことに惚けていたゴブリンを、そのまま裏拳で殴り飛ばす。
「殴るのは、あんまり気持ちいいものじゃないな………」
少し痛いし。
「ゴギャ、グギャギャギャ!!」
「さて、あと5匹か………」
厳密にはあと6匹だが、1匹は動けない。だが、油断はしない。
「〈フレアショック〉!」
優斗が放ったのは初級の炎魔法。といっても、ただの着火魔法だが、火はその存在だけでも脅威だ。
『ガギャギャギャギャ!!』
実際、ゴブリンは我先にと逃げ出そうとしている。
「乱れてるぞ、連携がな」
そのまま濡れていないゴブリンの首を斬ると、痛みで倒れているゴブリンの元まで走り、
「グ、グギャ?」
「じゃあな」
そう言って胸に短剣を刺してトドメを刺した。
これで残り4匹。
「〈エレクトロ〉!」
振り向きざまに初級の電撃魔法を放つ。普通に放てば静電気程度の魔法だが、今回は違う。
『ガギャギャギャギャ!!』
〈ウォーターホース〉をかけられ、濡れていたゴブリン3匹が痺れる。ちなみに純度の高い水は電気を通しにくいが、今回は魔法によって生み出された水。無論中には魔力が含まれており、魔法による電撃は通りやすくなっている。
「ガ、ガギャギャ!!」
突然痺れ出した同胞を心配しているが、
「そんな暇無いんだよ」
優斗はいとも容易くそのゴブリンの首を斬り、
「これで、終わりだ」
残った3匹のゴブリンも仕留めてしまった。
「はぁ、疲れた………」
だが、これで終わりではない。まだゴブリンナイトが残っているのだから
「このまま強敵か………」
だが、やるしかない。
「〈キュアヒール〉っと………これで回復か」
失った魔力は戻らないが、これで優斗の体に傷は残ってない。ゴブリンを殴った時にできた傷も無くなっている。
「キース!交代だ!」
今の今までゴブリンナイトを引き付けてくれていたキースに交代を促すと、キースは優斗を一瞥し、そのまま下がった。
「はぁ!」
「ゴギャァ!」
優斗の剣と、ゴブリンナイトの剣がぶつかり合う。
(やっぱり、鋼は斬れないか………)
スキルを習得し、レベルが上がってもまだ相手の武器を破壊することは叶わなかった。
元々、武器破壊は狙ってないのだ。ならば純粋な持力で勝つ?それは無理だと判断する。
(今のせめぎあいでわかったが、やっぱり筋力は俺の方が下か………)
それでもギリギリ押し返されていないので、若干と付くが、それでも筋力ステータスは優斗の方が下だ。このままでは負けてしまう。
「クソっ!」
負けを予感した優斗は、ゴブリンナイトの力を利用して後ろに下がる。
ゴブリンナイトは、今までせめぎあいをしていた相手が急に下がったことで体制を崩してしまっていた。
「チャンス!〈ウォーターホース〉!」
優斗は急いでゴブリンナイトに水をかける。
「ガ?ガギャギャギャ」
ゴブリンナイトは笑っている。恐らく、魔法というのは強力な攻撃だということは理解していたのだろう。それが、自身を濡らしただけという事実を鼻で笑っている。油断、してくれている。
「お前は、さっきまでの俺とゴブリンたちの戦いを見てなかったのかよ」
見てなかったのだろう。そうでなければ、優斗の魔法をもっと警戒する筈だ。
「じゃあ、これでも喰らえよ。〈キュア・カタルシス〉!」
この魔法は最早目潰しの魔法になっている。
浄化の光によって油断したゴブリンナイトの目を奪おうとしたのだが
「そこは防御するのかよ!」
目をしっかりと守っていた。
「元々、そこまで強い光じゃ無いからな………」
完全な目潰しは期待していなかった。
「ガァァァ!」
そのままゴブリンナイトは優斗のいる場所に目掛けて剣を振り下ろす。
優斗はその剣を躱しながら
「〈フリーズ〉!!」
冷気をゴブリンナイトに放った。
「ガ?ガギャ?」
寒気を感じたのだろうが、それでもゴブリンナイトは止まらない。だが、それでいい。
「俺は、純粋な地力で勝とうなんて、思っていないよ。だから」
優斗は再度魔法を放つ準備をする。使う魔法は相変わらず〈初級魔法〉。だが、それでも戦える。
「〈ウォーターホース〉!!」
再度水をかけると、更に寒気を感じたのか、ゴブリンナイトは若干震えている。
「震えてるな。寒いんだろ?身体、動きづらいだろ?」
そう言いながら優斗はゴブリンナイトの最後に急いで回ると、そのまま剣を振り抜く。
「グギャァ!」
だが、そんなことはさせないとばかりに、ゴブリンナイトは優斗の剣を受け止めた。
「マジかよ………」
これには予想外だった。だが、止められても、まだ勝ち目はある。
「見ろよ、ゴブリンナイト!」
一瞬だ。これにミスすればもう成功しないかもしれない。
そう緊張感を持ってゴブリンナイトの目の近くに掌を翳すと、魔法を放った。
「〈フラッシュライト〉!!」
優斗が使ったのは初級の光属性の魔法だ。
暗い場所で明かりにするための魔法。だが、目を開いた状態で、急に目の前に強い光が現れるとどうなる?答えは簡単だ。
「ガギャァ!グギャァ!」
目が潰れる。
「今!」
〈弱点看破〉を使い、ゴブリンナイトの弱点を見る。弱点は、首。
「はァァァァァァァァァ!!」
優斗の渾身の一撃は、ゴブリンナイトの首に差し込み、途中で止まってしまった。
「はぁ!?」
嘘だろと。そう言いたくなる。まさかの展開に一瞬動きが鈍り、
「ガギャ!」
ゴブリンナイトが復活した。
「煩い!」
「ガギャ!?」
だが、優斗はそのまま剣から手を離し、短剣でゴブリンナイトの右目を潰した。
ゴブリンナイトは痛みのあまり剣から手を離し、目を抑えている。その内に優斗は剣を首から離し、距離を取る。
「ちょっと、厄介だな………」
優斗と攻撃では決定打になり得なかった。でも、それはただ剣を振りぬいた場合だ。まだ策はある。
「ゴギャゴギャァ………」
ゴブリンナイトは、右目を庇いながら、残った左目で怒りの目線を向けてくる。だけど
「もう終わらせるよ。〈エレクトロ〉!!」
「ゴガァァ!」
十分に濡れていたゴブリンナイトは、全身が痺れて動けなくなってしまう。
「これで、トドメだ!!」
優斗は剣を1度鞘へと仕舞うと、そのまま居合切りの要領でゴブリンナイトの首を今度こそはねとばした。
遂に強敵撃破!これにて第一章完!!
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因みに弱点以外の場所に攻撃していた場合、そもそも殆ど刃が通りませんでした