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さあ皆様こちらですよ!ほら聞こえるでしょ?物語が進みそうな音が

インターネットが繋がらなくて焦りましたが無事に更新です

 武器屋に行き、残っていた荷造りの手伝いを終えると、遂に護衛クエストの始まりだ。


 と言っても、護衛クエストは護衛対象と一緒に馬車に乗るだけ。

 業者の人が馬を操縦しており、屋根付きの荷台に鍛冶師のおじさんと優斗たちは座っている。


「………」


 ちなみにこの三点リーダが鍛冶師のおっちゃんだ。エレンとキース曰く、荷造り中も必要最低限の台詞以外は喋らなかったらしい。

 ちなみに武器屋の店主とは兄弟関係で、基本的に鍛冶師のおっちゃんが裏で鍛治をしてるらしい。


「ライナー。隣町までって、馬車で何分くらいなんだ?」


「荷物の運搬もあってゆっくりだからな。まあ3時間もあれば着くだろうな」


 朝の11時頃から馬車で街を出たので、隣町に着くのは14時頃。納品自体は長く見積もっても1時間程度で、そこから同じ速度で帰るとなると街に戻るのは18時頃だろうか。

 少しだけ暇そうにしている優斗を見かねたのか、エレンがある提案をしてきた。


「ユウトくんも暇そうだし、今のうちに護衛クエストで注意することを幾つか教えておくね」


「注意すること?」


「うん。まず絶対にしないといけないのは、感知スキル持ちは警戒を怠らないことかな」


 それは、わかる。感知スキルは奇襲や不意打ち対策の要だ。

 感知スキル持ちが働かなければモンスター襲撃は常に後手に回るだろうから。


「まあ、この警戒も感知スキル持ちが複数人いる場合は交代制だけどね。ずっと警戒するのも難しいから」


「それはそうだろうな。だけどこの3時間の道のりは?」


「俺っちも一応〈敵感知〉は持ってるからエレンが疲れた時は、買われるぜぃ」


 それならエレンも安心か。


「それと、何時でも戦えるようにすること。疲れて動けませんでしたは通じないからね。だから、直ぐに動けるように仮眠をとっていても大丈夫だし、他のことをしていても大丈夫だよ」


 そこまで言うと、エレンはでもと付け加えて


「暇そうに座ってるのだけは絶対にダメ。そんな人を見ても護衛対象の人は本当に緊急時に動いてくれるのか心配になっちゃうから」


 そう言われて、優斗は先程までの自分を思い出す。

 暇そうにし、ライナーに時間を聞いて欠伸をしていた自分を。

 確かに、少し前まで学生だった優斗に仕事中は欠伸をするなというのは難しいのかもしれない。それが何も無い座っている状態なら尚更だ。


 だが、この時間も仕事の時間。ならば気を引き締めるのは当然だ。


「ごめん。ありがとうエレン」


「いいよ。優斗がはやく慣れてくれたら嬉しいし」


 優斗はエレンの言葉を聞いて、外の空気を吸うために顔を少しだけ外に出す。

 今馬車が通っているのは草原だ。優斗が、この世界に降り立った時に立っていた草原を通過している。

 気晴らしも含めて久しぶりにスマホを取り出して地図を見ると、きちんと初日とは逆方向。つまり南に向かって進んでいる。


「っていうか、やっぱりこの地図そんなに大きくは無いんだよな」


 今優斗が拠点にしている街とその周辺の地図は載っているので、優斗が何度かクエストをしに行ったあの森もある程度地図には乗っているが、今向かっている隣町までは地図には載っていない。


「このスマホも、別の町を拠点にするってなると必要無くなるのかな」


 初級の雷属性魔法なら充電できるかもだが、そこまでする価値が今はスマホには無い。

 精々がメモ書きくらいだろうか。


 ということでライナーとキースに武器の手入れを教えて貰ったり、先程購入した〈スキルの秘伝書〉を読みながらなんだなんだ3時間が経過し、隣町に到着した。


「行きは何事も無かったな」


「そうだな。でも油断大敵だぞ。特にユウトにとっては初めての護衛クエストだ。帰りに不意の戦闘になる可能性もあるからな」


 キースの窘める言葉にもわかってると返事をする。

 長いものだと野宿をしたり、途中で寄った街で宿をとったり、目的地に着くとそのまま解散したりするのだが、今回は日帰り往復の為依頼主の用事が済むまで待つ形だ。


 ちなみに依頼主である鍛冶師のおっちゃんは終始無言だった。


 そんなこんなでおっちゃんは戻って来、街に帰ることになった。


「それにしても、今回のクエストは実に平和で………」


 と、優斗が外を眺めながら呟いていると


「ユウトくん。戦闘準備をして」


 エレンからそう声をかけられた。


「………敵襲?」


「うん。気配的にはそんなに強く無さそうかな。空を飛んでし、地中を移動していないからアースモモンガたちじゃない。数はそこそこいるからゴブリンとコボルトだと思うよ」


 それはまた異世界テンプレを地で行くようなモンスターたちだ。

 そう聞くと、優斗は剣を取り出す。ついでに短剣も用意する。投げナイフの要領で攻撃出来るようにだ。


「よし、エレンの〈索敵〉によれば、ゴブリンが10匹とコボルトが9匹だな。数は多いが強さは問題ない。ただユウトっちにとってはかなりきついから俺っち達でカバーしよう」


「数は脅威だからな。ユウトは安心して戦え」


 ということでライナーとキースが先頭でエレンが荷台の屋根の上で弓の準備。優斗は中衛だ。


「来たな。〈デコイ〉!そして〈挑発〉!!」


 キースのスキルによってゴブリンとコボルトの半数がキースに襲いかかる。


「〈狙撃〉!からの〈狙撃〉!」


 だが、キースに辿り着く前に数体はエレンによって狩り取られる。


「俺も!やぁ!」


 少々情けない声だが、〈弱点看破〉と組み合わせてゴブリンを斬り、短剣を投げ飛ばしてコボルトに傷を負わせる。


「バワッ!グルル!!」


 だが優斗が投げた短剣は急所には当たらず、中途半端に肩に当たるだけだった。


「おっと危な!クソっ」


 優斗はコボルトの攻撃を上手く躱しながら剣を喉に突き刺す。これで2匹目。


「ユウトっちも成長してるな!〈ファイアーボール〉!!」


 ライナーはしっかりと優斗の事を褒めながらも火球でゴブリンとコボルトを一斉に焼却処分する。


「ラスト1匹!」


 キースを襲いそうだったコボルトを優斗が倒して、戦闘は終了した。


「エレン!反対側からは何も来てないか?」


「うん!周辺にモンスターの気配は無いよ!」


 エレンの索敵も終了し、優斗たちは再度馬車に戻ると街に向かって進み出す。


「わかった?ユウトくん」


「ん?」


「モンスターの襲撃はいつだって突然だから。だから、油断しちゃダメだからね」


「そうだな。肝に免じておくよ」


 優斗はまだまだ油断が多い。一応、教育係が居なくなるのは、ある程度自力でクエストをこなせるようになるか、レベルが一定以上になるか、だ。

 ライナーたちが定めたレベルは15。今優斗がギルドカードを見ると、前回のアースモモンガと今回のゴブリンとコボルトでレベルが上がり11になっていた。


「独り立ちの日も、近いのかもな」


 まだ異世界に来て1週間も経過していないが、少し寂しさを覚えてきた。

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