4.白色申告と青色申告の違いって何?
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今回の話のポイント。
・副業契約作家の人は青色申告しない方が良い。(=開業して個人事業主にならない方が良い)
・青色申告は税制上のメリットが大きいが、本業を退職した場合に副業を続けるか失業給付をもらうかの二択を迫られる。
(失業給付をもらうには廃業する必要があり、事業として行っていた契約作品を継続するのは収入額関係なくNGなため)
(開業していない場合、よほどの収入額でなければ事業扱いにならないので副業を続けたまま失業給付を受けられる)
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収入については分かりました。
次に必要なのは経費です。
なぜならば必要なのは収入ではなく所得であるからです。
1話で紹介しましたが、所得についてはfreeのサイトには下記のように書かれています。※1
[所得金額 = 収入金額 - 必要経費]
そして税金は所得にかかります。
つまり経費が多いほど税金が安くなると言うことです。
さっそく経費について検索してみるとたくさんのサイトがヒットしました。
どこも同じような内容なので参考のため弥生のサイトを見てみます。※2
おおまかには家賃や通信回線費などを経費に入れることが出来ることが書いてあります。
特に作家業の場合はスマホやPCやカフェすら経費に入れることが出来るとか。
ここに取材費も入れるとほぼ何でも経費に出来そうです。
しかしいくつかのサイトを見ていて気になる言葉が出てきます。
それは青色申告という言葉です。
青色申告について国税庁のサイトには下記のように書かれています。※3
[ところで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。]
分かりやすい言い方に変えると、青色申告は手続きがややこしい代わりにいろいろな控除を受けられるようです。
どのサイトを検索しても青色申告を非常に推してきます。
例えば弥生のサイトでは下記のように書かれています。※4
[白色申告のメリットとしては、手続きがシンプルで簡単なことです。決算の手続きが簡易的で、収支内訳書に事業収入や必要経費を記入するだけで済みます。その他のメリットはほぼありません。]
説明を読むと税金の控除額がけっこう大きいので頑張って青色申告をしてみてもいいかな、と思いました。
収入は基本的に契約作家での収入と電子書籍の収入ぐらいなので複雑ではないし、それだけで控除をもらえるならお得だと思ったからです。
では、青色申告を行うことの出来る条件とはなんなのでしょうか?
先ほども引用した国税庁のサイトには下記のように書かれています。※3
[青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。]
不動産や山林ではないので事業所得になるでしょう。
では原稿料を事業所得にするにはどうすればいいのでしょうか?
これについては国税庁のサイトの説明がわかりづらかったのでマネーフォワードのサイトを参考にしました。
マネーフォワードのサイトでは下記のように書かれています。※5
[個人事業主が事業を営んで収入を得た場合、その「もうけ」は事業所得になります。しかし、その収入が反復継続を前提とした事業でなければ、事業所得とは認められません。]
契約作家の原稿料は反復継続を前提としていますので問題ないでしょう。
では個人事業主になって作家業を事業とすればよさそうです。
しかしここで引っかかりました。
個人事業主ということは開業するということです。
事実青色申告のやり方を紹介しているfreeeのサイトには開業届の提出が必要とあります。※6
ここで気になるのは開業する=失業することがないという点です。
本業の人はいいでしょうが、私の場合は副業です。
何らかの理由で本業を退職した時に失業保険は受け取れるのでしょうか?
調べてみるとアントレのサイトには下記のように書かれています。※7
[失業保険は、副業で収入を得ている人は受給できません。-中略- そのため、退職後も副業でビジネスを行っている状況では「失業している」という状況ではないのです。事業所得の売り上げがわずかであっても、まったくない状況であっても、失業手当の「対象外」となります。]
開業していれば失業給付をもらえないということのようですが、まだ補足があります。
[しかし、本業である会社を退職する前か、退職後の雇用保険の受給が可能となる期間内に廃業届を提出すれば、「失業状態」であると申請できます。失業保険の受給も可能となります。]
なるほど、副業をやめて廃業届を出せば失業給付をもらうことは可能だということです。
しかし普通の副業ならそれでいいでしょうが、私の場合は契約作家です。
契約作家は一定期間内に一定文字数分の連載を続ける契約になっています。
突然「連載中断します、就職が決まったら再開します」なんて自分勝手な理屈は通らないし契約書にも違反します。
おそらく連載中断ではなく連載中止になると思いますし相手との関係性は最悪になるでしょう。
つまり実質失業給付を諦めて副業を続けるのが最適解となってしまいます。
ただここで一つ気になることが浮かびました。
そもそも副業していても失業給付をもらえるのか? という点です。
これについては弥生のサイトでそのままの「副業していても失業保険はもらえる?」というのがありました。
その中では下記のように書かれています。※8
[本業の離職前から行っている副業があっても、それが事業規模ではない場合、副業の働き方や収入額などによってはハローワークが失業保険の給付を認める場合があります。]
もう少し調べてみると企業の窓口のサイトに下記のように書かれていました。※9
[減額の基準は、副業での1日あたりの収入額と、失業前の賃金日額を基に計算されます。具体的には、以下の計算式で求められる金額までは失業保険が減額されません。
賃金日額×0.8−(基本手当日額+1,354円)
賃金日額とは退職前6ヶ月の平均賃金額を指します。例えば、失業保険の基本手当日額が賃金日額の50%(年齢や賃金日額により変動)の場合、賃金日額の約30%+1,354円までの副業収入であれば、失業保険は減額されずに受給できます。]
つまり仮に本業が月22万の給与だったとして、月10万ぐらいなら減額されないと言う計算です。
契約作家で月10万を超える人は多くないでしょうし、超えても減額されるだけです。
作家であるため労働時間は自由に決められるので、日4時間週20時間以内というのも簡単です。
ようやく白色申告と青色申告の違いとメリット・デメリットを理解できた気がします。
普通の副業であれば青色申告もありだと思いますが、契約作家においてはメリットがなさすぎますね。
少しの控除を求めて後で契約を解除するか失業給付を諦めるかを選ぶより、控除を諦めていざと言う時に備えておくほうが良いと思います。
本来は経費について調べる予定が白色申告と青色申告の差を調べることになってしまいました。
次は経費についてです。
参考にしたサイト
※1 所得とは?収入との違いや種類別の計算方法を解説
https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/syotoku_kyuuryou_keisan/
※2 副業でも経費は認められる?計上できる費用や確定申告の注意点を解説
https://www.yayoi-kk.co.jp/fukugyo/oyakudachi/keihi/
※3 No.2070青色申告制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
※4 青色申告と白色申告の違いとは?それぞれのメリットを解説
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/chigai/
※5 事業所得とは?雑所得との違いから、個人事業主・副業の確定申告の方法まで解説!
https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/3922/
※6 青色申告には開業届が必要?青色申告するために必要な申請と期限についてまとめて解説!
https://www.freee.co.jp/kb/kb-kaigyou/blue-return-basic/
※7 個人事業主が廃業(退職)した時に失業手当(失業保険)は受給できる? 再就職手当は?
https://entrenet.jp/magazine/15427/
※8 副業していても失業保険はもらえる?失業中に副業を始める場合も解説
https://www.yayoi-kk.co.jp/fukugyo/oyakudachi/shitsugyohoken/
※9 失業保険を受給しながら副業は可能?知っておくべきルールと手続き
https://kigyo.gmo/magazine/sidejob/list/sidejob-unemployment-benefits/