表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/122

邂逅(1)


 重い頭を上げる。めまいがしてしばらく頭を手で支え、警戒しながら視線を動かす。


「……ここは?」


 彼は小さく呟き、自分の声がいつもとは違うことに気が付いて目を丸くした。彼は自分の手に目を落とし、その瞳を瞬く。


「ちいさ、い?」


 直後、彼の背後から殺気に近しい魔力が溢れ出た。彼は鋭い視線を向けたが、彼の動きよりも先に、魔力を出している人物は、彼を強く床に抑えつける。


「お前……お前が変なことをしたんだろう!」

「……貴方は」


 憎悪で顔を歪める人物を見て、彼は目を丸くした。首に指が食い込んでいるが、彼にとってはその人物を見た衝撃の方が大きかったのだ。


 銀髪で紅い瞳を持つ、自分の幼い頃と、そっくりな少年。


「殺してやる……」


 しかし、その言葉と表情は彼とは全く異なって見えた。今の彼も昔の彼も、浮かべたことのないような表情を浮かべている、と言った方が適切だろうか。手に力を込められて首が絞まり、眉を顰めた彼は相手の腕を掴んだ。相手が反応するよりも先に、彼は体を器用に反転させて相手の体を倒す。そして逆転して、彼が相手の腕を掴んで羽交い絞めにし、床に拘束した。


「な……は、放せ!」

「懐かしいですね。貴方はこの頃貧弱で、僕に敵いもしなかった」

「ふざけたことを言うな! 早く放せ!」

「事実を言っているだけですよ。それに放したら貴方は僕を殺そうとするのでしょう?」


 暴れる相手を抑える力を強めながら、彼は思考を巡らせる。優先すべきは現状の把握と、暴れ小僧をどうやって大人しくさせるか。子犬のように吠えている声を無視して彼は自らの体を確認し、部屋の内装に視線を向ける。


 その時、部屋の扉が音を立てて開かれた。


「ユイト、いるか!?」


 金髪を揺らして肩で息を吐きながら立つその人物を見て、ユイナートは目を大きく開いた。


「……シド?」

「お前も、俺と同じ状況か?」


 少年の姿のシェンドは、大股で部屋の中に入って彼の前に立つ。そして、その視線が下に動いた。


「……なんだ、この状況は」

「この暴れっ子をどうしたらいいと思います?」

「こいつ、セオだよな。こいつも一緒に?」


 話が通じているのか通じていないのか分からない。だが、シェンドも彼と同じように何故か子どもの姿になっており、そのことを疑問に思っているのだろう。


「詳しい話は後でします。とりあえずこいつを何とかしないと、僕は殺されるみたいで」

「おお、任せろ」


 シェンドは鷹揚に頷き、指を一度鳴らした。その音と同時にユイナートは手を放して立ち上がり、黄金の魔力の紐が代わりに、殺気を滲ませる彼に絡みついた。


「何これ! 解けないし、そもそもどうして魔法が使えないの」

「これで一旦、息がつけますね。これは一体、どういう状況なのでしょう」

「分からん。俺も気が付いたら、こんな姿になっていた」


 首を傾げたユイナートを一瞥し、シェンドは拘束された彼に目を向ける。そしてその目は再びユイナートに移った。


「お前らほんとにそっくりだな。顔だけじゃ区別がつかない」


 その言葉に、ユイナートは不満そうに目を逸らす。拘束された彼も眉を顰めながら、シェンドを睨みつけた。


「……ていうか、お前は誰?」


 シェンドは紅い瞳を瞬いて、わざとらしく胸を抑える。


「流石の俺でも傷ついた。お前、俺のことを忘れたんだな。ユイトのことは覚えているみたいだが……好きだから?」

「「違う」」


 二人の声が重なる。瓜二つの彼らは嫌そうに顔をしかめ、互いに睨みつけた。


「こいつが勝手に僕のことを一方的に覚えているのですよ」

「こいつが最低の屑で大嫌いだったから覚えているんだよ」


 再び声が重なって、二人の間には火花が散る。その様子を見て、シェンドは大きく頷いた。


「お前らはやっぱ、仲良しな双子だな」

「「仲良しじゃない」」


 二人はシェンドを鋭く睨み、睨まれた彼は肩をすくめ、やれやれと首を振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
よしっ!当たってた❤️双子っていいよねぇ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ