媚薬の影響(2)
ユイナートは廊下を風のような速さで駆け抜け、シェルミカの部屋の前にたどり着いた。部屋の扉を開けると、中ではトアと彼女付きの侍女の一人が話をしていた。彼らはユイナートの姿を見ると頭を下げて話を中断する。
「殿下。大変申し訳ありませんでした」
「いえ。ご苦労様です、トア。集まった情報は後ほど聞かせてください。それと、ミハイルに明日訪れるよう伝えておいてください」
彼の言葉に再び頭を下げ、トアと侍女は部屋を出る。彼は真っ先に寝室へ向かい、扉を叩いた。
「シェルミカ、入りますよ」
声をかけても寝室との壁は防音が施されているので、聞こえるはずはない。分かっていたがユイナートは一応声をかけ、扉を開けた。
「シェルミカ……」
中に入ると真っ先に彼の目に入ったのは、ベッドの上で自分で自分を慰めているシェルミカの姿だった。彼女はユイナートの存在に気が付いたのか、赤くなった顔を彼に向ける。
「……ゆい、と様? や、やだ。わたし、こんな……」
彼女の顔はみるみると真っ赤になり、目元には涙が滲み始めた。ユイナートはそんな彼女を見て本能が昂り、背徳感や嗜虐欲が高まるのを感じた。彼は口角を上げて獲物を見つけた獣のように目を細める。
「なんて、可愛らしい姿なのですか。僕にもっとちゃんと見せてください」
彼がシェルミカに近づくと、彼女は震えながら身体を小さくさせた。彼はそんな彼女の上に跨り、唇を重ねる。そして手早く彼女の手錠を外し、それを雑に放り投げた。鎖の音が響き、シェルミカがその音に反応して身体をびくりと震わせる。ユイナートは彼女を落ち着かせるためにゆっくりと頭を撫でる。
「ああ、ごめんなさい。怖かったですよね。大丈夫ですよ、貴女にはちゃんと優しくします。……本当なら貴女の自慰をじっくりと見たいところですが、早く貴女を救いたい気持ちの方が大きいです。今すぐ貴女をその熱から解放しますよ」
ユイナートが微笑むと、彼女は涙に濡れた瞳で彼を見上げた。その乞うような瞳に、ぞくぞくっと彼の全身を言いようの知れない快感が巡り、苛めたい、という欲が芽生える。
「たとえ薬のせいだとしても、シェミが僕を求める日が来るなんて」
彼は嬉しそうに口角を上げ、彼女の頭を撫でた。そして彼女の顎に指を添え、深い口づけを行う。普段であればシェルミカは彼の舌から逃れようとするが、今は自ら絡まれようと動いている。顔を離すと名残惜しそうな顔をされ、ユイナートは思わず笑い声をもらした。
「大丈夫ですよ、貴女を快楽に堕とすことには慣れています。今日は逃亡計画を立てたお仕置きも加え、激しく突いてあげますよ」
シェルミカは怯えと期待が籠った顔を見せる。彼は優しく微笑んで彼女の服を脱がせ、先程まで彼女が弄っていた箇所に触れる。少し触るだけでかなり濡れているのが分かり、彼女は彼を誘うような喘ぎ声を上げる。
「……今日は僕も我慢しませんよ」
そう呟き、彼は瞳に激情を孕ませて彼女がめちゃくちゃになるまで抱いた。