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『名無し』の魔女のものがたり  作者: ソーカンノ
第1部 メリンダ編
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第5話 『魔女の条件』

 ……えーっと。


 想定外の出来事に、上手く頭が回らない。


 未知の存在に対しては、警戒を持って臨むのが正しい戦略だ。が、眼の前のこいつにそのような気配は見えない。言うなれば迂闊。自らの軽挙が招いた事態によって、物理的に身動きが取れなくなっている。


「た、たすけて~。誰かぁ~」


 暴発した魔法。輝く紐に身体を拘束され、地べたに寝転がって助けを求めている。


「……なにをしている」


 思わず、言った。言ってしまったあとでその迂闊さに気づき、片手で口元を塞ぐも遅かった。芋虫的生き物と化したそいつが、床に着いた身をモゾモゾと動かして、唖然とする私へと近寄ってくる。


「あ! その声! 帰ってきてた! ねえあなた、そこで見てないであたしのこと助けてくれないかなっ!!」


 人様の敷地に不法侵入しておいて、なんとまあ図々しい……。

 それはさておき、私の脳裏にはひとつの驚きがある。


「娘、だったのか……」


 子どもの姿は、遠眼にしか見ていない。しかし眼の前の娘の顔には、どこか面影があるように思える。故郷の村では珍しくない服装をしており、地べたに這いつくばって必死に足掻いていることを除けば、普通の村娘と変わりない。


 次の一声が、私の頭に冷や水をかけた。


「ひどいな。あたしのこと、ずっと男の子だと思ってたわけ?」


 やはり、あのときの子どもだ。私のことを認識していた。

 生かしておくのはあまりにも危険だ。となれば――。


 右掌を前に突き出し、狙いを定める。

 せめて一撃で、痛みを感じる間もなく終わらせてやろう。


 慈悲というより、さっさと終わらせたい一心から掌に過剰な魔力を集中させていると、こちらの思惑を気取った娘が、器用にも芋虫状態でジャンプした。


「うわ! やめて! せめて話聞いてからでしょ!!」

「蟻と話すことなどなにもない」

「あ、蟻ぃ~? そんな言い方ってある!? たしかに今は地べたに這いつくばってて虫みたいだけど、あたしはれっきとした人間だよ!!」


 知っている。蟻というのは比喩でしかない。私にとっての人間は、人間にとっての蟻程度の存在の重みしか持たないということ。


「躊躇はしない。ここでお前を殺せば、私を知る者はいなくなる」

「うぅっ。そりゃあまあ、そうなるだろうけどさ……」


 しゅん、と静かになる。ようやく観念したかと思った矢先、娘はまたしても腹の筋肉を使ってその場でジャンプした。


「わ、悪かったとは思ってるよ! あんなことになっちゃって! けど信じて欲しいんだ!」

「信じろって、なにを」

「あたしはあなたに会いたかっただけ! 村の大人が、まさか魔女狩りを始めちゃうなんて全然想像もしてなかったの!!」


 だからあのときはごめん!! と娘は床に頭を擦りつけた。

 これしきで油断する人生は、送ってきていないつもりだ。


「命乞いとしては無理筋だな。お前が死ぬのは、ここに侵入したからだ」

「それもわかってるよ。けど……せっかく館に辿り着いたと思ったら、誰もいなかったんだもん。とりあえずどっかに入っときたいって思うのは、人情みたいなものでしょ?」


 顔を上げて、チラッと上目遣いで様子を窺ってくる。

 なんと言ったものか、こいつ太々しいにも程があるだろ……。


「人様の家に勝手に上がるなと、親に習わなかったのか」

「あたし、あんまり人の言うこととか聞かないタイプでさ~」


 なるほど。だから死ぬんだな。今、ここで。


「それに、魔女子さんは厳密には人じゃないでしょ?」


 魔女子。聞きなれない単語の到来に思わず眉を顰めると、補足説明のタイミングを得たと思った娘が、期を逃さず畳みかけてくる。


「いや~若い若いとは思ってたけどさ~。こうやって面と向かって見ると、あなたって本当に若いね。あたしとほとんど変わらないじゃん」

「魔女子ってのは、なんだ?」


 あ、そっち? とすっとぼけてから。


「あたし、小さい頃に丘の上の美人のおねーさんをそう呼んでたんだ」

「……いろいろと待て」

「待つよ、なに?」


 ニコニコと笑む娘にペースを崩され、私は片手を額に当てて。


「お前、私を邪悪な存在だと思ってたんじゃないのか」

「え? なんでそう思うの?」

「他の誰も、私の姿を見ることができなかっただろう」


 ぽかん、とした表情をして、それからいたずらっぽく笑い。


「そうだね、それで?」

「丘の上の女は、密かに村の人間たちを狙っていたかもしれないんだぞ」

「ああ、そういう……」


 至極もっともらしい解釈の提示に、娘は納得の素振りをしてから、少し思案の時間を取った。


「そうだね、その可能性は大きいよね。けど当時のあたしは、不思議とそうは思わなかったんだ。根拠を訊かれると少し困っちゃうんだけど……あえて言うなら、フィーリングってヤツ?」


 ドヤ、と得意げに断言する娘だが、要するに考えなしってことじゃないか?


「で、あなたって、本当に悪い魔女子さんなの?」

「違う。というか、その魔女子というのをやめろ」

「え~かわいいじゃん。あなたの見た目がもっと年嵩だったら、あたしも魔女さんって呼んでたんだけどな~」

「見た目に関してつべこべ言うな……」


 気づくと、こいつと同レベルで話してしまっている。いかん。完全に向こうのペースに乗せられていることを自覚し、熱した頭から苛立ちを除去する。


 どんなに饒舌に話す者も、死ねば黙るより術はない。さっさと処分してしまおうと口を閉じて対話を拒絶し、私は右掌を巡る魔力に意識を集中させた。


「……殺したら、聞けなくなっちゃわない?」


 楽観的な口ぶりに、取り合ってはいけない。

 どうせ口からの出任せ、命乞いに過ぎない。


 しかし眼の前の娘は、怖気づいた風でもなく――。


「どうして私がここにきたのか、どうしてあなたと会いたいと願ったのか、本当に聞けなくなっていいの? だってあなたは、あたしとは違うでしょ。7年間、まったく年を取っていないあなたには、この先にもウンザリするくらいの人生が続いてる。あたしに関する謎を解く機会は、ここであたしを殺せば永遠に失われるんだよ。もしそうなったら、あなたはこの先ずっと、あたしについての謎を抱えて生きていかなくちゃならない。そうなってしまって、本当にいいの?」


 ああ、別に構わないさ――。

 そう言い切れば、よかった。


 だけど私の脳裏に、ある映像が浮かぶ。


 それはいつかの、身体を強張らせた父の姿。

 娘の死を知らされたその表情を、私はついぞ見ることがなかった。


 想像の中で、いつも父は嘆き悲しんでいた。たったひとりの娘だったのだ。そうするのが自然だ。だが一方で、私は疑ってもいる。本当に父は、私のために悲しんでくれたのか。その瞳に涙を溜めて、辛いと思ってくれたのだろうか。


 己の眼でたしかめなかったことによる疑念は、意識すれば無限に膨張し続けるものだ。父と仲が悪かったわけじゃない。どこにでもいる普通の親子だったと思う。けど本当に愛されていたのだと、自信を持って私の口からは言えない。


 それをたしかめる最後の機会が、きっとあの瞬間だった。

 私は腕を下げた。癇に障るが、こいつの言うことには一理ある。


「拘束魔法の暴発だ。お前、魔導書を適当に開いて自分で試してみたろ。解呪するから、少し待っていろ」


 とりあえず、こいつがはしゃぎ始める前になすべきことを終えるとしよう。



★★★



「……今際の際だぞ」


 呆れた物言いにもなる。


 拘束魔法を解いた私たちは、場所を移した。本館にある、私の書斎だ。ここにも魔導書はある。山ほどの蔵書の中から、貴重なもの、お気に入りのものだけを厳選して、いつでも読み返せるよう保管している。


「だってだって、ここにある魔導書って全部貴重なやつじゃん!」

「はしゃぐな。こっちは、いつでもお前のことを殺せるんだぞ」


 そう、これは猶予だ。

 こいつがすべてを話し終えたら、やることは変わらない。


 再び右掌を突き出し、狙いを定めて魔力を溜める素振りをする。興味津々で室内を見回っていた娘が、親に叱られた子どものようにさっと椅子に座る。


「お前、魔法に関して無知だな。そんなんで、よく結界を見通せたな」

「それが私も不思議でさ~。最初は幻覚を疑ったりもしたんだよね」


 だろうな、と溜飲を下げる。最高峰の結界魔法だ。正攻法で見通すなら、数十年単位の修業が必要になる。


「目的はなんだ」

「そう急かさないでよ。時間ならたっぷりあるでしょ」


 テーブル上のソーサーからカップを手に取り、娘は紅茶を口元に運ぶ。


「うわ、これすっごい美味しい! あたしが今まで飲んできた紅茶の中で一番美味しいかも!」

「最高級の茶葉だからな。これ一杯飲む金で、お前の村なら1月は暮らせる」

「お、美味しいはずだわ……」


 ここで初めて、娘は緊張した様子を見せた。取っ手に指を通したカップを、プルプルと震えさせて口に運ぶ。


「最後の一杯は飲み終えたな。時間稼ぎは終わりだ」

「別に時間稼ぎなんかじゃ……」


 口を尖らせているが、これ以上向こうのペースに乗せられてたまるか。私は眼を射すくめる。


「言え。何故ここにやってきた」


 両手を使ってカップをソーサーに戻し、佇まいを正した娘が私の顔を見た。


「その前にお願いしていい? 魔女子さんのことが知りたい」


 ここに至って初めて聞く、至極真面目な口振り。

 騙されてやるものか。これ以上は時間の無駄になる。


「その手は食わないと言った。言うつもりがないなら、今ここで殺すだけだ」

「だったら、やればいい」


 不遜な物言いをする娘の、視線の圧が強い。

 嘘やその場凌ぎを言っている感じじゃない。


「あたしを殺す必要があるなら、そうしたらいい。けど、これだけは覚えていて。ここにくるまで、あたしはいろんな想像をした。その中には当然、自分が死ぬかもしれないってことも入ってる」

「こうなる覚悟は、してきたってことか」


 リスクを犯して、実益を取りにきたわけだ。

 なかなかどうして、考え方としては私好みだが――。


「どうして私のことを知りたい? お前の目的に、それが関係あるのか」

「ある」


 即答か。

 強い瞳が、私の顔を穿つ。


「今こうして、あなたがここで生きてるって事実は、あたしの目的と密接に関係している。だから知りたいの。あなたがどんな道筋を辿って、この館に身を落ち着けたのか。そしてこの先、どうしていきたいのか」


 前のめりになって近づく、真っ直ぐな瞳。

 先に根負けしたのは、私の方だった。


「面白い話じゃないぞ」

「かもしれない。でも、必要なことだから」

「必要、か。なら仕方ないな。私は――」


 昔話を、誰かに語って聞かせたことはない。そもそも面と向かって、腹を割って人と話をすることすら、どれほどしてこなかったか。


 私がしたのは、どこにでもいる村娘の話だ。片田舎に生まれ、そこで育った。代わり映えのしない風景。外の世界に出てみたいと常々思ってはいるものの、実行に移せないまま身体ばかり大きくしてしまった。


 ずっと、ここにいると思った。

 あの人がきてくれなかったら。


 私の力を見つけてくれなかったら。


 癒しの権能は、勇者の務めの力になる。

 バゼットは私に、勇者パーティに加わって、ともに魔王を討ってほしいと言った。


「それで、あなたはついていったの?」

「代わり映えのしない世界には、飽き飽きしてたから」

「わかるよ。あたしも、ずっとそう思ってた」


 故郷は同じ。共感は容易いことだろう。

 過去形なのが、少し気にはなったが。


 カップを持ち上げ、乾いた口内を紅茶で湿す。

 ここから先は本当に面白くない話だ。


 村を出れば、本当の自分になれると思っていた。つらい道中も夢うつつで、どうすればこの人たちの力になれるか、そんなことばかりを考えていた。


 残酷な現実は、足音を立てず村娘のすぐ後ろにまで迫った。それは徐々に片鱗を見せ、確実なものとして彼女を襲った。勇者パーティの戦いに、ついていけなくなってしまったのだ。


 端的に言えば、見込み違いだった。勇者バゼットは、実力のない人間を己のパーティに引き入れてしまった。焦燥が、村娘を襲う。なにより自分が、歴然としたその事実を把握している。バレないように、隠さなければ――。


「手始めに、村娘は魔力を搾った」


 癒すまでもない傷は、治さない。

 必要な機会にだけ治癒を行うことで、魔力切れを回避する。


 勇者パーティの面々は、そんな村娘を不服に思った。疑い始めてもいた。


 前線に出なかったのは、近接戦闘能力がなかっただめだ。後衛にいて、戦況を見定め、適切なタイミングで治癒をかける。村娘が必死になって思いついたこのやり方も、勇者パーティのお気には召さない。


 やがて勇者パーティの面々は、村娘をダンジョンの奥底で追放することに決めた。


「ひどい……それで、あなたはどうなったの?」

「村娘は逃げおおせたさ。でなきゃ、ここで生きてはいない」


 センセーショナルな部分の語りは終えた。


 村娘は故郷に帰り、誰にも関わらずに済む生活のための準備を整えた。


 館を建て、魔導書を集め、街で必要物資を見繕ってひとりで暮らす。人間界との関わりを捨てた村娘は、世間的には隠遁者と言ってよかった。彼女のこれからの展望は、世界が終わるまでずっと同じ生活を続けることだ。


「話はこれで終わりだ。次は、お前の番だぞ」


 一息吐いて促すと、娘は難しい顔で考え込んでいた。


「……あのさ、悪いけど全然説明不足だよ、それ」

「どうしてそう思う?」


 水を向ける。ブランクは、あえて作ったものだ。独自の思考を持たない人間とは、話す価値すらない。娘が私を吟味するように、私もまた娘を吟味している。


「あなたが元勇者一行の治癒魔法士だってことはわかった。ダンジョンの奥底で追放の憂き目に遭ったってことも。でも、だからこそそれはおかしい」


 そう、おかしい。


「癒しの力を使えるだけで戦闘能力のないあなたが、生きてダンジョンを抜け出せるはずがない」


 そいつは、もっともな意見だった。

 私が誘導した通りの答えでもある。


 私は今、意地の悪い薄笑みを湛えていることだろう。

 ふだんなら人前から引っ込めるそれを、前面に出したまま続けた。


「悪魔と契約したって考えはどうだ?」

「治癒魔法士は女神信仰で、悪魔崇拝者はいない」

「ほう、そのくらいの常識は弁えてるわけだ」

「そりゃあまあ……必要なことだから」


 必要? こいつの顔に貼られた皮が、少し捲れて見えた。


「想像を巡らせてみろ。思考のプロセスを口にしたら、ヒントをくれてやってもいい。もし当てたら、この部屋にあるすべての魔導書をやろう」

「間違ったら?」


 上目遣いになった娘に、意地悪な溜めを作ってから私は言った。


「ペナルティはなしだ。どうせ、お前は死ぬんだからな」

「そっか、そうだよね」


 軽口は通じない。片手を口に当てて俯き加減になり、真剣そのものの娘が誰にともなく口を開いた。


「ダンジョンって、山みたいなものだと思う。周囲になにもないわけじゃないけど、その多くは自分のために使えない。例えば魔物の死骸には毒があって、食料にはならない。持参したものを食べるしかない」


 ダンジョンの奥底での追放が問題になるのは、つまりそういうことだ。


 水を持っていなければ乾いて死ぬしかないし、戦闘能力に欠けていたら魔物の餌になるしかない。ダンジョンの奥底でのパーティ追放が、間接的な殺人と言われる所以がここにある。


「たぶんだけど、すごく難しいダンジョンか人の出入りの少ないダンジョンの奥底で、あなたは追放された。あなたの存在を邪魔に思った勇者パーティの人たちが、今までの分の嫌がらせも込みで、あなたを殺めようとしたのだと思う……ここは合ってるよね」


 確認の体だが、否定してもその前提で話を進めるだろう。

 つまるところ、そうだという確信を持って言っている。


「周到な計画の上での追放だから、途中で協力者を得られたとも思えない。つまりあなたは完全な独力で、ダンジョンを抜け出すに至った」


 顔を上げて私の顔を見て、それからくしゃっと困ったような表情を見せた。


「……んだろうけど、その方法が皆目見当つかないんだ」

「そうか、まあそうだろうな」


 私がこいつの立場でも、正解を引くことはできないだろう。

 ただ少し興味が出た。こいつの頭に今、どんなアイディアが残っているか。


 片眼を瞑って、面白半分に問うてみることにする。


「ちなみに、どんな解決策が思い浮かぶ? 当てずっぽうでも構わないから、頭に浮かんだものを全部言ってみろ」

「ええと……ちょっと待ってね」


 両手を頭に当て、中からなにかを取り出すように――。


「あなた自身にダンジョンから脱出する能力がないのだから、ダンジョンの方であなたを逃がすしかない。となれば、既存の通路とは別の隠し通路があったか、直通のエレベーターのようなものを見つけた。もしくは跋扈する魔物をいちどきに殲滅するような、古代高位魔法の起動ボタンみたいものがあったのかもしれない。あとは……」


 この辺でいいだろう。私は手を立てて回る娘の舌を止めた。


「そこまで。私がお前の立場でも、同じような結論に至るだろう」

「じゃあ、どれかが正解……」

「じゃない。それより気づいているか。お前が今言った解決策の共通点を」


 至極真剣な表情のまま、首を傾げる。

 微動だにせず数十秒ほど考えてから。


「ごめん、本当にわからない。正解を聞いていい?」

「構わないさ。年下に容赦する心くらいは忘れてないつもりだ」


 紅茶を口元に運び、中身を飲み干して続ける。


「お前が今言ったのは、奇跡の話だ。ダンジョンの奥底で追放された憐れな村娘が、その命を繋ぐためにどんな出来事が必要か。そこから思考を開始している。つまり前提が間違っているから、間違った結論に辿り着いたんだ」

「それ、どういう……」


 驚いたような表情の娘に、私は得意げに言ってやる。


「最初にお前は正解を言った。丘の上にいたのは魔女だ。なあお前、魔女の条件というものを知っているか」


 水を向けると、思案ののち素直に首を振る。

 その姿をしっかりと眼に焼きつけて、私は一言で言ってやった。


「……呪われていることさ」

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