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三題噺もどき3

不明

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくじゅうに。

 


 風が頬を撫でる。


 じりじりと照りつける太陽の下。

 吹く風はたいして冷たくもなく、むしろ温くて暑さが増す。

 噴き出す汗を冷やしてくれればいいものの、体温は上がる一方。

 体内にこもる熱で、軽く頭痛がしてきた。

「……」

 周りには草原が広がっている。

 定期的に管理がされているはずだが、雑草というのは気を抜くと一気に成長していくなあ。先月の頭あたりに業者か何かが草刈りをしているのを見たが、もうくるぶしのあたりの高さまで伸びている。

「……」

 最近お気に入りの、大き目のカーゴパンツを履いているから、肌には触れていないが……下手すると虫がついていそうで少々嫌な気がする。暑いからと言ってサンダルを履いてこなくて正解だった。まぁ、そうでなくても足の裏に汗をかきやすい体質なので、サンダルは長時間履いていると疲れる。滑るからな。

「……」

 風がまた吹いた。

 今度は少し強めに。

 短く切りそろえている髪が、ぼさぼさになっていく。

 別にそんなことを気にする人間ではないので、いいんだけど、前髪も同じぐらいの長さになっているから、鬱陶しくて仕方ない。

 それでも長く伸ばそうとは思うことはない。伸ばす過程がな……だから髪が長くてきれいに手入れしている人はほんとにすごいと思う。

「……」

 降り注ぐ日差しが、肌に刺さる。

 オーバーサイズのシャツだから、肘のあたりまでは隠れているが、その先がむき出しなので物凄く痛い。針でも刺されているんじゃないかというぐらいに痛い。

 太陽の光はこんなにも攻撃的だっただろうかと疑問に思えて来る。

 ……まぁ、でも目で見れば視界がつぶれるし、日差しだっていいことばかりじゃないから、案外攻撃性はあるのかもしれない。いや、知らないけど。

「……」

 しっかし……何か帽子でも被ってくるんだったな。

 本格的に頭が痛くなってきた。

 気付けば毎日頭痛と共に目覚めて、頭痛と共に過ごし、頭痛と共に眠るような生活をしていたが、どれにしても強弱というものがある。

 放っておけば気にならない程度のものから、薬を飲まないとやっていられないものまで。

「……」

 今日のは、少々強めのやつだ。

 耐えきれなくもないが、さすがに放っておくわけにもいかない。油断すると吐き気とかにまで襲われそうだ。こういうのは水分でも取れば多少はマシになるんだが、生憎そんな準備がいいような人間ではない。頭痛と毎日暮らしているくせに。ちなみに薬も今手持ちがない。なんでだろうな。

「……」

 せめて、どこかで休みたいところだ。

 この太陽からの攻撃から少し逃れれば、マシにはなりそうな気がする。

 どこか、影か何かないだろうか。

 それなりに大きな木がどこかにあった気がするんだが……。

「……」

 視線を右に回すと、想像通りに、そこには大きな木があった。

「……?」

 しかしそこには、想像には無いものがいた。

「……?」

 木陰の下に。

 何か、というか誰かが立っていた。

「……」

 この暑い中で。

 真っ黒なズボンに。

 真っ黒なパーカー。

 木陰から人型をくりぬいたら、あんな感じなのかな、なんて。

「……」

 唯一白いのは。

 じっとこちらを見やる顔。

「……」

 能面を張り付けたような。

 冷たさの感じる無表情な顔。

 真っ黒な瞳は、動くことなくこちらを見ている。

「……」

 ―殺人鬼。

 なんて単語が頭に浮かんだ。

「……」

 アニメや漫画の見過ぎだろうか。

 別にその影は手に何かを持っているわけでもないのに。

 ただじっと、こちらを見つめているだけなのに。

 ただ真黒な空虚がそこに広がっているだけなのに。

「……?」

 しかしどうして、手が見えないんだろう。

 パーカーの袖が長くて隠れているんだろうか。

 それにしては、あまりにもぼんやりとしている。

 気が――――









 ――――」

 耳元で鳴り響くアラーム叩き起こされた。

 もうこの時間に起きる必要もないのに、設定を変えるのがめんどくさいと言うだけで、そのままになっている。

 いい加減どうにかしようかな。

「……」

 よくわからない夢ばかりだな。









 お題:殺人鬼・無表情・木陰

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