契約
数種類、試したが、カロリーメイトのアップル味のゼリーが一番、受け容れやすかった。他のゼリーに比べて栄養価もカロリーも豊富。理想的だ。幼馴染が勧めてくれたチャイは、香辛料の効いた不思議な味だった。美容院に行く体力がないので、髪が少し伸びた。最寄りのコンビニに行くのも、今の体力では厳しい。
一日の大半を、布団にくるまり過ごすことになる。動画を観るのは暇潰しになるが、調子の悪い時は、30分もの、一話を観て息が切れる。
なんともはや。
『ちゃんと休んでる?』
「執筆した」
『……無理したね』
「思い浮かんだら書かずにはいられない」
『そうだろうけど』
懸念事項。
「契約を結んだ相手が、不履行で亡くなったらどうなる。損害は」
『家族に行くこともあるけれど、この場合は亡くなった人の契約相手が負うことになるかな』
そうか。それはいただけない。先方に迷惑はかけられない。
入院すると執筆もできなくなるから、それは避けたい。
来年まではカロリーメイトが命綱だ。
「母に幽霊みたいだと言われたよ」
『そうだろうね』
「……君の猫が亡くなった時、あまり悲しみに寄り添ってやれなかった。君は、とても悲しんでいたのにな。ごめん」
『そんなことはないよ』
「私がいなくなったら、あの子たちのことを頼む」
『それは引き受けるけど、なるべくいなくならないで』
「努力する」
死にませんよ?多分。もし、死んだらどうにかしてお知らせします。