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ロラン・ヘディンと運命の聖女  作者: K.S.
第一章 南へ
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1-6.南部戦争

少し物語から外れてエレンディラ獲得戦争(南部戦争)開戦から現在までの状況を整理してみよう。そもそもこの戦争はロースター家がノートン家の領土を欲したことに端を発する。ノートン家の握る南方随一の交易の要衝、エレンディラを手に入れるためであった。


ロースター家はエレンディラ地方の領有権を捏造。1444年10月、宣戦を布告した。


ロースター家の宣戦に同盟諸家から、アルバイン家、ソレイドン家、ハントバー家、エルゴス自治政権の四勢力が同調参戦、対するノートン家にはイルガ王国、ゾッド家、ジェラルドン家、セントディリッヒ家、スガルァバ家、ヤンソン家、ディマンシュ家、クレイブソン家の実に八勢力が参戦、ノートン家に非はないのは明らかであると見ての参戦だ。


1444年12月中旬、シビエラ地方南西部でアルバイン家のタルナーダ・アルバイン率いる軍8,000とセントディリッヒ家のケンヴァリー・セントディリッヒ率いる19,000が会戦。ケンヴァリー・セントディリッヒが勝利を収め、タルナーダ・アルバインは潰走。


ケンヴァリー・セントディリッヒはタルナーダ・アルバインの軍から捕虜として捉えた兵約1,000を厚遇、懐柔し、自軍に加えた。この潰走によりシビエラ地方戦線はノートン側が有利な位置に拠点を構える形で開始となった。


間髪入れず12月23日、潰走したタルナーダ・アルバインの軍をピーター・クレイブソンが追撃。壊滅させる。この戦いでタルナーダ・アルバインは戦死し、アルバイン家は早々にエレンディラ獲得戦争から離脱を表明。ロースター家に賠償金を支払った。


ケンヴァリー・セントディリッヒはタルナーダ・アルバインとの衝突後、一路南進。12月23日にはシビエラ地方からエルゴス自治領のウルザレン地方に侵攻していた。


一方12月24日、ソレイドン家のバルジモア・ソレイドン率いる39000の軍がシビエラ北東部でスガルァバ家の方面軍と衝突。スガルァバ家の方面軍が潰走したことにより、もとより遠方の参戦だったスガルァバ家はエレンディラ獲得戦争から離脱した。


戦いが起こるのは年が明けた1445年2月2日になる。大陸最強騎士、モエナ・ローザ・セントディリッヒのヴォルデルネ騎士団とロースター家の衝突だ。兵力差はロースター家がヴォルデルネ騎士団に対し約三倍。しかし兵の質は雲泥の差だった。ロースター家は2000あまりの兵を失った時点で早々に撤退。その後モエナもそれを執拗に追うことはしなかった。


しかしこの戦いでヴォルデルネ騎士団が勝利したことは大きい。ヴォルデルネ騎士団がこの勝利でキスタミアを占領したことにより、敵は当初の目的であるエレンディラには事実上到達不可能となった。いわば蓋をされた形になる。


そもそもキスタミアはキスタミア地峡に蓋をする形で築かれた要塞都市である。交通の要衝として昔から重要視されてきた。


ロースター家は陸上での到達はヴォルデルネ騎士団を討つ以外方法がなくなった。海路でエレンディラに上陸する方法も無くはないが、ロースター家は海運に力を入れていないため大兵力の輸送を許すほどの制海権は獲得できないだろう。


モエナのキスタミア地峡封鎖によりこの戦争は泥沼化してくことになる。


この後大きな衝突がないまま小競り合いが各地で続き、長期化の様相を呈する戦争への不満から各領の農民が蜂起、都市を占領する事態が相次いだ。


参戦諸家はその対応に追われており、ロースター家も例外ではなかった。


キスタミア地峡を守るヴォルデルネ騎士団を抜けるほどの兵力を確保することは現状不可能に近い。完全な膠着状態となっている。


しかしながら両陣営とも妥協を許さず、講和の提案が出ることはなかった。


南部の治安が急激な悪化をみせる中、ロランたちは向かおうというのである。ロランたちがハロルドに馬を借りに行ったのが1445年7月、出立はそのすぐ直後となった。


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